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Text:plug+(ぷらぷら)編集部

2024年6月14日(金)から公開となる“物作り”をテーマとしたアニメーション映画『数分間のエールを』。

 

脚本を花田十輝(代表作:『ラブライブ!』、『宇宙よりも遠い場所』)、監督/演出/デザインをぽぷりか/おはじき/まごつきの3人から成る映像制作チームHurray!(フレイ)(代表作:ヨルシカMV、アニメ『可愛いだけじゃない式守さん』ED)が手掛ける。

 

劇中楽曲の制作はボカロPとしても活躍するVIVI、歌唱はシンガー・ソングライターの菅原圭が担当しており、主題歌にはロック・バンドのフレデリックが「CYAN」を書き下ろした。

 

今回plug+(ぷらぷら)編集部が本映画を鑑賞してきたので、その魅力をお伝えしていく。

『数分間のエールを』あらすじ

『数分間のエールを』 彼方と夕が出会うシーン

 主人公は、MVクリエイターを夢見る高校生の朝屋彼方(あさやかなた)。彼方は日夜MVの制作に没頭していた。

 ある夜、映像のモチーフを探して街を探索していると、雨の中ストリート・ライブをする女性に出会い、その歌に衝撃を受ける。感情をさらけ出して力強く歌うその姿に“この人の歌にMVを付けたい”と強い衝動に駆られる。

 その翌日、彼方は教壇に立った新任教師の姿を見て驚愕する。そこに居た織重夕(おりえゆう)は、前夜、彼方の心を突き動かしたシンガーだった。

 物作りのスタート・ラインに立ちその楽しさを糧に次に進む彼方と、物作りを諦めその苦しさから別の道に歩き出した夕。立場の違う二人の“物作り”への気持ちが鮮明に映し出され、その道に進んだ人間の葛藤や、自分ではない誰かと作品を作り上げていくことの難しさを描いた作品となっている。

『数分間のエールを』の見どころ

 本映画の見どころの一つとして、“楽器演奏の聴覚的/視覚的なリアルさ”が挙げられると思う。

 夕の歌唱シーンでは、アコースティック・ギターの弦の音やボーカルの繊細な息遣いが細やかに再現されており、私たちがオフラインのライブで耳にしているような音を聴くことができた。

 そして何と言っても、実際に存在しているマイクやギターが、ロゴやデザインそのままに劇中に登場しているところがほかにはない“リアル”なポイントだと思う。

 夕のメイン・ギターとしてはGIBSON ES-335やGUILD D-140 Natural、自宅でのボーカル録音の風景にはSHURE SM7Bが登場し、音楽をやっている人なら見知っている機材を楽しむことができた。このほかにもさまざまなヘッドホンやエフェクターなどが登場しているので、この記事を読んでいるあなたが持っている楽器も観れるかも……? 

 『数分間のエールを』は、音楽機材/楽器好きにとって、たまらないシーンが満載なのである。

『数分間のエールを』 夕が使うエレキ・ギター:GIBSON ES-335
『数分間のエールを』 夕が使うアコースティック・ギター:GUILD D-140 Natural
『数分間のエールを』 夕のボーカル録音に使われているマイク:SHURE SM7B

登場している楽器&機材の全貌はこちらをチェック! :https://www.digimart.net/ch/yell-movie/?utm_source=ma&utm_medium=email_ma&utm_campaign=1307-01_a1_20240603&utm_content=dgm02_html

 二つ目には、Blenderならではの新感覚な映像が挙げられる。

 本作はフリーの3DCGソフト Blenderをメイン・ツールとしたフル3Dアニメーションになっており、自由な視点で構成された映像を観ていると、まるでメタバースの中に居るかのような不思議な感覚を覚えた。

 劇中の映像を手掛けるのは、ぽぷりか/おはじき/まごつきの3人から成る映像制作チームHurray!。中でもぽぷりかは3DCGを用いた映像制作を得意としている。

 主人公の彼方がMVクリエイター志望ということもあり、この映画全体が“彼方のクリエイターまでの道のりを描いたMV”にも見えてくるのだが、そういった感覚を引き立てているのは、Blender自体がMV制作で使われるものであることや、本映画の映像を手掛けるHurray!がMVクリエイターとして活躍していることなどが理由なのかもしれない。

『数分間のエールを』 ワン・シーン
『数分間のエールを』 ワン・シーン
『数分間のエールを』 ワン・シーン

『数分間のエールを』感想

 物作りをする人間には、自分の才能/技量の限界を思い知らされることや、自分の考えていることをうまくアウト・プットできないという葛藤があると思う。主人公の彼方は物作りを始めたばかりで物作りに挫折したことがなかったので、夕の歌に込められた何かを諦めるような気持ちを完全には理解できないままMVを作ることになる。

 多種多様な考え方やバックグラウンドを持つ人間が、手を取り合って一つの作品を作ろうとするときに、どのような感情が生まれるのか。自分には理解できないから表現しない、作らない、のではなく、“自分だったらどう表現するのか”を突き詰めていく彼方と夕の軌跡がこの映画には描かれていた。

 絵や音楽など、物作りをやり始めるハードルが昔に比べて低くなり、“上手な物”であふれかえっているこの世の中で、それでもなお“物作りをしたい”と思う人。自分と周りを比べ、才能のある人に圧倒されて物作りを諦めようとしている/諦めてしまった人。まさに“この時代にモノづくりを志すすべての人”へ、気持ちが前に向くようなエールを送ってくれる作品になっている。

 またこの作品を観ることで、普段何気なく触れている誰かの作品のバックグラウンドにまで思いを馳せることができるようになるのではないか。

 2024年6月14日(金)に全国ロードショーとなる『数分間のエールを』。ぜひ劇場でこの世界観を体感してもらいたい。

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