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企画:Mizuki Sikano

ボカロP、歌い手、絵師などのクリエイター同士がつながり合い、コラボレーションをし て、一つの音楽作品を作ることができる場所=MECRE。クリエイターたちはどのようにつながり、作品を作り上げているのだろう? 今回はMECREから「ハロー、幸せさん。」をリリースしたばかりの若手ボカロP、A4。に話を聞く。音楽歴2年でプロとして活動できた理由とは?

ボカロPのA4。インタビュー ×「ハロー、幸せさん。」

音楽歴2年でプロのボカロPになったA4。

―2022年秋のボカコレ、ルーキーランキングで1位を獲得して以来、TOPランキングでもずっと上位にいらっしゃいますよね。

A4。  いや、本当に皆さんのおかげで、たまたまです。音楽を始めたのがちょうど2年前で、初投稿曲の1カ月後にボカコレ2021年秋が開催されたんです。だから2つ目に作った楽曲「鎮魂歌。feat.可不」でルーキーランキングに初参加しました。

―スピード感がすごいですね。以前バンドで活動していた経験などもない?

A4。  そういうのがないんですよね。楽曲でギターやベースで参加してもらっているメンバーがいて、それでバンドサウンドがするからそう思われたんだと思うんですけど。アコギを少し触るぐらいで、それも全然弾けないので、弾ける楽器はないですね。

 バンドについても好きですけど詳しくはなくて、中学時代にRADWIMPSやONE OK ROCKを聴いていたぐらいなんです。 

―何がきっかけでボカロPをやってみようと思いましたか?

A4。  元々ヒップホップが大好きで、サンプリング・ミュージックやビート・メイカーに興味はあったんです。それで音楽を作りたいなぁとはずっと思っていたけど、何もできていませんでした。

 それで……、僕はキタニタツヤさんのことが大好きなんですけど、キタニさんがYouTubeで生放送をしていて、それをよく見ていたんです。いつもの僕ならそういうのにコメントはしないタイプなんですけど、生まれて初めてコメントをしてみたんですよね。

―何てコメントしたんですか?

A4。  「音楽的な知識がなくても、曲作りができますか?」ですね。そうしたら、キタニさんがコメントを拾ってくれて、「まず、手を動かせ」と。

―シンプルなコメントが返ってきたんですね。

A4。  それを言われて、とりあえずDAW(読み:ダウ)を買いました。ネットで1番有名だと書いてあった、STEINBERG Cubaseを(笑)。でもやっぱり僕はヒップホップが好きなので、周りに居るABLETON Liveを使ってる人たちが格好良く見えちゃう。

―Liveも使って二刀流で行きましょうよ。

A4。  あ〜、でも一度Cubaseの味を知ってしまうと、戻れないっていう。最初に触ったものが親だと思っていて、Liveに手を出したら混乱するんじゃないかなって思うので諦めてますね……まぁ、いつか(笑)。

“A4。と言えばコレ”みたいな物を作りたくない

―A4。さんはヒップホップが好きだったり、FUJI ROCK FESTIVAL‘23にDJ出演したりと、ボカロシーン以外の音楽への興味も強そうですよね。

A4。  友達はボカロPが多いんですけど、一番はヒップホップが好きで……最近流行しているUKドリルとか、国内だとRin音さんとかクボタカイさんとか、メロウでポップなものまで聴いていました。でも、これら以外の音楽を好まないとか、聴かないとかもないです。

―ヒップホップが特別好きなんだと思うんですけど、そっちに思いっ切り振った音楽を作らないのはどうして?

A4。  “A4。と言えばコレ”みたいな物を作りたくなくて。ジャンルレスでいたいというのにこだわっているからです。それぞれ曲調がかぶらないように、善処しています。

―A4。さんの多くの曲にはギターのmiruさんや、ベースのタナカ ユウダイ(ユアネス)さんが参加していますよね。その影響もあり、サウンドの統一感みたいなものはとても感じます。

A4。  同じ編成やアレンジの要素はあっても、曲調で変化していきたいと思っていますね。例えば、“このボーカルチョップやシンセ・ブラスの感じA4。だよね”という風にはなってほしいんですけど、でも“A4。っていろいろな曲を作るよね”とも思ってもらいたいんです。僕自身はリスナーの皆さんに“僕はこういう曲が好きなんだけど皆はどう?”と問いかける気持ちで作っています。

―DJみたいな感覚で曲をアウトプットしているんですね。一緒に作ってるメンバーの皆さんも、飽きなくて楽しそうです。

A4。  そうですね。実際に彼らもそう言ってくれますね。僕NGを出さないんですよ。弾いてくれたものをそのまま使うので、僕と一緒に伸び伸びやってくれてるんじゃないかなと思います。

―ギターやベースを外注する方だと、もっと過度に音の加工を加える方も多いですよね。A4。さんはかなり演奏のニュアンスを生かして編曲されている印象です。演奏のグルーヴが損なわれないように配慮されている。

A4。  そう言っていただけるのはとても嬉しいですね。確かに過度にエフェクトを加えたりはしないんですけど、Bメロにあったギターバッキングをイントロに持ってきたり、カットしたりなどはやっちゃっていますね。

 ギターのmiruもベースのタナカ ユウダイもオールラウンダーで何でも出来るんですよ。いつも想い描いているニュアンスの演奏が届くので、僕らは音楽の趣味が合うんだなぁとも思っています。

―「ハロー、幸せさん。」で何か印象的な彼らのプレイは?

