Text:plug+編集部 © 2016 COVER Corp.
VTuber事務所のhololive production(ホロライブプロダクション)主催で、2023年3月18日〜19日の幕張メッセで開催された音楽フェス『hololive 4th fes. Our Bright Parade』。
同企画内では2日に分けて51人のホロライブタレントが登場するライブ・ステージとは別に、ホロライブとDECO*27のコラボ=holo*27のステージが設けられた。ライブは1時間半以上にものぼり、27名のホロライブタレントが出演。
この記事では、そのholo*27 stageの様子をオフィシャル写真とともにお届けする!
会場は開演を今か今かと心待ちにしたファンで埋め尽くされている。ステージ横のスクリーンには、カメラを向けられた観客の映像が次々に映し出されていた。観客たちはカメラに向かいペンライトを目一杯振り、その姿が映されるやいなや、会場から “おぉぉぉ”というリアクションが自然と発生していく。開演前にも関わらず会場のテンションはすでに高い。
この時間を経てオープニング・コールが流れると、今回出演するホロライブタレント27名のビジュアルとクレジットがステージ・スクリーンに映し出されていった。
ステージには、この日のライブで生演奏を担当するバンド・メンバーの姿も見受けられる。メンバーは西村奈央(key)、山本陽介(gt)、三沢崇篤(gt)、櫻井陸来(ba)、髭白健(ds)である。
目次
- holo*27 stageセット・リスト
- 「モッシュレース」さくらみこ×兎田ぺこら
- 「ヴァンパイア」夜空メル×癒月ちょこ
- 「シンデレラ」姫森ルーナ
- 「アニマル」大神ミオ×博衣こより
- 「ビビビ」百鬼あやめ
- 「Sweet Appetite」がうる・ぐら×ハコス・ベールズ
- 「夢嵐」風真いろは
- 「Baby Don’t Stop」雪花ラミィ×鷹嶺ルイ
- 「ゾンビ」クレイジー・オリー
- 「乙女解剖」ムーナ・ホシノヴァ
- 「P.E.T.」沙花叉クロヱ
- 「リップシンク」紫咲シオン×ラプラス・ダークネス
- 「エンドロール」猫又おかゆ
- 「妄想感傷代償連盟」不知火フレア
- 「ヒル」天音かなた
- 「モザイクロール (Reloaded)」アイラニ・イオフィフティーン
- 「ゴーストルール」小鳥遊キアラ × 七詩ムメイ
- 「ヒバナ (Reloaded) 」森カリオペ
- 「プラネタリウム」星街すいせい
- 「愛言葉Ⅳ」ときのそら
- あっという間のholo*27 stage 20曲
holo*27 stageセット・リスト
今回のholo27 stageのライブ・セット・リストは、holo27のプロデュースを務めたDECO*27本人が決めたという。
ここで披露されたのは、3月15日に発売された、書き下ろしのオリジナル10曲を収めた「holo27 Originals Vol.1」とDECO*27のボカロ・ヒット・ソングのカバーを10曲収録した「holo27 Covers Vol.1」という2つのアルバムの楽曲たちだ。
ライブは、これらをミックスして紹介する構成になっていた。
「モッシュレース」さくらみこ×兎田ぺこら
まず最初に登場したのはさくらみこ、兎田ぺこらだ。すでに熱狂する準備ができているファンは大歓声を上げ、初っ端から8ビートのドラムとシンクロし、激しく、細かく、そして熱くペンライトを揺らす。
歪みギターがかき鳴らされる爽やかなロック・ナンバーの「モッシュレース」で、さくらみこと兎田ぺこらが踊るのがラブリーでポップなダンスというのも、楽曲と相性が良い。
「ヴァンパイア」夜空メル×癒月ちょこ
2曲目にして早速DECO*27を代表する楽曲「ヴァンパイア」、ここで登場したのは夜空メルと癒月ちょこである。
現地や配信で観ているホロライブのファンにとっては、彼女らがこの曲のためのオリジナルのダンス振付を披露してくれるというだけで、尊いと感じたのではないだろうか。
それだけでなく、このライブ・バージョンは原曲とアレンジが異なっており、「ヴァンパイア」も艶かしいギター・リフが追加された超ロック仕様になっていた。このアレンジと2人のセクシーな声とのマッチがとても良いので、ぜひサブスクなどで聴き比べてみてほしい。
「シンデレラ」姫森ルーナ
自己紹介から渾身の“んなぁぁぁぁぁぁ!”を披露しステージから甘い声で呼びかけるのは、お菓子の国のお姫さま=姫森ルーナ。これもDECO*27の名曲の1つ「シンデレラ」のイントロが流れると、彼女は衣装を揺らしながら柔らかく手足を動かして踊った。
