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Text:Mizuki Sikano

ボカニコとは?

 『ニコニコ超会議』内で楽しめるボカロ系DJイベント企画だったのが、ボカニコ。それがこの度超会議からスピンアウトし、「ボカコレ2024冬」会期中に『Voca Nico Japan 2024 Powered by ボカコレ』として2024年2月25日(日)に単独開催された。

 今回の会場は渋谷のライブハウス、SHIBUYA THE GAME。DJとしては、原口沙輔、柊マグネタイト、r-906、八王子P、Fushi、picco、なみぐる、ささみにく、えあが出演。この会場キャパでこんな豪華なラインナップとは……さすがボカコレ。

  ずっと満員状態の会場で、ボルテージはグラデーションを描きながら最高潮に到達して幕を閉じた。ぷらぷら編集部も参加してきたので、「超会議の名物企画を超えてどこへ行く!?」なボカニコ単独開催、記念すべき第一回目の様子を写真と動画とともにお届けする。

ボカニコ単独開催@SHIBUYA THE GAME

SHIBUYA THE GAMEが入っている雑居ビルの入口

 ちなみに、SHIBUYA THE GAMEは、渋谷のチェルシーホテルなどライブスペースが幾つか入っている雑居ビルの2Fにある。

進化していく2024年ボカクラのムード

 やはりボカクラ(ボカロ系クラブイベント)の面白いところは、ボカロPがリミックスするボカロ曲だと思うのだが、今回は予想していたよりも“独創的”なプレイが揃っていた。どれも「挑戦的なパフォーマンスが展開している!」と思えるほど、DJそれぞれの創意工夫が面白かったと思う。

 ここではそのうちの、一部のみを紹介する。

 

 会場の雰囲気を一変させたr-906のパフォーマンス・スタイルは、“一匹の大きいサカナをドラムンベースのまな板の上にボンっと乗せているかと思えるほどスムーズなミックス”。当然乗っているのは一匹ではないのだが、各曲の連携がずば抜けていた上に、全体のサウンドもシルキーだった。

 ドラムンベースにさまざまな曲を乗せてドライブする様は見事で、「Catchy !?」までのスピード感を強調して会場を盛り上げてから、ブレイクビーツに乗せた「三日月ステップ」でチルなムードを作り出し、それを四つ打ちが引き継ぐ形で流れる「ボイドロイド」などが印象的だったと思う。最後は「まにまに」で限界まで踊らせる、会場のコントロールの仕方が巧みだった。

 今回、「イガク – 重音テト」でボカコレTOP100の一位に輝いた原口沙輔のDJも、味わい深い遊び心が詰まっていた。思い切り良くボカロだけ聴かせてビートとの分断を際立たせる「マーシャル・マキシマイザー」、過激にピッチベンドした「ずんだパーリナイ」、過激にテンポアップした「ド屑」など、過度なリアレンジを避けて、過激なエフェクトで手入れしているのが印象的だった。

 音を聴いたときにアグレッシブで異常な感じがするのだが、考えてみればエフェクトを駆使するのはDJパフォーマンス的に基本中の基本。普通の動作で異常を表すこのスタイルは、革新的なSF映画を観たときの感覚に近い。“常軌を逸したところの常軌”のような感覚なのだろうか。とにかく、普通じゃないユ!

 とは言え、やはり私もオーディエンスの一人としてボカクラに興じていると、DJに「こういうのが欲しいんでしょ?」とヒット曲の大雨を浴びせてほしいときもある。そんな機運を満たしてくれた、八王子PのDJプレイは全員が安心して踊れる魅力があったと思う。今回のトリ、えあによるDJも輝かしく、往年のボカロ名曲を惜しみなく投下するスタイルはさることながら、手を振り上げて客を力強く煽る姿はまさにボカクラ番長。オーディエンスの反応も歓喜に満ちており、本当に“歌わせてくれるDJパフォーマンス”をしてくれた。

まとめ

 進化していく2024年ボカクラのムードの予兆を感じさせてくれた、ボカニコ単独開催。この一回で終わらないように、今後の発展を願いたい。そして、ボカコレ2024冬に参加していたボカロPとリスナーの皆さま、本当におつかれさまでした!

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