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Text:Mizuki Sikano

ボカロマニア向けのイベント=『VOCALOCK MANIA ver.1』(ボカロックマニア)が8月5日(土)に開催される。“ボカロPの即売会”、“ボカロPによる楽曲解説”、 “ボカロPのライブ”、“ボカロ曲DJタイム”と多角的にボカロカルチャーを楽しめる、企画内容の充実感がミソだ。

 

当日は楽曲解説と即売会の出演者で、ヒット曲「グッバイ宣言feat.FloweR」でも知られるボカロPのChinozoに、イベントの楽しみ方〜“Chinozoの楽曲の特徴”について自身が思うことを中心に話を聞いた。

Chinozoインタビュー×VOCALOCK MANIA ver.1

『VOCALOCK MANIA』の一番の特徴は“楽曲解説ステージ”

ーボカロに関連するイベントは各地で行われていますが、ボカロPとして表現したい人たちから、ボカロPや曲に対してマニア的な目線を持っているリスナーの方が集まっていたのが『VOCALOCK MANIA ver.0』だったと思います。Chinozoさんから見て『VOCALOCK MANIA』のユニークさは、どういうところにあると思いますか?

Chinozo 『VOCALOCK MANIA』の一番の特徴は、ステージでの楽曲解説があることじゃないかなと思います。今回で言うとライブもあったり……だから僕にとっては、即売会のように触れ合うだけじゃなくて、ボカロPのことを深く知れる密なコンテンツを提供できる場所じゃないかなって。

ー前回の『VOCALOCK MANIA ver.0』で、Chinozoさんは楽曲解説ステージのトリを務めてらっしゃいました。あのときの出演の感想はいかがですか?

Chinozo 自分の楽曲を解説すること自体初めてやったんで、すごく楽しかったですね。歌詞とか大雑把ですけど“ベースがどうなっているか”などを説明できたのがうれしかったです。ただ途中パソコンが壊れちゃって、DAWをお見せしながら詳しく解説することはできなかったんですけど。

―出演時間が前回は30分間でしたが、今回は45分間と少し長いですよね。

Chinozo そうなんですよね。でも、前回は時間が足りなかった人がほとんどだったんで、多分それで長くなったんじゃないかな? 前回と同じく今回も聞き手が居る状態で、僕はボカロPのSAKURAmotiくんとお話しします。

―今回は、r-906さんがDJの解説をして、一二三さん、Chinozoさん、koyori(電ポルP)さんが楽曲解説、あとはバンドのライブやDJがあるというラインナップですね。Chinozoさんが注目しているステージを教えてください!

Chinozo 個人的には、koyoriさんの音楽が好きなんで、“koyoriさんの楽曲解説はぜひ聞いてみたいな”って思ってます。あとは、和田たけあきさん、はりーPさんたちのライブも楽しみです。今回楽曲解説とDJのステージが違うので、自分の出番とかぶってないことを祈ります(笑)。

―Chinozoさんは自分の出番が終わったらダッシュではりーPさんのライブを観に行くっていう感じになりますね(笑)。

Chinozo 15分空いてたら、まあ行けるでしょ(笑)。

Chinozoの音楽性①:バンドロックと電子音楽を五分五分で混ぜる

ー『VOCALOCK MANIA ver.0』のテーマはボカロックで、今回は音楽性に縛りなどはないですよね。出演者皆さんの音楽性なども踏まえて、ご自身の立ち位置みたいなところを何か意識されているところはありますか?

Chinozo 僕の音楽性については、“バンドロックと電子音楽を五分五分で混ぜてる”と思っているんです。今回解説する自分の新曲「ミィハー feat.Tet0」もそんな感じですよね。

他の出演者の方々を見ると、バンドに寄っている方や電子のダンスミュージックに寄っている方が多いんじゃないかなと思って。その2つの中性的なのが僕の特徴じゃないかと思っています。

Chinozoの音楽性②:かわいい音と格好良いギターのミックス

ーあとChinozoさんの音楽の魅力は、男の子とか女の子とか関係なく“かわいい”って思うエッセンスが詰まっているところにあるんじゃないかなと思いました。

Chinozo 僕自身、かわいい音が好きなんですよ。普通に好きな音で作っていて、こうなっているなと思います。

ーギターもキュンとするような、美味しい部分をよく聴ける音というか。

Chinozo そうなんですか?(笑)。

ーギターに限らずですが、音でキュンとさせるあらゆる技をChinozoさんはお持ちだなと思います。

Chinozo でも、確かに……そういう意味で言うと、僕はシンセサイザーとかでかわいい音を入れてるから、逆にギターではかわいいを意識せず“格好良い”を意識してるんです。そういう異なる意図が含まれた音のエッセンスが混ざり合った結果、そう感じさせるものになっているのかもしれないですね。

Chinozoの音楽性③:使用ギターはFENDER Stratocaster

ーChinozoさんのポップスに入っている明るく元気なギターと、ダークな電子音楽でのギター音は、サウンドは違えどどこか一貫性があると思いました。ご自身ではいかがでしょうか?

Chinozo 曲の方向性に合わせて音作りを変えていますが、弾いてるギターがFENDER Stratocasterで同じなんですよ。さらに僕の手癖も相まって、“Chinozoの弾いてるギターフレーズだな”って分かるような感じになっているんだと思います。それで多分似てるというか、一貫性が出ているのかな。

Chinozoの音楽性④:ダーク系とポップスどちらでもかわいい音を使う

ーそういったChinozoさんのギターとかわいいサウンド使いは、どちらかと言うと快活な印象が強いです。一見ポップスと相性が良さそうな表現ですし、お話ししていてChinozoさん自体も明るい印象が強いので率直にお聞きしたいのですが、どうしてダークとポップな曲の両方を制作しているのですか?