A4。  ギターソロの部分は、この楽曲の音楽性にかなり合わせてくれたなと思いました。一応リクエストはした上だったんですけど、本当に100点のフレーズが来ましたね。サウンド・プロセッシングもしてくれていて、本当にありがたいです。ベースなんて、本当にそのままなんです。音作りもしてくれているから、僕の方でプラグインとかもかけてません。

「ハロー、幸せさん。」の楽曲コンセプト

―「ハロー、幸せさん。」の制作は、どのように進めましたか?

A4。  まずさぶれさんとTokiさんを選ばせていただいたのは、ずっと歌ってみたなどを聴かせていただいていて好きだったからです。楽曲のコンセプトを決めるとき、お2人を起用するならば、これしかないと思ったのが“日曜日にスキップしているような曲”っていう。

―ハッピーなイメージだったんですね。

A4。  2人とも優しい声なので、日常で隣にある曲というか……いつ聴いても良い意味で邪魔じゃない曲にしたいなぁと。音楽って身近にあるものじゃないですか。音楽みたいに、幸せは意外と身近なところにあるということを表現したいと思って作ったんです。

―MVのコンセプトは?

A4。  イラストをおキらくさん、映像編集をshuuyaさんに作っていただきました。僕も含めて3人で相談をしたのが夏前で……夏と言えば海ということで。もはや秋になってしまいましたが、海(笑)。

―A4。さん、おキらくさん、shuuyaさんの夏に向けてワクワクしていた気持ちがMVに反映されているのですね。

A4。  そういうことですね、過ぎてしまいましたが(笑)。でもめちゃくちゃ素敵な曲とMVになったと思っています。

―今回歌い手のさぶれさんとTokiさん、イラストレーターのおキらくさん、映像編集のshuuyaさんとチームで一つの物を制作したこと、振り返ってみていかがでしたか?

A4。  ボカロも大好きなんですけど、歌モノのJポップも大好きなので、自分の曲に肉声が加わったり、皆さんそれぞれ持っていらっしゃる表現が僕の曲を彩ってくださった……すごく幸せだなと思いながら制作していました。

―ボーカリストの表現が加わる快感があったのですね。

A4。  そうですね。お二人ともすごくお上手なので歌っていただけたことがとても嬉しかったです。また機会があったら、こんな風に歌い手の方や映像の方々と一緒に制作してみたいなと思いました。

―今年1年でやりたいことは?

A4。  アルバムを作ることですね! ボカロP名義のA4。とシンガーソングライター名義のTadano Kaedeの両方で一枚ずつ作れたらいいなと思っています。

余談:A4。が注目するボカロP=雨の介

―A4。さんが最近好きなボカロ曲はどんなものですか?

A4。  雨の介さんの「サヨナラ街道 feat.flower」。これはもう全部が良くて、本当に大ファンですね。メロディ・ラインがめちゃくちゃ格好良い。絶対僕には思い付かないような音がする。テンポ感も独特で超格好良いです。

―このノリの良さと演奏のグルーヴを大事に生かすアレンジは、A4。さんの好みとして納得できます。

A4。  雨の介さんの影響も受けていると思いますね。

―A4。さんギターめちゃくちゃ前に出しますよね。

A4。  だってギターって超格好良いから(笑)。どうしても出したくなっちゃいますよね。

A4。プロフィール

■Twitter:https://twitter.com/A4_official_
■YouTube:https://www.youtube.com/@a4_official_

 A4。は斬新な展開やノリの良さが特徴のトラックメイカーで、2021年10月よりボカロPとして活動を開始した。

 ボカコレ2022秋のルーキー ランキング1位を獲得した楽曲「天使の翼。」は、スマホゲーム『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』にも収録。FUJI ROCK FESTIVAL‘23ではDJ出演。

「ハロー、幸せさん。」作品クレジット

「ハロー、幸せさん。」ダウンロード/ストリーミング:https://mecre.lnk.to/HelloMsHappy
歌唱:さぶれ、To-ki
作詞/作曲/編曲:A4。
イラスト:おキらく
動画:shuuya
ミックス&マスタリング:ねぐせつき

MECREとは?

「MECRE」は“昨日初めて作品を発表した人も、1,000万回再生動画の主も、フラットに出逢い新しい創作活動ができる場所”をテーマに、各クリエイター/アーティストは自身のポートフォリオページを制作した上で、自らの新しい創作にあたって必要なパートナーを自由に募集することができるサービス。

■MECREサイト:https://mecre.net
■MECRE Twitterアカウント:https://twitter.com/2021Mecre
■MECRE YouTubeチャンネル:https://www.youtube.com/channel/UCISAnAHCURVxlpFdR1jLF5Q

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