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取材・文:鹿野水月(plug+編集部)

プロデューサー/コンポーザーのNeuronとボーカリストのkahocaから成る音楽ユニット=Empty old Cityがシンガー・ソングライターの水槽とのコラボレーション作品として、新曲「Offline Saga (feat. 水槽)」をリリース。8月8日Zepp Shinjukuで開催されるイベント『FAVOY』で初披露予定だという。

 

今回は、Neuron、kahoca、水槽の3人にインタビューをして、楽曲制作の背景や『FAVOY』への意気込みなどを語ってもらった。

Empty old City×水槽インタビュー

『TKGP! vol.5』での出会いがきっかけでコラボ

水槽

―Empty old Cityと水槽さんの接点は?

水槽 最初に会ったのは2024年9月にイープラス企画のイベント『TKGP! vol.5』に呼んでいただいたときですね。そのときに初めてお会いしました。その後も何度か対バンする機会がある中で、仲良くなりたいと思ったのでご飯行こうって誘いました。そのまま家に遊びに来て。

―良い会だったのですね(笑)。新曲「Offline Saga (feat. 水槽)」を制作することになった経緯は?

水槽 そのときに一緒に作れたらって話をしていて、当初はボカデュオでユニットを組んでやるのはどうかと相談してたんですけど、Empty old City(以下、Empty)さんからシングルでやろうと提案いただき、今回のリリースに至りました。

Neuron 実は僕ら側にも別の経緯があって、水槽さんとは何度も対バンするし、同じアーティストに楽曲提供をしていたり親近感を抱いていたんですよね。だから、一緒にご飯に行く前から僕らは僕らで “水槽さんと何か一緒にできたらな”って思っていたんです。

―皆さんライブに一緒に出演する中で、曲を作りたくなったということですね。

Neuron 水槽さんのステージにkahocaが出たり、僕らのステージで水槽さんに歌ってもらったり、舞台上ではコラボをしてるからイメージが湧きやすかったんですよね。それでご飯行ったときにはコラボしたいって話を伝えて、その後正式にオファーしました。シングルとしてきちんと制作することで、世界観の作り込みも強固なものにできたんじゃないかなと思っています。

kahoca ライブで水槽さんとコラボさせていただいたときに、歌い方や声質の相性が良くて、すんなりと馴染むような感覚がありました。だから、今回一緒に「Offline Saga (feat. 水槽)」を作れたのはうれしかったです。

知らなかった自分の声に出会ったような感覚(kahoca)

―どのようなコラボにしたいなどのイメージはお互いにありましたか?

水槽 自分はさまざまなボーカリストとコラボをしてるので、すぐに一緒に歌ったらどうなるかのイメージはつきやすいんですけど、kahoちゃんとは声のスウィート・スポット(編注:ここではその人の声特有の美味しい成分)がかぶっていないので何をやっても良い感じになりそうだと思っていました。

kahoca 自分の声はどちらかというと低めだと思っていたのですが、水槽さんの声と重なると、むしろ高く聴こえて驚きました。まるで知らなかった自分の声に出会ったような感覚で、とても新鮮で。同じように、水槽さんの声にもこれまで気付かなかった魅力を感じて、お互いに新しい一面を引き出し合えたのではと思います。聴いていて、ちゃんと個性の違いが伝わる仕上がりになったのがうれしいです。
声のコントラストが、良い形で浮かび上がっている感じがしています。

水槽 自分の声、単体ではあまり好きじゃないって思ってるんです。でも、誰かと一緒に歌うことで相手の声の魅力を引き出したり、輪郭を際立たせることができる声だなとは思う。だから、ほかの歌手と一緒に歌うのが好きで、コラボばっかりしてるんですよね。

Neuron その感覚、とても面白いですね。

kahoca(左)、Neuron(中央)、水槽(右)

Empty old Cityとしては初めてのラップ挑戦(Neuron)

―今回の楽曲はEmpty old Cityに水槽さんがフィーチャリングする形とのことで、「Offline Saga」の構想から制作は、Neuronさんが担当したのですよね。

Neuron そうですね。もう、水槽さんにオファーする段階ではかなり具体的なイメージができていました。EDMトラップで、Emptyとしては初めてのラップ挑戦だったんです。でも、ご自身の作品にもラップを取り入れてきている水槽さんとなら一緒にできるかなと。

―「Offline Saga」というタイトルはどういう意味ですか?

