文:鹿野水月(plug+編集部) 写真:Formula(名古屋)、annyoi、sugadai(京都)
目次
渋谷発音楽イベント『NIGHT HIKE』
『NIGHT HIKE』とは、さまざまなネット・カルチャーを体感できる音楽イベント。過去に渋谷で三回開催されてきて、この度ツアーとして6月15日に名古屋CENRAL、16日にはWORLD KYOTOでツアー公演があった。
11月02日(土)には、『NIGHT HIKE TOURS 2024 in 大阪』が開催されるとのこと。ツアー参加を考えている方は、この記事の動画とライブ・レポートでムードを予習してみてはいかがだろうか。
ツアー・レポート『NIGHT HIKE TOURS 2024 in 名古屋/京都』
NIGHT HIKE TOURS 2024 in 名古屋
plug+(ぷらぷら)編集部は、今回の名古屋と京都のツアーに同行することになった。“渋谷から出演者たちと一斉移動する”とのことで、朝7時半に渋谷駅前に集まるところからこのツアーは始まる。
演者が渋谷駅前に勢ぞろいしているのだが、朝ということでいまだ誰のギアも入っておらず静か。二つの班に分かれてハイエースに乗車し名古屋に向かった。
前半は座席の近い者同士でコミュニケーションを取ったりもするのだが、名古屋までの道は思ったよりも長く、次第に車酔いに悩まされる者、前日まで制作に追われていた睡眠不足勢などが次々に眠りに落ちていく……。
PAS TASTAのVLOGにも映っているのだが、そんな静かな車内で、ふと後ろを向いたときに、hirihiriくんがサービス・エリアで購入したらしいピンク色の棒状のふ菓子(40cm以上の苺味)を一人黙々と食べ続けていたのが面白かった。
そんな時間を経て、名古屋へ到着。
今回の現場は、名古屋市の繁華街=栄エリアにある名古屋CENTRAL。CENTRALは、雑居ビルの3Fイベント・ホール、4Fのレコード・バー、5FのDJバーから成るライブ・スペースだ。今回の『NIGHT HIKE TOURS 2024 in 名古屋』は、3Fと5Fを2フロアを使用して開催された。
開場すると3Fメイン・フロアにはどんどん人が入り、一番手がDJパフォーマンスをするころには一杯に。渋谷発の新興イベントが、ツアー初日でほぼ満員状態というのは快挙と言っていいと思う。
トップ・バッターのSEEは、自身の曲を交えつつヒット・ボカロ・ナンバーやキタニタツヤなど彼の尊敬するアーティストの楽曲を中心に選曲。
次に登場したwariは名古屋を中心に活動するDJで、この日はボカロックのみならずボカロエレクトロやJポップなど幅広い選曲で会場を盛り上げていた。
柊マグネタイトはネット・シーンの中でも取り分けボカロPのファンに刺さる楽曲をセレクト。
ここまでの流れを読んでか、次に登場したDJ WILDPARTYは、そのすべてをクラブ・ミックスしたようなパフォーマンスを披露。客層を嗅ぎ分けた選曲、毎度のことながらエモさを重要視しているのがひしひしと伝わってくる音で、会場の高揚感はピークに近いところまで登った。
そしてこの日の2ndフロアでは、地元名古屋のDJ、あんこ、春爺、ohichaaanもプレイ。
さらに、キツネリ、A4。の2組が2ndフロアに登場すると、東京からツアーに参加する2組のファンや彼らのプレイを初めて体験する名古屋のファンが入り混じって2ndフロアも大いに盛り上がりを見せていた。
最後にメイン・フロアに登場したのは、6人組ユニットのPAS TASTAだ。ウ山あまね、Kabanagu、quoree 、hirihiri 、phritz、yuigotの全員がそろってステージに上がるのは珍しい。曲ごとにターン・テーブル前をメンバーが入れ替わっていくのだが、時にウ山あまねがマイクを持って歌唱する一幕も見受けられた。
硬質なサウンドのビートが持ち味の彼らの楽曲が、かなりパンチの効いたサウンドで再生される。6人がステージから激しく煽る様子も相まって、かなりアグレッシブなノリで『NIGHT HIKE TOURS 2024 in 名古屋』は幕を閉じた。
NIGHT HIKE TOURS 2024 in 京都
二日目、京都に向かう。
今回のハイエースの中ではPAS TASTAのメンバーはノートPCを開けてDTMを、柊マグネタイトはおそらく作詞などの作業を進めているようで何とも精力的で驚かされる。
昨日よりもあまり時間が経たずして到着したWORLD KYOTO。
今回はキャパシティもグッと広がり、メイン・フロアも重厚な柱に半円アーチがかかった内装で、シャンデリアとミラー・ボールの光がきらきらと輝く華やかな会場だ。
本日から合流したいよわ、r-906、MASAYASU(MYSS)、Naohiro Yako、D.wattらも参加したリハーサルを経て『NIGHT HIKE TOURS 2024 in 京都』は15時にオープン!