全体的に柔らかい声質の彼女。この声が少しだけ初音ミクの声の魅力である浮遊感にも通じるところがあり、“「シンデレラ」原曲の魅力をさらに拡大させるような表現”を可能にしているのがユニークなポイントだと感じた。
「アニマル」大神ミオ×博衣こより
4曲目はまたもDECO*27のカバー曲で、「アニマル」。ケモ耳の大神ミオと博衣こよりが登場し、腕を猫の手のように曲げて愛くるしいダンスを披露する。博衣こよりの元気な声は動物特有のアグレッシブさを、大神ミオの大人っぽい声はこの楽曲の女心をしっかりと表現していて、異なる声質の絡みも心地良い。
演奏後には息を切らしながら2人でMCを披露。2人のユニット名は“大こよ神”とのこと。
「ビビビ」百鬼あやめ
和装衣装を身にまとう百鬼あやめがソロで登場し、ゆるやかなテンポのキラキラとしたポップスにぴったりなラブリーなダンス・パフォーマンスを披露。
「ビビビ」はエレキベースとカッティング・ギターが小気味良いリズムを生み出すシティポップチューンになっており、シンセ・アルペジオのキャッチーな響きと“ビビビ”という歌詞が可愛い楽曲になっている。
「Sweet Appetite」がうる・ぐら×ハコス・ベールズ
「Sweet Appetite」はホロライブEnglish のがうる・ぐらとハコス・ベールズによる全編英詞のダンス・ナンバーで、彼女らの愛らしい声質で歌う英詞はセクシーかつキュートなムードが全開になっていた。
この曲はハードロックとEDMがミックスしたアレンジになっているので、シンセ・ベースや重低音が生きたリズム・トラックが会場全体の躍動感を演出しており、観客からこれまでのロックな楽曲との違いも楽しんでいる様子がうかがえた。
「夢嵐」風真いろは
疾走感があふれるロックと夏らしい気怠さが香るレゲエを合わせた「夢嵐」では、風真いろはが登場し、元気で明るい歌のメロディを爽やかに歌い上げ、ぴょんぴょんとジャンプしながら躍動するポップなダンスとともに観客へ届けた。
歌い終わりMCに移行した風真いろはが“ここからはまたちょっと違ったステージになります”と言うと……、
「Baby Don’t Stop」雪花ラミィ×鷹嶺ルイ
ジャジーなブラスのフレーズやエレクトリック・ピアノのコードが洒脱感を生み出している楽曲「Baby Don’t Stop」では、雪花ラミィと鷹嶺ルイが落ち着いた歌声を披露し、大人可愛い雰囲気のダンスで魅せてくれた。
「ゾンビ」クレイジー・オリー
ここでまたDECO*27のカバー曲である「ゾンビ」が流れてくる。これは、まさに楽曲にぴったりなゾンビ女子高生のクレイジー・オリーが担当していた。
「ゾンビ」は、ゾンビになってしまっても人を愛し続けてしまう様子を歌った楽曲だが、彼女の明るい歌声が幾分この曲のヘビーさをライトにしている印象で、この温度感もとても心地良く感じられた。
「乙女解剖」ムーナ・ホシノヴァ
カバー曲は続き「乙女解剖」の歌唱ではムーナ・ホシノヴァが登場。ちょっぴり大人の恋を綴っている歌詞を、お姉さんらしい声でセクシーに歌う。
彼女が歌うことで原曲とはまたちょっと違うリアルなニュアンスが加わり、聴いていて“こういうことだったのか”と新たに腑に落ちるような感覚を与えてくれるパフォーマンスだった。
「P.E.T.」沙花叉クロヱ
書き下ろし曲である「P.E.T.」では、沙花叉クロヱが可愛い幼なげな声と透明感を感じるお姉さんっぽい声を展開ごとに使い分けており、ひたむきに愛する無邪気さと闇に落ちる情念の両方を表すことに成功していた。
この歌唱技法を音源だけでなく、リアルのライブ・パフォーマンスでも存分に生かせる技量を持っているのが彼女の魅力の一つであることは間違いない。
「リップシンク」紫咲シオン×ラプラス・ダークネス
アップ・テンポでツーバスのドラムが“ドコドコドコドコ”言っているちょっとやんちゃなトラックに乗せて、紫咲シオンとラプラス・ダークネスがちょい悪なニュアンスで歌い上げる。
へヴィーなサウンドだが繊細さを感じる歌のメロディや、煽るような歌詞の裏にも人間らしい複雑な感情が感じられた。
「エンドロール」猫又おかゆ
こちらもDECO*27書き下ろし楽曲だが、他とはムードが異なり、バラードに猫又おかゆの低い声が重なり、全体的に落ち着いた雰囲気を持つ楽曲になっている。途中に入ってくるラップの部分では吐息まじりの声になっていたり、猫又おかゆが会場全体をどんどん楽曲の世界へと導いてくれるような感じだ。
後半では急にテンポが倍のロックが入ってくる展開になっており、ただでは終わらせないDECO*27の堪らない部分も楽しめる。
「妄想感傷代償連盟」不知火フレア
