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Text:Mizuki Sikano

ボカロマニア向けのイベント=『VOCALOCK MANIA ver.1』(ボカロックマニア)が8月5日(土)に開催される。“ボカロPの即売会”、“ボカロPによる楽曲解説”、 “ボカロPのライブ”、“ボカロ曲DJタイム”と多角的にボカロカルチャーを楽しめる、企画内容の充実感がミソだ。

 

当日は楽曲解説と即売会の出演者で、ボカロPの一二三に、イベントの楽しみ方〜自身の音楽スタイルであるロックギターと和楽器とボーカロイドの関係についてなどをインタビューした。

一二三インタビュー×VOCALOCK MANIA ver.1

ボカロPがこだわりを伝えられる『VOCALOCK MANIA』

ー『VOCALOCK MANIA』(ボカロックマニア)にはボカロPが楽曲解説をするステージがありますね。客席には、ボカロPを志しているのではないかと思わしき熱心な方がちらほら見受けられました。

一二三 勉強……“講義、聞きにきてるんだ”ってテンションが感じられたというか、客席の方ではメモを取ったりしてる子たちも居て “面白いな”って僕も思いました。

楽曲解説ってコンテンツ自体が、ボカロ界隈の中でもめずらしいというか初の試みだったと思うんですけど、観てる側も、やってる僕らも楽しくて。やっぱり楽曲投稿だけだと、音作りの面や音選びに込めたメッセージだったりは伝えきれないところがあったりするので、そういった、こだわりを伝える場所の1つとしてボカロックマニアはいいなって思いますね。

ー一二三さんは昨年楽曲解説ステージで、さまざまな和楽器のソフトウェアを紹介していた印象が強いです。

一二三 SONICA INSTRUMENTSというプラグインメーカーが出している音源とか、とにかくマニアックな和楽器の音源の解説とかしてたので、多分人によってはポカーンっていう感じだったと思うんですけど(笑)。

話し相手のど~ぱみんさんもプラグインなどにこだわるタイプだから、ステージ上で僕ら音楽オタク2人がニヤニヤ喋ってるだけの会みたいな感じになってたら、ちょっと申し訳ないんで(笑)。楽しんでもらえてたら嬉しいと思うばかりです。

ー前回のステージの感想とかを踏まえて、今回のステージを用意したり?

一二三 そうですね。直接感想を聞く機会もあって、これから音楽クリエイターを目指そうとしている方々が喜んでくれていたから、今年は“もっと噛み砕いた内容でノウハウ的なことを伝えられるようにしたらいいのかな”と思いました。

“新人ボカロPの人たちがなるべく迷わないように、創作のノウハウ的なことを伝えることができたらいいな”っていうのは考えてますね。

歪みギターと和楽器でバラけた雰囲気を作る

ー一二三さんの魅力は和楽器のみならず、ロックの歪み感を押し出したギターリフにもありますよね。

一二三 ありがとうございます。ギターは音域的にも広い楽器ですし……僕の作る音楽ジャンルは明確にロックなので、“ギターが一番重要なところかな”と思ってるんです。普段の制作でも、なるべく丁寧に作るようにしてますね。

ー一二三さんの場合は、和楽器で情景を描き、感情表現はエレキ・ギターでやってたりするのかなと感じられました。

一二三 もちろん編曲のときに、歌詞に合わせてギターリフを考えるときもあります。ギターに限らず楽器演奏のフレーズを作るときに歌詞に影響されるところは大きいんです。

でも僕自身がロックの中に和楽器をそもそも取り入れたきっかけは、歪みの強いギターと和楽器って音質が違うので組み合わせやすいってことでした。クリアで雅で美しい響きの和楽器、歪んで汚れてて力強いロックギターは、異なるサウンドの特徴を持っているので合わせがいがあるというか……バラけた雰囲気を作れて良いんです。

歌詞に合わせ調声のビブラートを調整

ーサウンド要因の割合が大きいのですね。あと一二三さんの作るボカロの声は、結構ビブラート強くて、泣いてるみたいに揺れていますよね。あれも他のパートと違う響きとして目立って感じられます。

一二三 確かに、そういう傾向はあるかもしれないですね。でもあれはオケに合わせてそうしているっていうよりは、一番に歌詞の内容に合わせるっていうところが大きくて。歌詞の中で“このセンテンス一番悲しげな感じで出したい”ってときは、ビブラートを効かせて切なく聴かせるようにしてます。

ーこのような話を『VOCALOCK MANIA ver.1』ではプラグインの紹介も交えながらお聞きできるんですね。

一二三 そうですね。自分のパソコンの制作画面を見せるのは、未だに恥ずかしいですけどね(笑)。回は最新曲の「あんたにあっかんべ」っていう曲を題材にして、いろいろなお話をしていきます。話し相手は晴いちばんさんです。

ー今回45分間あるので、小学校の授業1つ分くらいありますよね。

一二三 そう、だから今回は制作過程を見せようかなと思っています。どのようにテーマを決めて、歌詞を作って、楽曲ができたら、MVの制作を依頼するのか。リスナーの目線では、MVの制作依頼とかは特に見えにくい部分だと思うので。

初投稿で伸びなくても作り続けて成功

ーこれからクリエイターを目指す方の活動の助けになること間違い無いですね。そのような方々に一二三さんから何か活動のアドバイスするとしたら?

一二三 まぁでもそれは、初投稿であんまり伸びなくても、クヨクヨしなくて大丈夫だよ、くらいっすかね(笑)。挫折する人が多いので。

ー一二三さんはどうして挫折することなく続けられたと思いますか?

一二三 う〜ん……ただ僕も一番最初、初投稿をしたときは、初日で90再生くらいしかされなくて。で、割と落ち込んでから、やり方を変えて、半年で1000再生に行って、何年かして1万を超えて、2017年辺りで、ニコニコ動画(以下、ニコニコ)で10万再生されてっていうような……推移がありました。最初の10万再生まで行くのが長かったですね。1~2年くらいかかってたようなイメージです。

ー軌道に乗るまで気長にやる感じですかね。

一二三 まさに、そうですね。僕、社会人になってから始めたっていうか、社会人になる前くらいからDAWを始めたっていうのもあって、仕事が忙しくなるにつれてボカロもちょっと投稿出来なくなってくるみたいな時期があったんです。大体、1年に4曲出して、年によっては、1年で2曲しか出せなかった年もあったので。それでも続けていたのは、よかったと思っています。

ーボカロックマニアに通っている未来のクリエイターたちにも、そんな風に考えてもらって楽しい制作ライフを送ってほしいですね。

一二三 そうですね。とりあえず『VOCALOCK MANIA ver.1』に開場時間から来て、夜までずっと休みなしで楽しんでもらいたいです(笑)。前回より、すごく色々コンテンツも充実してるので、即売会だったりとか、DJイベントとか全部回ってやる!って意気込みで来てもらえたらいいなと思っています。

『VOCALOCK MANIA ver.1』開催概要

■公式サイト:https://www.vocalockmania.com/
■チケット:5,500円(購入:https://eplus.jp/sf/detail/3773130001-P0030002?P6=001&P1=0402&P59=1
■日時:2023年 8月5日(土)10:00開場、14:00終了(即売会)、14:00開場、15:00開演(イベント)※21時終演予定
■会場:神田SQUARE HALL &SQUARE ROOM(東京都千代田区神田錦町二丁目2番地1)

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