Neuron タイトルは歌詞ができてから付けたんですが、Sagaは物語という意味で、ここでは戦いの記録的なことを指しています。サイバーパンクの時代設定におけるオフラインが何を意味するのか想像していただけたら嬉しいですね。

Empty old Cityの世界に演者として入っていく感覚(水槽)

ーEmptyが度々題材として扱っているディストピアの世界観は「Offline Saga」でも生かされていますね。

Neuron ディストピアやサイバーパンクはいつものEmptyと関連性があると思うのですが、今回みたいにアンダー・グラウンドなサイバーパンクというか、鬱々とした物語はkahocaと二人だけだと作れなかったことかなと思います。

水槽 サイバーパンクやディストピアは好きなんですけど、自分がソロで制作したらもう少し現実的になると思うんですよ。だから、今回はNeuronが作った脚本、Emptyの世界に、外部の演者として入っていく感覚でした。

―kahocaさんは最初Neuronさんのデモを聴いたときにどのように感じましたか?

kahoca 私は初めて聴いたとき、歌い始めから英語のラップがあるってことに気を囚われていましたね。でもいつも通りのEmptyの世界観、これを水槽さんとやったらどうなるんだろうとワクワクしました。

kahoca(Empty old City)

―Neuronさんとkahocaさんが協力して作詞を?

Neuron そうです。今回ラップを取り入れることで、作詞のハードルが普段よりも上がりましたね。ラップとして格好良く響くように、それでいてストーリーを表現することを目指すと、どちらも妥協せず叶えるのが大変で……英詞ではいつもよりも意味が上手く伝わらないフレーズが出てきたので、kahocaに相談したら音楽的にも意味的にも相性の良いフレーズのアイディアを提案してくれました。

kahoca 作詞について私が参加したのは本当に少しで、ほぼNeuronが作ったと思います。でも、相談してもらったときは、ちゃんと伝わりやすくすることで、せっかくラップする意味を高めたいと思っていました。

水槽さんの歌にはアタックとずんとした重量感がある(kahoca)

―kahocaさんと水槽さんの歌い分けがとても良くて、掛け合いの耳心地がとても良いです。デュエットとしての精度を高めるために制作や録音時に意識したことは?

水槽 完成形を聴いたときに、自分の声は異物混入って感じだったというか。自分は何かこう……ツルツルっとした感じで奇麗なEmpty old Cityが好きなので、そこに入り込んじゃった感がありましたね。全部kahoちゃんが歌っても良いなって今だに思っていて、その方が奇麗にまとまるだろうなとは思う。

Neuron kahocaが歌ったらいつも通りのEmptyになるというか、その……水槽さんの言うツルツルというか(笑)、少し浮世離れしたニュアンスで、整然とまとまるとは思うんです。でも、それだと「Offline Saga」のような重さのある曲の世界を表現し切れないと思うんですよ。だから、その水槽さんが言う異物感は、僕らが期待していたものなんじゃないかなと思っています。

kahoca 私も同じように感じていて、仮歌でこの曲全体を私が歌ってみたりもしたんですけど、それだと何か物足りなさがあったんですよね。水槽さんの歌にはアタックがあって、ずんと重量感があるから「Offline Saga」の世界とも相性が良かったのではないかと思っています。

Neuron 水槽さんの声には程良い現実とか、生活感があると思うんです。でも僕らは普段の作品では生活感とかはそんなに出ないから、今回水槽さんの声によって新しい表現ができたなと思います。

ー最後にFAVOYに遊びに来る方に、コラボ・ステージをどのように楽しんでほしいですか?

Neuron 感じる通りに、身体を揺らして楽しんでいただきたいです。

kahoca 好きなように、思う存分楽しんでほしいですね。

水槽 Emptyの初挑戦である、ラップに注目してほしいですね。Empty old Cityの新しい表情と、異物な自分のニュアンスも楽しんでもらえたらなと思います。

『eplus presents FAVOY TOKYO -電鈴合図-』開催

 2025年8月7日(木)、8日(金)にライブ・イベント『eplus presents FAVOY TOKYO -電鈴合図-』が開催決定。一日目にシンガーの缶缶/Sou/超学生が、二日目に音楽ユニットのEmpty old City/シンガー・ソングライターの水槽(suisoh)/シンガーのダズビー(DAZBEE)が出演する。

チケット購入リンク:https://eplus.jp/sf/word/0000169895

◼︎開催日時:2025年8月7日(木)、8日(金)、開場:16:30 開演:17:45
◼︎開催場所:Zepp Shinjuku 〒160-0021 東京都新宿区歌舞伎町1-29 タワー B1F 1 東急 B4F
◼︎出演者:缶缶/Sou/超学生/Empty old City/水槽(suisoh)/ダズビー(DAZBEE)

◼︎チケット種類/料金:オール・スタンディング 1日券:¥6,900(税込)、U-18限定通し券:¥9,800(税込)
※U-18限定通し券は数量限定、身分証必須

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