初っ端から、前奏のギターのキメに合わせてポージングを取っていく不知火フレア。言葉が連なる心地良さがポイントの歌メロで、透明感のある声がフロウしていく様子は美しさも感じられた。
また、ブレイクにある“あいやいや~”というボーカルに合わせて、両手をフリフリする振り付けが印象的だった。
「ヒル」天音かなた
ファンの歓声が上がる中登場したのは、天音かなた。書き下ろしの「ヒル」は、激しく切ないエモさを感じるギター・ソロが散りばめられたオルタナティブ・ロック。
激しいオケの中で畳み掛けるように言葉が登場するので、きっと歌うのがとても難しいだろう。思わず“一体どこで息継ぎしているんですか!?”と質問したくなるレベルだ。
「モザイクロール (Reloaded)」アイラニ・イオフィフティーン
アイラニ・イオフィフティーンの歌は抑揚が抑えられており、だからこその絶妙なテンションが生み出されていて、それが味になっていると感じた。日本語の発音やリズム感には彼女特有のものがあり、歌詞の内容にある“脆さ”と共鳴して良い化学反応を起こしていた。
「ゴーストルール」小鳥遊キアラ × 七詩ムメイ
「ゴーストルール」もDECO*27のボカロ・ヒット・ソング。ヘビィなギターリフとアグレッシブなデジタル・シンセの波が押し寄せるミクスチャー・ロック・チューンに、人間の弱さをありありと歌った歌詞で聴く者を切ない気持ちにしてくれる。
小鳥遊キアラと七詩ムメイの繊細な響きの声が、歌詞の主人公の感情とぴったり合っていた。
「ヒバナ (Reloaded) 」森カリオペ
「ヒバナ (Reloaded)」はハード・ロックに、上モノ・シンセの泣ける旋律がアクセントになっている楽曲。口角を落としているような発声によるクールな声質の森カリオペにぴったりな楽曲だった。
「プラネタリウム」星街すいせい
次に登場したのは、星街すいせい。息の流れを見せるような、奇麗な発声のアカペラを披露してくれた。
楽器パートがほとんど入っていない「プラネタリウム」だからこそ、普段は聴くことのできない星街すいせいの細かい声のニュアンスまで堪能できる曲になっている。シンプルだが、ファンにとっては堪らないアレンジになっているのが良いとあらためて感じられるパフォーマンスだった。
「愛言葉Ⅳ」ときのそら
最後に登場したのは、ときのそらだ。MCでは“ホロライブが5周年を迎えたこと”と、ここまでの歩みを振り返り、応援してくれるファンへの感謝を丁寧に述べていった。“これから先10年、15年と一緒に居てくれますか〜?”と呼びかける彼女のコメントには、あの瞬間の彼女の心理が一番詰まっていたのではないだろうか。
MCが終わり「愛言葉Ⅳ」の演奏が始まる。
<僕ら止まれない>と未来に向かっての希望を歌うときのそらの姿は、MCで語られていた彼女の素直な気持ちの、限りなく延長線上にある歌だと感じられた。MCからこの歌までの流れが、あまりに美しいドラマだった。
あっという間のholo*27 stage 20曲
holo27 stageは20曲もラインナップがあったとは思えないほど、本当にあっという間に過ぎ去ってしまった。そこには、DECO27がホロライブのタレントたちやRockwellらと共に全力で作り上げたサウンドをはじめ、当日バックでパフォーマンスをしていたバンドが作り上げたグルーヴ、そして何より会場で声をあげて盛り上げた観客の存在も大きな理由だろう。
そしてライブの構成についても、気付いたら熱中してしまう工夫が感じられるのが素晴らしい。『hololive 4th fes. Our Bright Parade』の全体にも言えることだが、メドレーっぽくステージに登場するホロライブタレントが細かく入れ替わること、そしてここでしか聴けないデュエットが楽しめるなどの胸熱ポイントが幾つも用意されていた。
さらに主役であるホロライブタレントのパフォーマンスにも、クオリティの高さが存分に感じられた。MCでは、観客が一体になってホロライブという大きなグループへの愛を再確認できる場所になるよう、コール・アンド・レスポンスの時間が設けられていたりと、終始工夫がされているようだった。喋りや動きで感情を伝えることが上手なホロライブタレントだからこその、ライブの形、パフォーマンスがあると感じられた。
筆者の知り合いは“この感覚を体感したことのない人に、つい教えたくなるような新感覚のライブだった”と感想を漏らしていた。彼女らがMCで必ず口にしていた“ひろがる〜ホロライブ!”という理念に、しっかりと納得させられるライブだったように思う。
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