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Text:Mizuki Sikano

春夏秋冬がコンセプトの連作2番目『Awesome.ep』

4人組バンドLaura day romance(読み:ローラデイロマンス)が、春夏秋冬をテーマにした連作EPプロジェクト『Sweet Seasons, Awesome Works』を始動し、11月16日(水)に2作目にあたる『Awesome.ep』をリリースした。UKフォーク/カントリーをベースにした3曲を収録しており、秋の印象を表現した歌詞、ギターやマンドリンなどを筆頭に弦楽器が描き出す多彩なアレンジ、大胆にもボーカルがパンによって左右に揺らいでいるなど、実験的な浮遊サウンドを楽しめる一枚。

Laura day romance『Awesome.ep』ミニ・インタビュー

今回はメンバーの、井上花月(vo)、鈴木迅(g)、川島健太朗(vo、g)、礒本雄太(ds)4名に、メール・インタビューを敢行し、それぞれ『Awesome.ep』の制作で個人的にこだわった部分について教えてもらった。

井上花月(vo)コメント

●収録曲で一番こだわった部分
「olive drive | 橄欖思巡」の歌い方とコーラスには特にこだわりました。全体を通してうっすらとした声を何層も重ねているのですが、絶妙なニュアンスを表現できたのではないかと思います。たまにもっと思いきり歌いたいなと思うこともあるのですが、この曲ではこうして抑えることでよい部分を出せたのではないかなと思います。

●こだわりの理由
「olive drive | 橄欖思巡」は、じんわりと熱が渦を巻きながら放出されていくようなイメージがあったので、あえて私にしては冷たく、ちょっとぶっきらぼうな歌い方をすることで伝わる熱もありそうだなと思い、そんな風に歌いました。特に、2番目のサビ辺りからのコーラスがお気に入りで、季節が秋から冬になっていく寂しい幸福感、クリスマスや年末が待っているうきうきした感じをよいあんばいで表せた気がして”よっしゃ〜”と思っています。

鈴木迅(g)コメント

●収録曲で一番こだわった部分
「olive drive | 橄欖思巡」です。疾走感はありつつも、一筋縄では行かない印象を付加するために、アレンジ面でさまざまな工夫を施しました。曖昧になり過ぎないギリギリな部分を狙っています。例えば、シンセでノイズを作ったり、ギターの残響をあらゆるところに散りばめて、聴者の耳を邪魔し過ぎずに盛り上げるような工夫をしています。また、当初はアコギで通常のコードのみを演奏していましたが、それだと曲のスケール感が小さくなってしまったため、6弦からE♭、G、C、E♭、B♭、E♭という少し変わったチューニングにしたアコギを重ねています。

●こだわりの理由
世の中にたくさんあるような、いわゆるキャッチーでテンポの速い曲は、アレンジ面で音の要素が多いと伝わりにくくなってしまうためアイディアを詰め込みづらく、結果的に画一化してしまっているような気がしました。そこをいかに避けるかというところが今回のアレンジのテーマであり、こだわりの理由です。

川島健太朗(vo、g)コメント

●収録曲で一番こだわった部分
僕は今作ではギターのサウンド・メイキングを主に担当しました。その中で特にこだわった楽曲は「cardigan」です。
1:35〜辺り2番Aメロで入ってくる、僕の弾くマンドリンのフレーズで絶妙なバランス感を意識しました。マンドリンのコード・ストロークを入れるとアンサンブルに高音のキラッとしたところが足されてとても華やかになるし、やはり楽器の特性上軽快なカントリー感が出てきます。当初のアレンジでは2番Aメロ全編にわたりマンドリンのコード・ストロークを入れていましたが、やはり“カントリーに寄りすぎない絶妙なバランス感を意識したい”と考えた結果、小節の終わりの部分にだけ効果音的に入れることにしました。これにより懐かしいエッセンスもありつつ、どことなくモダンな手触りがうまく表現できたと思います。「cardigan」だけでなく全曲にわたって、こういった細かいこだわりを詰め込んでいるので、少しだけ意識して楽曲を聴いてもらえると面白いかもしれません。

●そのこだわりの理由
「cardigan」のようにリズムもフレーズもカントリー色が強い曲では、ストレートなアプローチで行くと“テレキャスターなどのシングル・コイルのギターをFENDERのアンプで鳴らす”というアメリカ寄りな手法になると思うのですが、それでは自分たちらしくないし面白くないなと思いました。そのため、要所で入るエレキギターのフレーズの音色にも気を配りました。具体的に言うと、あえてハムバッカーが乗ったギターGIBSON SGをオールドMARSHALLのアンプで鳴らす、というロック的アプローチをしています。1:25〜辺りで出てくるテーマのリフがこのアプローチの一例です。
音作りもアンプ側のボリュームをかなり上げて少しサチュレーション気味の音にしました。あらためて楽曲を聴くと、ここに来て突然いびつな音が出てくるのが良いフックになっているなと思います。

礒本雄太(ds)コメント

●収録曲で一番こだわった部分
「maintenance」のイントロ〜サビなど、テーマになる基本的なビートにこだわりました。日ごろから鈴木迅(g)と“スライ&ザ・ファミリー・ストーンのアンディ・ニューマークやグレッグ・エリコのようなドラム良いよねー”と話していたので、まずはあらためて聴き込んだり、スライ&ザ・ファミリー・ストーン『Fresh』の「In Time」や『There’s A Riot Goin’ On』の「Runnin’ Away」を実際に叩いて練習してみたりもしました。
さらに、ラテン、ボサノヴァ、ブラジリアンなニュアンスも入れてみようということになったので、積極的にビートを刻むよりはドラム・セットをパーカッションに見立ててプレイしたりしました。曲中のパーカッションも担当したので、ぜひセットで聴いてみてほしいです。

●そのこだわりの理由
楽曲全体を包み込むなだらかなメロディ・ラインに対して、ドラムは休符を大切にしつつも効果的に間を埋められるように、パーカッシブなフレーズに仕上げられたと思っています。

『Awesome.ep』情報

『Awesome.ep』
Laura day romance
(lforl)

①olive drive | 橄欖思巡
②maintenance
③cardigan

Laura day romance YouTube

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