Chinozo 曲作りの上で、どこかしらに何かネガティブなものは絶対に入れたいと思っているんです。僕自身コンプレックスみたいなのをいっぱい抱えていたりするのと、個人的にダークな曲がめちゃ好きっすね。どちらかと言えばポップスを作る上でも“明るい中に良い感じにダークを混ぜたい”って思うくらい。なので、比重を“ダークさ多め”とか“明るさ多め”みたいな感じで曲ごとに調整しながら作るようにしているんです。

ー明るい方というよりは、ダークのフェーダー設定を基準にして調整しながら作っているのですね。

Chinozo そうですね。ただビートを重くした曲では逆に明るいエッセンスを何か残したいという考えになっていくこともあります。ダークとポップスどちらの方向性の曲でもかわいいサウンドをアレンジに組み込みたい、ということも同時に意識しているんです。

Chinozoの音楽性⑤:歌詞とメロディの一体感を追求する

ーボカロ曲はノリやすさやパンチラインなどキャッチーな表現に注目が集まることが多いですが、ChinozoさんはイントロやAメロからガッチリ掴んでサビで盛り上げるまでの描き方がすごく自然ですよね。ご自身ではどのような意識を持って作っていますか?

Chinozo 聴き手を掴むことは意識しています。イントロでパンチを付けられるものは作りやすいですけど、Aメロから始まるような曲だと歌い出しのメロディが肝になります。“メロディがちょっと冴えないな”ってなっちゃうと、そっから“続きを聴こう”ってあんまりならないから。

ーイントロのある曲でもChinozoさんのAメロは、音のハマり方とかすごく気持ちよくて歌いたくなっちゃう。

Chinozo それは初めて言われましたよ。ネットでエゴサとかしてもよく“歌いにくい”みたいに書かれていて“そうだよな”って思うので(笑)。でも僕は実際に歌いながら作っているので、全部“むっちゃ歌いやすい”と思ってるんです。ただ、他の人から見て歌いやすいかどうかっていうのは、あんま正直考えてない。

ー実際に歌おうとすると難しいとは私も思います(笑)。

Chinozo でも歌いたくなってくれたらうれしいとは思っています。

ーChinozoさんの曲が歌いたくなっちゃう理由はほかにもあると思っていて、メロディと調声のコントロールが歌詞が聴き取りやすさに効いているからかなと。

Chinozo よかった。そこを言われたの、初めてっすね。うれしいです。僕はメロと歌詞を同時に作ってるから、歌詞と一体化しないメロディはガッツリ変える形で作曲していくんです。歌詞もちゃんと音楽的なフィーリングでテストしながら書きます。

それによって“歌詞もメロディと合体して覚えやすい”みたいな感じになるかもしれないって信じてるんです。特にサビはそうですね。

Chinozoの音楽性⑥:子ども感を出すためにビブラートを控えた調声

ーボカロの調声もクリアで真っ直ぐなニュアンスが強いので、歌詞がはっきりと伝わってきます。

Chinozo わりとクリアですね。あんまりビブラートとかを多めにしちゃうと“歌、上手過ぎる”ってなっちゃうんで、ちょっと下手感があった方がかわいいじゃないですか(笑)。だから、ある程度のニュアンスを加えてあげるにとどめて、あんまり声を揺らさないようにしてますね。そっちの方が子ども感が出るんです。

未来のボカロPたちにこそ『VOCALOCK MANIA』がおすすめ!

ー調声についてはまた別の企画ゆっくりとお話をお聞きしたいです(笑)。こういった制作に関するお話を、『VOCALOCK MANIA』ではDAWプロジェクトやソフトインストゥルメント、プラグインエフェクトなどを実際に見ながら聞けるんですよね。

Chinozo もちろん、たまに自分の制作機材の紹介はしているんですけど、その時々で自分の中のトレンドがあったりして、結構変化するんですよね。今回の『VOCALOCK MANIA ver.1』で、今の自分を見せることができるのが楽しみです。

ー即売会もやっていると思いますが、Chinozoさんに喋りかけてちょっと曲作りの質問したりしても大丈夫なんですか?

Chinozo ぜひ! 何でもしゃべってください(笑)。

ー未来のボカロPの子たちが『VOCALOCK MANIA ver.1』で学びを得られそうな雰囲気が伝わってきますね。

Chinozo  DTMって一人でやるものだから、ほかの人のDAWプロジェクトを見る機会って僕らもサンレコ読むとかじゃない限り本当に無いんですよね。しかも『VOCALOCK MANIA ver.1』は、第一線で今頑張ってるボカロPの方たちがいっぱい出演するイベントで。ボカロPと対面しながら学べるのは本当に大変貴重な機会だと思います。

曲の作り方、ボカロの調声などの制作秘話を知れば、君もきっと最強ボカロPになれる……かも(笑)。僕も新曲「ミィハー feat.Tet0」の詳しい話をしますので、ぜひ、来てください(笑)。

『VOCALOCK MANIA ver.1』開催概要

■公式サイト:https://www.vocalockmania.com/
■チケット:5,500円(購入:https://eplus.jp/sf/detail/3773130001-P0030002?P6=001&P1=0402&P59=1
■日時:2023年 8月5日(土)10:00開場、14:00終了(即売会)、14:00開場、15:00開演(イベント)※21時終演予定
■会場:神田SQUARE HALL &SQUARE ROOM(東京都千代田区神田錦町二丁目2番地1)

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