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Text:plug+(ぷらぷら)編集部

ボカロPをフィーチャーしたイベント『VOCALOCK MANIA』。

 

前回の #ボカロックマニア では、ロック・バンド“ヒトリエ”のギター・ボーカルを務めるシノダと、ヒトリエを敬愛するボカロPのSohbana(そうばな)が対談。昨今のギター・ロックと、エレキ・ギターの重要性について語った。

 

この記事では、その対談の様子を動画とともに少しだけお見せする。

シノダ×Sohbana対談@VOCALOCK MANIA

Sohbana“僕の父親はヒトリエ、母親は初音ミクなんです”

Sohbana 僕は、人生で初めて“ワンマンライブ”というものに行ったのが、ヒトリエの『ai/SOlate』リリース記念のライブだったんです。その次には『HOWLS』の大阪に行ったというくらい、ヒトリエが好きです。この対談のお知らせをインターネット上へ出したときには、僕がヒトリエを好きなことを知っているフォロワーから“おめでとう”って言ってもらえたりもして。

シノダ そうだったんですね、おめでとうございます(笑)。

Sohbana ありがとうございます(笑)。今自分は、ヒトリエの背中を追い掛けてギター・ロックを作っています。そんなボカロPは周りに幾らでも居るのになぜ自分が……という感じはしますが、“すごく幸せだな”と思ってここに居ます。

シノダ じゃあちょっと、その幸せを噛み締めていただいて。

Sohbana 本当にこの45分間、思い出話だけをお話しすることもできちゃうんですけど。

シノダ いろいろ資料に書いてありますね。軽音楽部で「るらるら」をコピーしたとか。

Sohbana 高校3年生のときに、軽音楽部の文化祭でのライブで「るらるら」を演奏しました。当時僕が組んでいたバンドのメンバーは、全員back numberが好きだったんです。ゆらゆらしながらそのリード・ギターを弾いていたんですけど、そのうち、一回のライブにつき一曲だけ僕のやりたい曲を演奏させてもらえるようになって。それで、back numberから3曲と「るらるら」をやりました。メンバーもめちゃくちゃ楽しそうにやってくれて、“これでヒトリエを知った”って言ってもらえましたね。

シノダ さぞかし、やり甲斐があったでしょうね。うちのバンドは、すべてのパートが難しいですから。

Sohbana 「るらるら」って三拍子になるところがあるじゃないですか。当時、正規のバンド・スコアを買ってコピーをしていたんですけど、スクラッチをする部分に“ウニョーン”としか書いていなくて(笑)。“やるようにやれ”ってことなんだなと思って、そうさせていただきました。

シノダ Sohbanaさんの初ライブは、ヒトリエのライブだったんだね。僕が初めて行ったライブは、NUMBER GIRLのライブなんですよ。高校生のときNUMBER GIRLのコピー・バンドもしていたし、言うなれば今自分はSohbanaさんにとって、僕でいうところのNUMBER GIRL的なポジションに居るわけだ。

Sohbana wowakaさんが“僕の父親はNUMBER GIRLで、母親は初音ミクだ”みたいな話をしていたじゃないですか。僕は父親がヒトリエで、母親が初音ミクなんですよ。

シノダ なんか急に、荷が重くなってきましたね(笑)。ありがとうございます、本当に。

シノダが聴いているボカロ曲と、音楽の聴き方について

Sohbana 実は僕とシノダさんって、今回が初の会話というわけではないんですよね。僕は以前に、ボカロPのFushiくんが『The VOCALOID Collection~2021 Autumn~』(=ボカコレ2021秋)のルーキー部門で一位を獲得したときに、それを祝うスペース(X上で誰とでも音声会話ができる機能)をやったんですよ。そこにシノダさんが参加してくださって、Fushiくんを合わせて8人くらいでお喋りしました。Fushiくんとシノダさんが1時間くらい、誰も付いていけないギターの話をしていましたよね。

シノダ そのときはFushiくんが一位を獲って調子に乗っていたので、締めてやろうかなと思って参加しました(笑)。Fushiくんとは、本当に仲良くさせていただいています。

Sohbana シノダさんは、ボカロ曲って聴きますか?

シノダ 僕もニコニコ動画へボカロ曲や動画などを投稿していた身なので、よくニコニコ動画を見ていたし、そこで自分のアンテナに引っ掛かった音楽を聴いていました。古川本舗さん、KNOTS(ノッツ)さん、キャプテンミライさん、牢獄Pさん辺りが好きでしたね。“wowakaは聴いてないんかい”って話なんですけど、もちろん聴いていました。

Sohbana  スペースでFushiくんに「ラジオ体操第九次元」の話をしていたのって、シノダさんでしたっけ? 

