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取材・文:鹿野水月(plug+編集部)

江戸川乱歩『鏡地獄』×ホノジロトヲジ イラスト/乙女の本棚シリーズ

 文学の名作を色彩豊かなイラストとともに楽しめる=乙女の本棚シリーズ第50弾として、ホノジロトヲジ『鏡地獄』が発売された。

 今回は本書のイラストを手掛けたホノジロトヲジにメール・インタビューを敢行。本書を手に取った方にも、手に取る前の方にも、ぜひとも楽しんでほしい。

■ホノジロトヲジ プロフィール
2015年よりフリーのイラストレーターとして活動中。キャラクターデザイン、イラストなどを手がけている。乙女の本棚シリーズでは、『縊死体』、『駈込み訴え』、『春の心臓』、『人間椅子』、『死後の恋』、『瓶詰地獄』、『外科室』を担当する。
X:https://x.com/siroimorino

イラストレーターホノジロトヲジ インタビュー

ー『鏡地獄』は今回初めて読みましたか? 他の江戸川乱歩作品など含めお気に入りなどがあった場合、ホノジロトヲジさんが感じるその魅力について教えてください。

 制作のお話をいただいてから初めて読みました。お気に入りについてというご指定の質問からは外れてしまうのですが、江戸川乱歩作品で印象深いのは『江戸川乱歩傑作選』(新潮文庫)から『芋虫』です。

ー『鏡地獄』を読んでみて気になったことや、ストーリーについてどのような感想を抱きましたか?

 著者が『鏡地獄』の着想元となった雑誌の文面を読んだとき、“球体の鏡”に恐怖したらしいと知りました。恐怖した鏡の世界に傾倒する彼を創り出す著者の発想と、それを広げて作品に仕上げる力に感嘆するばかりでした。時間を少し置いて、どう描こうかとしばらく悩むことになります。

ー『鏡地獄』の挿絵を手掛けるに辺り、積極的にインプットしたり、調べて学んだりしたことなどはありましたか?

 さまざまな地獄と浄土に関する絵を、国を問わず見るなどしました。

ー同じ乙女の本棚シリーズで複数の作品の挿絵も手掛けられています。そのときのことも含めて、人の内に秘めた狂気を絵にする際に何かポイントとして考えていることはありますか?

 遭遇する経験によって人が孕む狂気の色合いは千差万別で、作品ごとに風合いも全く変わり、その違いをどう描き分けるかを考えたりします。書籍ごとに筆致や質感を変えたり。『鏡地獄』では、Kの語る彼の様子を地獄に見立て、ほぼすべての絵をピンク色基調にして描いたり、プリズムのようなテクスチャーを描き込んだりしてみました。

ーキャラクター・デザインの際に、どのような要点に注意を払いながら考案していきましたか?

◼︎K
 Kの恐れの感情が出せるよう、印象に強く残るビジュアルを目指しました。

◼︎彼
 お話が進行するにつれて、身に着ける鏡の装飾が増えていくように描写しております。

ー鏡の中の世界に取り憑かれた主人公ですが、彼を狂乱状態に追い込んだ鏡の世界を表現する際にどのようなことを考えましたか?

 彼の目に鏡の世界がどう映し出され発狂に至ったかが、彼によって語られない以上、特定の状況に偏らせて描くことはできないので難しかったです。Kの言うように恐怖に類する感情で発狂したのか、興味の極致に行き、幸福で発狂したのか。最期のカットは地獄の色(※次の質問で詳細を後述します)を使用せずに描きました。

ー鏡が生み出す光を描きながらも、全体的にピンクを基調にして描くことにした理由はありますか?

 彼が彼の楽しみを追求し没頭していく様子を地獄とした際、血の赤や芽吹くもののない真黒な大地といった一般的に陰惨な光景として語られる地獄ではなく、楽しげな要素を取り入れた景色にしたいと考えました。地獄にあふれる物の中から、肉のピンク色なら楽しげになってくれるかなと基調色として使用しました。

ー現在読者の方々の手に『鏡地獄』が渡っていますが、どのようなところを楽しんでもらえたらうれしいですか?

 『鏡地獄』を既知の方には“ここはこう描いたのか~”を楽しんでいただけたらと思います。これから初めて読む方は、絵のない文面のみの状態でお読みいただける場所が幾つかありますので、そちらで読んで思い思いの情景を抱いてから本作へ……というのも楽しいかもしれません。

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