文:Mizuki Sikano
“ヒップホップをカバーするシンガー・ソングライター”としてネット上で名を馳せ、現在はオリジナル・ソングでアルバムを2枚リリースしているkojikojiが、6月16日に恵比寿LIQUIDROOMで初のワンマン・ライブを行った。当日はコンポーザーのニューリーが参加し、アコギの弾き語りだけでなく、ツイン・ギターやビートなどの同期とベースやキーボードを交えた演奏を披露。その多彩な演奏スタイルの一端とパフォーマンスのムード、使用機材などをレポートする。
目次
『kojikoji 1st solo show』ライブ・レポート
宅録の最中を覗き見しているようなアットホームなセット
ステージはワンルームのようなセットになっており、ふわっとしていて座り心地の良さそうなソファ、白くて可愛い間接照明、地球儀や旅行雑誌が置かれた棚が並んでいる。そこに今回の主役kojikojiの弾き語りのセットと唯一のサポート・メンバー、ニューリーのキーボードやベースや同期システムが組まれているのだが、それが絶妙な宅録感を漂わせていて見ているだけで穏やかな気持ちになる。
ライブのMCでkojikojiは“インスタライブでカバー曲をこんな感じで、部屋でギターの弾き語り配信をしていた”と話していたが、本当にその配信のスマホ画面の向こうを、リアルで鑑賞しているような気持ちになるライブだった。ということで、いつものような真っ黒でクールなLIQUIDROOMっぽさはなく、客席から見てステージが身近なものに見えてくる。
その印象はライブの内容にも通じており、全体的に音数が少ないからこそkojikojiとニューリーの演奏のおっとりとしているグルーヴがよく聴こえてきた。また、自然体で繰り広げられるMCや、MCから演奏がゆるっと始まるところなども、彼女らしさがうかがえる部分でこちらを和ませる。
2人編成であらゆるバラード〜ポップスを演奏
基本的に演奏者はkojikojiとニューリーの2人だけだったのだが、ビートやシンセが入ったギター+同期だったり、アコギ+エレキギターであったり、アコギ+キーボード+同期や、kojikojiがソロで弾き語りなどあらゆる演奏スタイルで、バラードやビートの入ったポップス、アコースティック音楽を演奏していた。
1曲目の「TASOGARE」は、ニューリーの柔らかく温かなピアノ伴奏が続く中でkojikojiが登場。ピアノの音色がエレピに切り替わり、しっとりと歌が入ってくる。その素朴さを感じさせるウィスパー・ボイスで、するすると言葉が軽やかに流れるのが心地良い。3曲目では彼女のソロ活動をするきっかけにもなった楽曲、「愛のままに feat. 唾奇 / BASI」 を披露。ギターの上をフロウする歌声があたたかく甘く響いてきて、歌詞の世界観とよくリンクしていると感じた。
5曲目の「wan-tan」になると、ニューリーがエレキベースからエレキギターに持ち替える。ステージ上のラップトップから流している同期にはビート+コーラスやシンセが含まれているが、それらを含めてもとてもシンプルなアンサンブルだからこそ、全体の音の重心が少し上にある印象で、浮遊感やアンニュイなムードを生み出していた。
8曲目の「VIBES」や15曲目でBASI「NICE」のカバーなどではエレキとアコギのツイン・ギターでの演奏が披露され、ニューリーのジャジーなギター・リフがkojikojiのアコギの弾き語りに彩りを加えていく。kojikojiのアコギは、クリアな音に定評のあるTAYLOR GUITARS 312CE-N。
ライブの最中、エレキギターとアコギは2人で持ち替えたり、ニューリーはエレキギターとベースとキーボードを使い分けていた。後々冷静になって考えれば、ニューリーはとても忙しそうなプレイをしていたようだが、当日はそれを感じさせないスムーズな動きだった。ということで、当日のニューリーのライブ機材をチェックしてみよう!
当日のニューリーのライブ機材は?
同期システムは、APPLE MacBook Pro内のABLETON LiveからICONNECTIVITY PlayAUDIO12に送られて、モニターなど含め各目的のために出力されているようだ。 写真は見切れているが、DJ用ミキサーでコントローラーのALLEN&HEATH XONE:K2も置かれているので、おそらくこれを使いマニピュレート行い、サンプル再生などもしていたのだろう。当日はABLETON LiveでMIDIマッピングを行い、XONE:K2の操作子を使ってシーケンスをコントロールしていたという。
https://www.digimart.net/cat20/shop5331/DS06952231/
ちなみにXONE:K2は、砂原良徳が昨年のフジロックのレッドマーキーに持ち込んでライブで使用していたことで、かなりDJの中で有名になりバズった機材だ。
ベースは、FENDER JMJ Road Worn Mustang BassとKALA U・Bassを使い分けて、ベース用マルチエフェクトZOOM B3とベース用プリアンプ/DIのMXR M80 Bass D.I. +を使用。ギターはEPIPHONE Casino、にオーバー・ドライブのIBANEZ Tube Screamer MiniとマルチエフェクトのLINE 6 HX stompを通していたという。
当日のライブのセット・リスト
1TASOGARE
2for you
3愛のままに (BASI 、唾奇)
4true to true
5wan-tan
6BLUE(LUCKY TAPES)
7POYON
8VIBES
9せもたれ(ニューリー)
10味のないsummer
11I gotta go(GeG)
12いつかのDAYS
13日記
14現実 Feelin’ on my mind(VaVa)
15NICE(BASI)
16星を見上げる
17かさぶた(BASI)
18コトコト
19ほろよい
20もも
21普通feat. 鎮座DOPENESS(BASI)
kojikoji(読み:コジコジ)
Profile
InstagramやYouTubeに投稿していたアコギ弾き語りによるカバー動画で注目を集め、そのカバーの選曲や独特のウィスパー・ボイスで人気を博しているシンガー・ソングライター。これまでに変態紳士クラブ、空音、Lucky Tapesなど数多くのアーティストの作品に客演参加し、BASI のサポート・バンドの一員としてはコーラス、ギターを担当。
http://kojikoji-official.com/
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