文:中川謹(plug+編集部)
2026年3月にデビューを果たした新人女性デュオユニット「FloweRiЯy(フラワリリィ)」。素性を明かさずに活動をスタートさせた彼女たちは、“花園の管理人”というコンセプトのもと、楽曲とストーリーが連動する新しい形のプロジェクトを展開している。
記念すべきデビュー曲「スターチス」の作詞・作編曲を手掛けたのは、気鋭のボカロPである晴いちばん。180BPMの疾走感あふれるサウンド、予想を裏切る劇的な転調、そしてノゾミとサクラによるみずみずしいユニゾンは、どのようにして生まれたのか。 今回はFloweRiЯyの二人と晴いちばんを迎え、ボーカルレコーディングからDAWでのアレンジ、ミックスの裏側まで、クリエイター目線で深く切り込んでみよう。
目次
FloweRiЯy × 晴いちばん インタビュー
■FloweRiЯy(フラワリリー)
【Profile】ノゾミとサクラの2名からなるガールズデュオユニット。二人の周辺で巻き起こる群像劇を花になぞらえて歌として届ける。“花のような”という意味を持つ「Flowery」と”物語”としての「Story」を組み合わせたユニット名で、その名の通り、物語とその象徴となる花を歌に昇華して届けることを活動の軸としている。
HP:floweriry.com
X(Twitter):https://x.com/FloweRiRy_staff
Instagram:https://www.instagram.com/floweriry_staff/
TikTok:https://www.tiktok.com/@floweriry_staff
YouTube:https://www.youtube.com/@floweriry_official
■晴いちばん(ハルイチバン)
【Profile】ボカロP/音楽クリエイター。中学時代からボカロ作品を発表し、2021年秋のボカコレ・ルーキーランキングで注目を集めた。NHK Eテレ「沼にハマってきいてみた」関連楽曲の制作や、企業・アーティストへの楽曲提供でも活躍する、次世代シーンを担う存在。
Lit.Link:https://lit.link/Haruichiban
「変わらぬ心」を掲げたプロジェクトの始動
ー「FloweRiЯy」は“花園の管理人”というコンセプトのもと、活動の普遍的な軸として「変わらぬ心」という花言葉を持つ“スターチス”を1曲目の題材に選んだそうですね。晴いちばんさんは、制作陣から「『エクスプロウル』(晴いちばんの楽曲)に一目惚れしてオファーした」と伺いましたが、最初にお話を聞いた時はどう思われましたか?
晴いちばん お話をいただいたときはびっくりしました。デビュー曲という大切なものを任せていただける驚きと同時に、お二人の声が魅力的だったので「これはやるしかない!」とすぐにお受けしました。
ーノゾミさん、サクラさんは初めて晴いちばんさんが作られた「スターチス」のデモを聴いたとき、どんな印象を持ちましたか?
ノゾミ すごくきれいな曲調で、「これが私たちの始まりの音になるんだ」と嬉しくなりました。まさに“始まり”を感じさせるワクワク感がありましたね。
サクラ 私もめちゃめちゃ大好きな曲調で。2人で一緒に同じ空間でデモを聴いたんですけど、聴き終わった瞬間に「わぁっ!」って歓声を上げて拍手が起こったくらい、心がバクバクしました(笑)。
計算された「短三度下」への転調
ー晴いちばんさんは、普段BITWIG Bitwig StudioをメインのDAWにされていると伺っています。この楽曲のアイデアはどのように広げていったのでしょうか。
晴いちばん まず「スターチス」というタイトルと、廃れた花園を再生していくというシナリオを読み込みました。イントロ部分では“始まり”を意識して、ピアノでいろいろ弾いてみて、しっくりくるコード進行を見つけたところから作っていきましたね。始まりのワクワク感や疾走感を出したかったので、BPMは180に設定しています。
ーこの曲で非常に印象的だったのがサビでの転調です。
