“週間ボカロ曲”まとめ通信(2023年1月12日〜19日）〜傘村トータ／稲葉曇／DECO*27×ピノキオピー／Chinozo／いよわ／香椎モイミ／ユギカ／jon-YAKITORY

傘村トータが作詞／作曲／調声した、ピアノ伴奏がオケのメインになっているバラード・ポップス。サビでは輝く星空を想起できるピアノの高音がアルペジオで鳴らされ、そのピアノがそのまま間奏の印象的なリフへとつながる表現が美しい。
元々ふんわりとした声質のついなちゃんだが、この曲ではメインの後ろにディレイ音が重ねられてより浮遊感が演出された音に仕上がっている印象。

ボカロPにフューチャーしたイベント『VOCALOCK MANIA』にも参加予定の稲葉曇による最新曲。歌愛ユキのあどけない歌声と、エレキギター、シンセ、ベース、ドラムという比較的少ない音色で組み立てられたロックのコンビネーションが良い。
最小限の編成にもかかわらずキャッチーなリフの繰り返しで聴く者を虜にする技もすごいが、エレキギターをメインにシンセなどは後ろに下げたミックスによってモノクロのMVのように無彩色な音の世界を作り上げているのも格好良い。

冒頭で“デコ、ピーノ”とクレジットがアナウンスされている通りDECO27とピノキオピーのコライトで作られた楽曲。トップ・レベルのボカロP同士のコラボということで、注目を集めている。闇堕ちしそうな天使と悪魔の会話しているような歌で曲が進んでいく。
ボカロPはそれぞれ自分だけの調声の設定があるというが、この曲ではよく聴くとDECO27とピノキオピーそれぞれの初音ミクの調声が聴けるのが面白い。

可不がボーカルのChinozoによるポップス。サンリオが手がける16人の子供と保育士の群像劇『まいまいまいごえん』のタイアップとして書き下ろされた。バスドラ＋オクターブの可不歌唱でちょっぴりダークなムードを放つが突然愛らしく展開するなど、独特な躁鬱が繰り返される。

同じく『まいまいまいごえん』のタイアップとしていよわが書き下ろした楽曲。ストーリーに寄り添った歌詞やサウンドに定評があるが、何より鉄琴っぽい音や生音と思わしきパーカッションのレイド・バックさせる表現が面白い楽曲。ピアノのバッキングや不協和音に迫力があるのも、楽曲の深みになっていて良い。

香椎モイミの洗練された詞をKAITOが大人っぽくイケボで歌い上げる楽曲。ダークなパーティー的盛り上がりのあるサビに対して、Bメロでは切なさを感じる旋律とフローするピアノが合わさる繊細な雰囲気になっていて良い。

ゲーム『#コンパス 戦闘摂理解析システム』アル・ダハブ＝アルカティアのテーマ・ソングとして書き下ろされた楽曲。捉え方によっては酒焼けしているかのようにノイジーな鳴花ミコトのボイス加工サウンドが印象的な楽曲。

『初音ミク JAPAN TOUR 2023 〜THUNDERBOLT〜』のイベント・テーマ・ソングとしてjon-YAKITORYが書き下ろした楽曲。いつもjon-YAKITORYが行うしなやかな調声とは異なり、“初音ミクそのもの”といった感じで独特のパワーを感じさせる調声になっている。エネルギッシュなシンセ・サウンドも相まって明るい気持ちになれる楽曲。