シノダ いろいろなところで話しているから分からないけど……螟上?邨ゅo繧(なつのおわり)さんのことですよね? 螟上?邨ゅo繧(なつのおわり)さんって本当にすごいと思うんですよ。一枚に付き14曲入りみたいなアルバムを去年四枚も出しているし、めちゃくちゃ曲を書いているから、 “まじでぶっ飛んでいるな”って思います。螟上?邨ゅo繧(なつのおわり)さんにも、めちゃくちゃ好感を持っているんですよね。

 僕は今も昔も、“自分のアンテナに引っ掛かったものを聴く”という音楽の聴き方をしています。

Sohbana ニコニコ動画のユーザーって、ランキングを見てそこから曲を聴く人も居れば、『ボカコレ』とかの楽曲投稿祭の期間だけ聴くって人もいますよね。シノダさんってどっちでもなさそうじゃないですか?

シノダ そうですね……ただ僕は、『ボカコレ』だけは見ているんですよ。なぜ見るのかっていうと“今回はFushiくん何位だろう”っていうのが気になって(笑)。

シノダとSohbanaが考える“ギター・ロックの今とこれから”

Sohbana なるほど、そうなんですね(笑)。最近の『ボカコレ』のランキングを見ていると、ギター・ロックの楽曲って減ったと思いませんか? 今日はシノダさんに、この話をぶつけたくて。

シノダ それこそ、“エレキ・ギター不要論”とかってあったじゃないですか。僕は、もうそれって消滅したと思っていて。そういった“ギターなんて要らない”みたいな話は『ぼっち・ざ・ろっく!』が全部塗り替えたと思います。あんなにギターなしには成立しないような素晴らしいサウンド・トラックやアニメーションが生まれて、バンドに関してもそうだけど、“やっぱりエレキ・ギターは必要な楽器だな”って思いましたよ。僕も『PHARMARY』というアルバムを作っていたときには、“あんまりエレキ・ギターは要らないんじゃないかな”って思っていたけれど。

Sohbana 打ち込み系の曲が増えていましたよね。

シノダ そうなんですよ。でもだからこそ、“ギターを入れてやろう”みたいなマインドにもなったりして。

 今ってボカロPがめちゃくちゃ増えているじゃないですか。DTMって、楽器が弾けなくてもできるというところが魅力だと思うんです。だからギター・ロックが減ったのではなくて単純に、ギターが弾ける人よりも、取っ掛かりの早さで楽曲を作る若い人たちが増えてきているだけなんじゃないかなと思っています。

Sohbana ギター・ロックを作る人が割合、押されているということですよね?

シノダ そうそう。だってギター・ロックを作るよりそれ以外を作った方が、スピード感があるわけじゃないですか。だから最近は、ギターを持っている人は“エレキ・ギターを信じなきゃダメだ”って思っています。

Sohbana 僕はかつて、エフェクトを乗せまくったリード・ギターをたくさん曲に入れていたんですけど、そこから少し控えめな、小奇麗なサウンドにまとめるようにシフトしていって。今は、先ほどシノダさんが仰っていたように“ギターを入れてやろう”というフェーズに居るんです。だから今回の対談が決まったときに、“今のままじゃシノダさんに顔向けできない”と思って、あらためてめちゃくちゃギターを弾き始めました。

シノダ なんか、ごめんね。僕は“ギター大明神”みたいな存在ではないので、恐れなくて良いんですけど(笑)。

Sohbana いや、それが結果的に僕を救うかもしれないので。

シノダ こんなこと言うとおじさんの発言みたいになってしまうかもしれないんだけど、ギターってある種“反発の楽器”というか、“逆張りをするぞ”みたいな気持ちとともにネックを握るみたいなところがあるじゃないですか。そんな気持ちが創作の根源でもあり、マグマみたいな部分でもあって、そのフィーリングってすごく大事だなと思っています。その感情ファーストで、創作について考えた方が良いのかなって思いますね。

『VOCALOCK MANIA ver.3』大阪&東京開催概要

■VOCALOCK MANIA ver.3
チケット発売中:https://l-tike.com/search/?lcd=71259

『VOCALOCK MANIA ver.3 OSAKA』
日程:
2024年8月17日(土) 13:30OPEN / 14:00START / 20:00CLOSE
会場:club JOULE(大阪市中央区西心斎橋2-11-7 南炭屋町ビル2-4F)
出演者(DJ):r-906、水槽、バーバパパ、柊キライ、YASUHIRO(康寛)、yuigot、DJ’TEKINA//SOMETHING a.k.a ゆよゆっぺ、wari

『VOCALOCK MANIA ver.3 TOKYO』
日程:
2024年8月26日(月) 16:30OPEN / 17:00START / 21:00CLOSE
会場:Zepp Shinjuku(TOKYO)(東京都新宿区歌舞伎町一丁目29番1号 東急歌舞伎町タワーB1F)
出演者(LIVE):かいりきベア、すりぃ、水野あつ、和田たけあき
出演者(DJ):gaburyu、SEE、higma、picco

 過去の『VOCALOCK MANIA』はこちらから→https://www.vocalockmania.com/

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