Text:中村公輔
AUDIO-TECHNICA(オーディオテクニカ) AT2020USB-XP(オープン・プライス:市場予想価格23,980円前後/税込)が2023年6月に登場。宅録や動画配信で高い評価を得ているバックエレクトレット・コンデンサー・マイクロフォン“AT2020”をベースにした、新鋭USBマイクです。オーディオ・インターフェースを使わずに、USB Type-CケーブルでPCとつなぐだけで、プラグ&プレイで手軽に高音質な録音を楽しめます。
【USB2.0、Windows10以降、MacOS Catalina以降に対応】
目次
人気コンデンサー・マイク「AT2020」の音を継承したUSBマイク「AT2020USB-X」に、便利機能を加えてプロ仕様化したストリーマー向け「AT2020USB-XP」
ヘッドフォン端子が本体に搭載されていて便利
ポップ・フィルターなどの付属品も充実
マイクの指向特性は正面の音を中心に拾う“単一指向性”でカブりが少なく(周囲の無用な音を拾いにくい)、また24ビット/192kHzまでのハイレゾに対応しているため、高音質での録音が可能です。マイク背面にはステレオ・ミニ端子が装備され、本機にヘッドフォンをつないでモニターも行えます。前面にはマイクとヘッドフォンのバランスを調整するミキサー調整ダイアルと、ヘッドフォンのボリューム、触るだけで音声のミュート(消音)ができるミュート・タッチ・センサーが配置されています。DAWなどでバックトラックを聴きながら声を録音するときに、DAW内部のミキサーを経由すると自分の声が遅れて聴こえてしまい、歌いづらくなることがありますよね? こんなときにミキサー調整ダイアルを使えば、マイクの音をダイレクトに聴けるので、違和感なく歌うことができるのです。
マイクの底面には、オート・ゲイン・コントロールとノイズ・リダクション機能が装備され、ボタンを押すだけで簡単に音量調整したり、ノイズをカットしたりできて便利です。卓上用のスタンドや、息による“吹かれ”を防止するためのポップ・フィルター、変換ネジ、USBケーブル、USB変換アダプターなどが付属しているので、購入してすぐに使えます。
声が聴き取りやすいクリア&明るいマイク音色
マイクからの位置ズレも気になりにくい
それでは実際にサウンドをチェックしていきましょう。まず驚いたのが、ヘッドフォンからの再生音が思いのほか良かったこと。マイク本体の後ろについている端子なので、正直、特に期待をしていなかったのですが、ノートPCのヘッドフォン出力との差は歴然でした。一つ一つの音がはっきりと、ステレオ感も広く感じられます。音量を上げてもサーっと言うノイズも聴こえず、クリアな音質を保っていました。
次にマイク自体の音質ですが、こちらも明るくクリアなトーンで、声が聴き取りやすいチューニングだと感じました。近づいてしゃべると高域が明るめなクリスピーなサウンド、距離をとると少し甘めなサウンドと、マイクからの距離のニュアンスもちゃんとキャプチャーできますね。単一指向性のマイクの場合、安価なモデルだと正面の軸を外れた瞬間に変なイコライザーがかかったような感じに音質が激変してしまうことがあります。そうすると、動きながらしゃべったり歌ったりすると、音がコロコロ変わってかなり気持ち悪いことが多いのですが、このマイクでは少しトーンが暗くなるくらいで、基本の音は変わりませんでした。これはサッとマイクを立てて配信するようなケースでは、かなりポイントが高いのではないでしょうか?
突発的な大声でも音割れを防止!
周囲のノイズを3段階で減らす機能も搭載
また、底面のオート・ゲイン・コントロールのボタンを押すだけで、自動的に音割れが防止されるので、パッとマイクを立てていきなりしゃべり始めても問題が起こりません。通常、音量を細かく設定しても、テンションが上がると意外と簡単にレベルオーバーしてしまいますよね。特にゲーム実況では、普段の声量でレベルを合わせておくと、盛り上がったところで全部バリバリに音が割れてしまうなんて事故が起こりかねません。AT2020USB-XPでは、ボタンをポチッと押すだけでそれが解消できるのは、便利としか言いようがありませんね。ノイズ・リダクションも、同じく底面に付いているボタンを押すだけで3段階でノイズを減らせる仕組みです。周囲のファンや空調など鳴りっぱなしの雑音を消すのに役立つでしょう。
個人的にこれは便利だと思ったのが、ミュート・タッチ・センサー。マイク本体中央の凹みの部分に軽く触れるだけで、マイクの音声がミュートされます。これは他の音声を聴きながらリモート会議をするときなどに絶対欲しい機能ですね。例えば一緒に音楽を作ったり、ミックスの確認をネット越しで行う際、音楽を流しながら会話もしたいことが多いと思います。そんなときに、音楽を集中して聴きたいのに、マイクからの音声(雑音)が入ってくると邪魔で、特にスピーカーで再生してる場合は二度鳴りが起こったりして正確な音を聴けません。もちろん、リモート会議ソフト上でその都度ミュートすれば良いのですが、複数ソフトをまたいで使うと、ちょっとミュートするその手間が面倒で忘れがちですよね。それがタッチするだけでミュートできて、マイクがオンなのかミュートなのかが青/赤で信号のようにライトが点灯して分かるのは、この機能だけでも価値があると思いました。
弾き語りはまとまりの良いサウンドで配信調整も楽
オート・ゲイン・コントロールをうまく使いこなして
最後に弾き語りも収録してみましたが、こちらはオート・ゲイン・コントロールはオフにした方が良い結果が得られました。オンにするとアコギの音量差に反応して少し音が波打つようになってしまうので、音楽を演奏するときにはオフ、しゃべるときにはオンと使い分けるのが良いと思います。弾き語り時の音色は、素直で色付けが無く、適度にまとまってくれるので配信に非常に適していると感じました。
全体の印象としては、「今すぐ声や音を収録できるマイクが欲しい!」という要望を、とにかく簡単に手間なくクリアするのに特化したマイクという感じでした。録音に手慣れていない人でもすぐに扱えるので、配信や実況でとにかく“今すぐマイクが欲しい人”にはお勧めできる一本です。
Specifications | |
---|---|
価格 | オープン・プライス(市場予想価格23,980円前後/税込) |
必要システム仕様 | USB2.0準拠 |
対応OS | ・Windows 10、Windows 11 ・macOS Catalina、macOS Big Sur、macOS Monterey、macOS Ventura (最新情報は、製品HPを確認) |
型式 | バックエレクトレット・コンデンサー型 |
指向特性 | 単一指向性 |
周波数特性 | 20Hz~20kHz |
電源 | USB電源(DC5V) |
ビット数 | 16ビット/24ビット |
サンプリング周波数 | 44.1kHz/48kHz/88.2kHz/96kHz/192kHz(24ビット/192kHzでの再生は非対応) |
コントロール | ヘッドフォン音量調整、ミキサー調整、ミュート、オート・ゲイン・コントロール、ノイズ・リダクション |
外形寸法 | 52(φ)×142(H)mm |
重量 | 約375g |
出力コネクター | USB Type-C |
ヘッドフォン出力 | 110mW(1kHz、1% T.H.D.、32Ω時) |
ヘッドフォン出力端子 | 3.5mmステレオ・ミニ |
付属品 | スタンド(AT8702)、ポップ・フィルター(AT8175)、変換ネジ(3/8-16 – 5/8-27)、USBケーブル(約2m、USB Type-C~USB Type-A)、USB変換アダプター(USB Type-A~USB Type-C) |
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