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Text:ケンカイヨシ 企画/編集:Mizuki Sikano ⓒ 2023 ADOR. All Rights Reserved.

現在主にファッション業界で、国内外問わず流行しているY2Kというスタイルがある。Y2KとはYear 2000つまり2000年代を意味するが、ファッションのカルチャーと密接な音楽でも、Y2Kらしさというのがあり、それがNewJeansの音楽性にも通じているようなのだ。

 

今回はプロの作編曲家ケンカイヨシに、NewJeansが音楽的にもY2Kである理由を教えてもらおう。

NewJeansが音楽的にもY2Kである理由

K-POPは1980〜2000年代辺りのクラブ・ビートを再構築している

 こんにちは、作編曲家のケンカイヨシです! 

 NewJeansがY2Kと言われる理由をお話しする前に、まずここ5年間くらいのK-POPは、「1980~2000年代辺りに流行ったクラブ・ビートをどう現代的に再構築するか?」がテーマになっていることに触れたいと思います。

 2000年代までのクラブ・ビートの特徴は、「メロディアスなコード進行」、「重厚なコーラスワーク」、「豊かでダイナミックなメロディ」の要素を含んでいることでした。それは非常にアメリカ的でありながら、ミニマルで、トラップ的でメロディアスなラップに支配されていません。また、現在では廃れてしまった「ボーカル・グループというコンセプト」もポイント。

 現在のK-POPは、2000年代までは健在だったボーカル・グループというコンセプトが生き残ったパラレルな世界線のTop40みたいな趣があるのが魅力です。

 ちなみに、1990年代までは、Jodeci、TLC、デスティニーズ・チャイルド、バックストリート・ボーイズなど、大ヒット・ボーカル・グループがたくさん居ました。

Y2K世代=1990年初頭~2000年前後

 その中でもNewJeansの楽曲を聴いてみると、2000年代までの中でも特にY2K世代=1990年初頭~2000年前後にヒットした音楽ジャンルをいかに再調理するかをテーマにしているように感じます。

 例えば「Super Shy」は、リル・ウージー・ヴァート「Just Wanna Rock」的なジャージー・クラブをほうふつさせるドラムパターンに、オールドスクール・ジャングルなアーメン・ブレイクを交配し、ビートは2ステップ、深いパッドサウンドはFingers Inc.「Can You Feel It」のような初期のディープ・ハウスを感じさせます。

 NewJeans「Cool With You」には、クレイグ・デイヴィッドのストレートな音楽スタイルと、Shift K3Y系の歌モノ2ステップの要素を感じますし、「Attention」のコード感は1990年代のダンスポップ・クラシックである アリソン・リメリック「Make It On My Own」を思わせます。

 NewJeansが音楽的にもY2Kである理由は、1990年初頭~2000年前後のクラブ・ビートをさまざまに交配させた、懐かしくも新しいアレンジによるものが大きいのです。

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