企画:Mizuki Sikano [PR]
“ボカロPになってみたい!”そんな風に考える読者の皆さんのために、新世代のボカロPが、使用しているプラグインやおすすめのソフト音源をレビューする企画。サウンドチェックもできるので、ぜひ音楽制作のヒントをゲットしてほしい。
目次
SEEおすすめプラグインZYNAPTIQ Morph
ボカロPをしているSEEといいます! DTM歴は3年半くらいです。
今回、皆さんにご紹介するプラグインは、ZYNAPTIQのMorph(読み:モーフ)です! 使ってみると、なかなか癖のある面白いプラグインでした。
ZYNAPTIQ Morphとは?
Morphは、リアルタイム・オーディオ・モーフィングを行うプラグインです。2つのサウンド入力を使用して、音を変形させていく過程の中間部分=両方のサウンドの特徴を持つトランジション(推移)を作成することができます。
リアルタイム・モーフィングは、映像などでは比較的目にすることの多い「連続性のある変化」をリアルタイムで生成できる機能です。ほかのデジタルな芸術との相性がとても良いサウンドだと思います。音楽における実験的な表現の幅を、さらに広げる可能性を秘めたエフェクトだと思います。
ZYNAPTIQ Morphの操作子と使い方
主な操作としては、ALGORITHMとX-FADEを使用してAとBの2つの音の推移を調整していきます。Morphは、A→Bのモーフィング音源とB→Aの、2つのモーフィング音源をミックスして音を生成します。そのミックス・バランスをX-FADEで調整できます。Y軸でAからBの推移、X軸で2つのモーフィング音源のミックス・バランスを調整できます。
また、ALGORITHMにはさまざまな質感のものが用意されており、ここのプリセットを切り替えると使用するサウンドの質感や作りたい音像に合わせて、より好みの質感に近付けることができます。
一般的なレイヤーやサンプリングとは違い、サウンドが持つ元々のテクスチャーを生かしたままにサウンドをモーフィングできます。元々、一つの楽器であるかのようなアタック感や弦鳴り感を引き継いだまま、高解像度なモーフィングすることが可能です。
次にプリセットを見ていきましょう。Morphには、29種類のファクトリー・プリセットが用意されており、AとBに入力されたサウンドのミックスバランスを、アルゴリズムそれぞれのサウンドキャラクターをより生かした状態に調整できます。
ALGORITHMでは、5種類のモーフィング・アルゴリズム(INTERWEAVE、TIGHT、CLASSIC (Low-Latency)、INTERWEAVE (Low-Latency))を選択することが可能です。そのうちCLASSIC、INTERWEAVEにはローレイテンシー・バージョンが存在しています。以下に、3つのアルゴリズムを紹介します。
■CLASSIC
Morphの基準となるモーフィング・サウンドです。サウンドの音質や、トーク・ボックス風サウンド、サステインするハイブリッド楽器、そのほかのアンビエント・テクスチャとの相性が良いです。
■INTERWEAVE
CLASSICと比べると、よりオリジナル・ソースの特性を保ったサウンドを生成できるアルゴリズムでした。
■TIGHT
ドラムなどのトランジェント(編註:音の立ち上がりのこと。トランジェントを際立たせるとはっきりした音になる)の強い信号と相性が良いアルゴリズムです。
PROCESSINGのセクションには、フォルマント・シフトなどがあります。この時点で選択しているアルゴリズムのプリセットの中にはこのセクションの詳細パラメーターが含まれていますが、ここでさらに自分好みに変更もできます。
■AMP SENSE
入力された信号のレベルが一定になるように調整することができます。
■FORMANTS
モーフィング・サウンドのフォルマントを上下にずらします。センター位置では、フォルマント・シフトは適用されません。
■COMPLEXITY
結果として生じるサウンドの複雑さを調整します。高めの値の場合、出力されるサウンドはより詳細になり、ソースのサウンドのディテールが細かく取り込まれます。しかしながら、入力サウンドが複雑であったりノイズが多い、または2つの入力サウンドに共通点があまりない場合、この値を下げることでよりなじみよく調整することが可能です。
さらにホール・リバーブが内蔵されています。このDAMPINGでは、リバーブの高周波ダンピングを調整します。ローパス・フィルターに近いメーターになります。
ZYNAPTIQ Morphサウンド・チェック
今回は以下の組み合わせでモーフィングしてみました。
■ボーカル × アコースティック・ギター
■リズムループ × ピアノ
■ボーカル × アコースティック・ギター
アコギの繊細な弦のテクスチャを残しつつ、ボーカルシンセのようなサウンドを作成できました! ここでは、こちらは原音に忠実に、音を混ぜることができるClassic(LL)というアルゴリズムを使用しています。このアルゴリズムにより、原音に忠実なテクスチャーを持ち、トークボックスのような質感でボーカルを生かしたサウンドにできました。
■リズムループ × ピアノ
弦×パーカッションという珍しい組み合わせのサウンドを作ることができました! このように通常では混ぜられないサウンドを生み出せる点が、Morphの大きな特徴です。ビート・トラックと組み合わせるので、TIGHTアルゴリズムを選択、X-FADE部分を調整しながらミックスの塩梅を調整しました。
■トラック全体
最後にトラック全体での使用例です。ボーカル × アコースティック・ギターで作成したサウンドを、メイン・ボーカルのコーラスとして、リズムループ × ピアノで作成したサウンドをリズム・ループにレイヤーして使用しています。アコースティックなサウンドも、MORPHを使用することによって特徴的なデジタルテクスチャを付与できます。
Morphは、デジタルな質感をミックスすることができ、独特のサウンド変化をもたらすことができるエフェクターなので、アンビエントなエレクトロ・サウンドなど、「サウンドやピッチの揺らぎがあるような楽曲」と相性が良いと感じました。
SEEから最後に
いかがでしたか? どのようなサウンド同士でもモーフィング可能なMorphを使うことで、皆さんの楽曲にユニークかつ、よりハイブリットなサウンドや、新たなサウンド・アイデアを取り込むことができます! 楽曲制作だけでなく、DJプレイや映像と組み合わせたサウンド演出にも効果的です!
ZYNAPTIQ Morph情報
■価格(DL版):オープン・プライス(市場予想価格:20,900円前後)
■URL:https://www.mi7.co.jp/products/zynaptiq/morph/
【Requirements 】
■Mac:OS X 10.8以降、Intel CPU(2コア以上)、AAX/RTAS/AU/VST2.4対応のDAWソフト(32/64ビット)
■Windows:Windows 7以降、2コア以上のCPU(Intel CPU推奨、i7以上を推奨)、AAX/RTAS/VST2.4対応のDAWソフト(32/64ビット)
■共通:iLok.comアカウントまたはiLok 2ベースのアクティベーション(デモ版も含む)
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