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取材・文:鹿野水月(plug+編集部)

小川未明『赤い蝋燭と人魚』×しきみ イラスト/乙女の本棚シリーズ

 文学の名作を色彩豊かなイラストとともに楽しめる=乙女の本棚シリーズ第51弾として、しきみ『赤い蝋燭と人魚』が発売された。

 今回は本書のイラストを手掛けたしきみにメール・インタビューを敢行。本書を手に取った方にも、手に取る前の方にも、ぜひとも楽しんでほしい。

しきみ プロフィール
 イラストレーター。東京都在住。『刀剣乱舞』など、有名オンライン・ゲームのキャラクター・デザインのほか、多くの書籍の装画やファッション・ブランドとのコラボレーションを手掛けている。著書に『恋愛論』、『夜叉ヶ池』、『悪魔』、『詩集『青猫』より』、『魔術師』、『桜の森の満開の下』、『夢十夜』、『押絵と旅する男』、『猫町』、『夜話 Forgotten Fables』、『獏の国』がある。
X:https://x.com/keeggy

イラストレーターしきみ インタビュー

ー『赤い蝋燭と人魚』は今回初めて読みましたか? 他の小川未明作品など含めお気に入りなどがあった場合、しきみさんが感じるその魅力について教えてください。

 子供のころに酒井駒子さんが挿絵を描かれている『赤い蠟燭と人魚』を読み、衝撃を受けて、そのころからとにかくこのお話が大好きでした。文章から想像される情景の美しさと、童話と怪談の両方の要素を合わせ持っているように感じられるところが魅力的です。

ー『赤い蝋燭と人魚』を読んでみて気になったことや、ストーリーについてどのような感想を抱きましたか?

 人外の娘がお爺さんお婆さんに養育され恩返しをする、という前半の雰囲気は童話的ですが、後半で人魚の女が訪ねてくるシーンや町が滅びるという結末はやはり怪談のようですよね。ラストシーン、人魚の娘が母親と海中で再会するという挿絵を描いたのですが、これは文章で明言されている情景ではありません。

 でも今の時代にこの作品に挿絵を付けるなら、このくらいの救いはあってもいいのではないかと思い描きました。

ー『赤い蝋燭と人魚』の挿絵を手掛けるに辺り、積極的にインプットしたり、調べて学んだりしたことなどはありましたか?

 物語の舞台のモデルになったと言われている新潟県の海や浜辺の資料や、昔ながらのろうそく屋の写真を参考にしました。

ー挿絵の中に幾つか余白を生かした、日本美術的なミニマルな構図が感じられます。何か参考にした部分などはありましたか?

 おっしゃる通り、浮世絵を参考にしています。浮世絵のような、見ていて気持ちの良い構図、デザイン性がありながらも漫画的な分かりやすさもあるイラストを目指しています。

ーしきみさんが注目している画家やイラストレーターなどのクリエイターはいますか? その魅力はどこにありますか?

 イラストを描き始めたころからずっと、竹さんが憧れのイラストレーターです。竹さんのイラストはいつの時代も常に新しく、それでいて揺るぎない個性があり、とても魅力的です。

ーこの乙女の本棚シリーズの挿絵を幾つか担当されていますが、人間以外の空想上の生物を描く機会はあまりないのではないかと思いました。何か今回描きながら感じた違和感や、他作品への取り組み方との違いなどはありましたか?

 このシリーズはありがたいことに、今までもとても自由に描かせていただいているので、違和感などはありませんでした。ただ、先に挙げた酒井駒子さん画の『赤い蠟燭と人魚』という作品が自分の中に先にあったため、意識し過ぎないよう、また自分が描く意義のある本になるよう注力したところが、他作品に取り組んでいた際との違いかもしれません。

ーキャラクター・デザインの際に、どのような要点に注意を払いながら考案していきましたか?

◼︎人魚
 人間とは明確に違う生き物として描写したかったため、伸びっぱなしの髪で顔を隠しています。これは後半で人魚がろうそく屋を訪れるシーンを、幽霊画のようなホラー・テイストで描きたかったためでもあります。人ではないので、服なども身に付けていません。

◼︎人魚の女の子
 人魚とは違い、髪や服を人間の娘のように奇麗に整えています。作中でろうそくに絵を描くという作業をするため、着物の上にエプロンを着せるスタイルにすることは初めから決めていました。最後のイラストで海の中に戻った際は、人間の証である着物やアクセサリーを脱ぎ捨てています。

ー陸の上の人間の世界と、海の中の人魚の世界を描き分ける上でどのような工夫をしましたか? しきみさんは人間の目線で、海の中の世界に憧れたりしますか?

 大まかにですが、人間の悪意を赤色、人魚の悲しみを青色で表現しています。何となく人間の悪意が感じられるシーンの背景色が赤系統になっているかと思います。人魚の娘がろうそくを真っ赤に塗ったのも、人間の悪意が原因です。最後に人魚の娘は人間からもらった赤い着物(悪意)を脱ぎ捨てて海に帰っていく、というイメージです。私自身あまり海が身近でない場所に住んでいることもあって、海はずっとよく分からない大きな怖いもののイメージがあります。

ー現在読者の方々の手に『赤い蝋燭と人魚』が渡っていますが、どのようなところを楽しんでもらえたら嬉しいですか?

 初めて読む方には、ぜひお話の展開にワクワクしていただきたいです。既にこの作品がお好きな方には、どのシーンがどのような挿絵になっているかを楽しんでいただけたら嬉しいです。

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