メインのトップ・バッターを務めたZYARI BOYSは、ハウスなどから歌モノのエレクトロとボカロ曲を効果的にミックスさせて『NIGHT HIKE』のコンセプトにハマったパフォーマンスを披露。
その後、ハウス・ミックスを貫く玄人なパフォーマンスで異彩を放っていたMASAYASU(MYSS)への橋渡しも意識されていたのかもしれない。
次に登場したのは、柊マグネタイト。実はリハーサル中DJ用に持参していたパソコン(DAW入り)が無くなるというトラブルが発生し、その行方が分からぬままステージに上がった彼だったが、そんなことは物ともせずに堂々プレイ。昨日に引き続き、ボカロ曲を中心にした選曲でフロアの盛り上がりの火付け役になった。
この時間帯になるとメイン・フロアは既に人であふれかえり、入場規制が行われ移動するのも一苦労。2ndフロアでは、前日名古屋でメイン・フロアを沸かしたSEE、京都ツアーのみに参加となったNaohiro Yako、D.Wattらのプレイが続きフロアを大いに盛り上げていく。
メイン・フロアではいよわが登場し、自身の曲を満遍なく散りばめたミックスを披露。先月リリースされたばかりの最新アルバム『映画、陽だまり、卒業式』から「キャットファイト」などを選曲。観客は身動きが取れない状態の中、割と激しいロック・バンドへの声援と見紛うような歓声とノリでエネルギッシュな楽しい時間を過ごした。
PAS TASTAのメンバーは昨日のセットリストの曲順を入れ替えるなどアレンジを加えており、自身の「turtle thief」の(フロクロ remix)やいよわ「一千光年」などのリミックスなどから、最後は新曲を披露。これまでの電子的な音使いと印象が異なるバンド・サウンドで構成されたこの楽曲はPAS TASTAの新たなパフォーマンスの契機になるのかもしれない。
2ndフロアでは、A4。、キツネリ、DJ WILDPARTYが畳みかけるように、DJブースとお客さんの距離がより近いこともあって、フロアに特別な一体感を作り上げていく。最後には出演DJたちが集まってB2Bも披露していた。
そして大トリはr-906。以前UKドラムンベースを好んでいると話していた彼だが、今回の選曲ではUnderworld(アンダーワールド)の「Two Months Off」やサカナクションの楽曲などがミックスされていたりとジャンルにこだわらないセレクトが面白かった。
もちろん自身のヒット曲「まにまに」などもプレイし、拍手喝采のアンコールを経て自身の最新アルバム『会話記録』から「あなたしか見えないの」で『NIGHT HIKE TOURS 2024 in 京都』は終演を迎えた。
総評
元々聴いていた音楽がボカロ曲であろうと、そうではなかろうと、クラブ=音楽の遊び場の楽しさを体感できることが、シンプルではあるが『NIGHT HIKE』の一番の魅力だ。
ここに来ていた人たちは、おそらくボカロ曲のみならず、さまざまな素晴らしい音楽にたどり着くことができたのではないかと思う。もちろん“ボーカロイドって何だ、中に人は居るのか?”くらいの知識の人たちが感激するのにも十分なほど、パーティーとして盛り上がっていた。
今回の『NIGHT HIKE TOURS 2024 in 名古屋/京都』では、Jポップを効果的に盛り込んだミックスで高揚感をコントロールしていたDJたちの手腕が、このパーティーとしての評価=高いエモさの演出に大いに関係していたと思う。
クラブ・ミュージックの流れる場所は、誰をターゲットにしたイベントであっても“世代感”と“その世代感の熱量を代弁してくれる音楽家”がどうしても必須要素になる。今回の『NIGHT HIKE TOURS 2024 in 名古屋/京都』は、今の渋谷に居る若者のスピリッツをかなり新鮮な状態で運ぶことに成功していた。思わず、今回彼らを運んでくれたハイエース2台にも拍手を送りたくなる。
『NIGHT HIKE Mid 2024』× plug+(ぷらぷら)でアーティスト・インタビューなどを生配信!
このツアーの後、2024年8月24日(土)の『NIGHT HIKE Mid 2024』開催当日に、club asia 2Fスペースの特設ブースにて、『NIGHT HIKE Mid 2024』× plug+(ぷらぷら)による公開インタビューが行われた。
出演者へのインタビューや、各会場のレポートなどが、plug+(ぷらぷら)の公式YouTubeチャンネルにて見ることができる。
plug+(ぷらぷら)のチャンネル登録はコチラから!:https://www.youtube.com/@rm-plugplus
『NIGHT HIKE TOURS 2024 in 大阪』開催概要
NIGHT HIKE TOURS 2024 in OSAKA supported by ジンドゥー
開催日時:2024年11月02日(土)OPEN 14:00 / START 15:00、CLOSE 20:00
会場:club JOULE
https://club-joule.com/
DJ:Aiobahn、R Sound Design、DJ WILDPARTY、r-906、Frog96
VJ : Naohiro Yako (flapper3)
SOUND : Wachi (WOMB)
LIGHTING & LASER : Rio Fukukura(WOMB)
オフィシャルサイト:https://nighthike.net/
SNS:https://twitter.com/nighthikeinfo
https://www.instagram.com/nighthikeinfo/
料金:前売チケット 5,500円(税込)、当日料金:6,000円(税込)+ドリンク代(700円)
●チケット購入
https://tribalcon.zaiko.io/e/night-hike-tours-2024-osaka
主催:TRIBALCON.
協賛:ジンドゥー (KDDIウェブコミュニケーションズ)
協力:BALCOLONY.、WOMB
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