晴いちばん Dメジャーで始まって、サビでBメジャーに転調しています。短三度下の転調ですね。最近、サビで転調させるときは「転調先に意味を持たせたい」と強く意識していて。Aメロ、Bメロで「朝に花園をきれいにしていこう」という雰囲気から、サビで転調することで少し時間が経ち、未来のことを考えるような、パッと景色が開ける効果を狙いました。
ーボーカルのメロディラインも、お二人の声を想定して作られたそうですね。
晴いちばん はい。2人のユニゾンが一番映えるメロディを意識しました。サビで一気に開けたときに、2人の力強い声を聴かせたかったので、張り上げ方が一番きれいに聴こえる音域を探ったんです。普段ボカロ曲を作っていると、ボカロはどんな高音でも歌ってしまいますが、人間が歌ったときに気持ちよく聴こえる跳躍や音域は、今回かなり意識しています。
サクラ 自分が持っている声の音域にすごくぴったりで、簡単に歌えるというよりは、すごく気持ちを込めて歌い上げることができました。
ノゾミ 私も歌いやすいキーでした。一番私たちの声を届けて、感情を乗せて歌える音域に作ってくださった晴いちばんさんは本当にすごいなと思います。
MIDIの仮打ちから、豪華アレンジャー陣による「華」の完成へ
ーストリングスやベースのアレンジも非常に華やかで、立体的ですね。
晴いちばん デモ段階ではイントロや間奏のメインフレーズ、トップノートなどから楽曲全体のアレンジまで自分で打ち込みました。ストリングスにはNative Instrumentsの音源「SESSION STRINGS」を使用しています。アーティキュレーションはAccentedに設定していて、理由は音の立ち上がりを素早くさせることで打ち込み中における“音の確認”がストレスなく、素早くできるからです。最終的なストリングスアレンジは半田翼さんにお願いしたんですが、これが本当に素晴らしくて……! さらに、ドラムの疾走感あるフィルや、僕の「動くベースが好き」という意図を汲み取ってウネウネと動くベースラインを弾いてくださったミュージシャンの方々など、「スターチス」は皆さんの力があってできた楽曲だと思っています。
ノゾミ 最終的な完成形の音源を聴いたときは、デモよりも遙かに豪華になっていて驚きました! 私たちの歌声がなくても聴きたいくらい綺麗で感動しました。
ーミックスはNNZN氏が担当されています。仕上がりはいかがでしたか?
晴いちばん 僕はNNZNさんのミックスが本当に大好きで、Spotifyのワークスプレイリストをお気に入りに入れて聴き込むほど尊敬しているんです。なので、自分の作った音源をNNZNさんがミックスしてくださるという事実を聞いただけで最高でしたし、想像をはるかに超える素晴らしい音に仕上げてくださいました。キラキラした要素を生かしつつ、ベースもしっかりと聴かせる音像になったかなと思います。
アニメーションMVとの融合と、これからについて
ー生活音さんが手掛けたMVも話題です。「花園の管理人」というコンセプトに合った色使いが魅力的ですね。
サクラ 短いMVの中に1本のアニメを見たような満足感がありました。風が吹いて嵐が来るような困難な描写もありつつ、それを乗り越えていくストーリーが可視化されて、より楽曲のメッセージがぐっと伝わってきます!
晴いちばん 僕が想像しながら曲を書いた情景がそのまま視覚化されていました。背景などの細かい部分からも、楽曲をしっかり聴き込んで作ってくださったことが伝わり、とても感動しましたね。
ー最後に、FloweRiЯyとしての今後の展望を教えてください。
ノゾミ 「スターチス」という楽曲が、制作の過程でどんどん膨らんでいったように、これから皆さんの前で歌う機会があれば、私たちの思いを乗せてさらに大きな曲に育てていきたいです。近いうちに嬉しいお知らせも出来ると思います。
サクラ 今回の制作を経て、一曲に本当にたくさんの方の力が込められていることを改めて知ることができました。その思いを心に留めながら、今後の活動も頑張っていきたいです! 皆さんにたくさん応援いただけたらもっと大きな動きがあるかもしれません!
楽曲情報
「スターチス」
歌:FloweRiЯy
作詞/作曲/編曲:晴いちばん
URL:https://lnk.to/LZC-3440
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