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Text:plug+(ぷらぷら)編集部

現役ボカロP51人に聞く!人気DAWアンケート調査(さ〜な)

Shu/ボカ学

【Profile】11ヶ国語が話せる、ボカロP/DJ/音楽プロデューサー。本名は堀池秀。東京都生まれ。ボカロPグループ“ボカ学”の代表を務める。VocaTECH(Vocaloid×HiTECH)を中心に、「リアル×キャッチー×エレクトロ」をテーマに制作している。公式タグは「#ばかShuき」。

「おきゅインカ帝国!」feat. 初音ミク×巡音ルカ×鏡音リン:
https://www.youtube.com/watch?v=WbgzX2JLTKI

●使っているDAWは?購入理由も教えてください! 
IMAGE-LINE FL Studio(使用年数:6年) 
 元々、海外のEDMに憧れてDJ/作曲を始めました。また、作曲の勉強や情報収集はすべて外国語で行うと決めていました。日本のコンポーザーと情報面で被らないようにしたり、そもそもインターネット上の情報量は日本語より圧倒的に英語が多いからです。英語で検索した際に最もチュートリアルや解説の量が多いと感じられたFL Studio(以下、FL)を選択しました。

●そのDAWの好きなところは?
 前述の通り、FLは特に海外のEDM/ヒップホップのコンポーザーに大人気なため、多くの英語の情報やチュートリアルがインターネットにあふれている点が魅力です。中には、ヨーロッパのレーベルで、有名曲のプロジェクト自体を販売しているケースもあり、それを手に入れればミックスなどについても学べます。
 トラックやミキサーの場所、順序がかっちりと決まっていないため、直感的に操作できる点も魅力。僕の作るVocaTECHでは、グロウル系の音やノイズを切り刻んでビートの上に配置し、派手さを演出します。さまざまなオーディオ・サンプルを扱う僕には、FLの自由自在にサンプルなどを張って、そこから自分でミキサーにアサインするという形式が合っているなと思います。また、分かりやすいボタン配置や、それらをさまざまな色にカスタマイズできる点も好きです。僕は制作で自分のメイン・カラーである黄色にこだわりを持っているので、FLのプロジェクト内でも黄色を用いて、創作のモチベーションを上げています。 

●お気に入りの機能/内蔵音源/エフェクトを一つだけ教えてください
 
最近搭載された機能で、楽曲からドラム/ベース/インスト/ボーカルを抽出するStem Separation機能があります。もちろんほかのソフトでもできるのですが、FLでは無料な上に、生涯無料アップデートできるため追加費用が発生しません。 例えば、リミックスを作ったり、楽曲のミックスを分析する際に、この機能をすぐ使えるのはFLの強みだと思います。

Sohbana

【Profile】2017年よりボカロPとして動画投稿を開始。”何を作ってもSohbanaと分かる”強い作風を持ち味とし、ニコニコ動画を中心に支持を集めている。代表曲には「ボーイズセイハロウ」、「TYQOON」などがあり、MAISONdesや中川翔子への楽曲提供も手掛けている。

3rd EP『EPic Mediocre』:
「ARQETYPE」、「CAMPAIGNR」などを含む全8曲を収録。
↓各種ストリーミング・サービスにて配信中
https://karent.jp/album/4139
↓BoothにてCD販売中
https://booth.pm/ja/items/5694502

●使っているDAWは?購入理由も教えてください! 
STEINBERG Cubase Pro 11(使用年数:7年) 
  DTMを何も知らない状態でDAWを選ぶにあたり、シェアの高いCubaseなら“調べたときに絶対に情報が出てくる利点がある”という記事を読んで、選びました。

●そのDAWの好きなところは?
 ほかのDAWを触ったことがないのでCubaseだけではないのかもしれませんが、調べれば確実に情報が出てくること、付属プラグインの見た目が分かりやすいことなどです。機能がゴチャついていると言われがちなところも、逆に“これからも使いこなせるようになる余地がある”と期待をさせてくれる部分だと思っています。現時点でも、DAWの30%くらいの機能しか使えていない自覚がありますが……。

●お気に入りの機能/内蔵音源/エフェクトを一つだけ教えてください
 
それまではサード・パーティー製の簡単なEQを使っていた状況で、付属EQのFrequencyを知りました。それを境に動かせるEQポイントが6から8に増えて、10kHzより上もいじれるようになった衝撃が大きく、それが強烈な体験として数年間体に残っています。もっと高機能なEQが世の中に存在することは重々承知の上で、“自分は大変満足している”という意味でお気に入りです。

大漠波新

【Profile】2021年1月からボカロPとして活動開始。VOCALOID特有の電子的な音使いとメッセージ性の強い唯一無二のリリックが特徴。

「かんせい」ゲキヤクV/カゼヒキV:https://youtu.be/nT9oF1uJask

●使っているDAWは?購入理由も教えてください! 
IMAGE-LINE FL Studio(使用年数:3年半) 
 海外のチュートリアル動画が豊富だったことが、購入の決め手になりました。

●そのDAWの好きなところは?
 一番は、MIDIの打ち込みが簡単なところです。 ほかのDAWも幾つか試したことがあるのですが、やはりFL Studioが最もストレスなく打ち込みをすることができました。また付属のプラグインも優秀で、そこも魅力の一つです。  

●お気に入りの機能/内蔵音源/エフェクトを一つだけ教えてください
 歪み系エフェクトの“Fruity Fast Dist”です。 私は極端に効果が出るエフェクトが好みで、このFruity Fast Distはものすごく歪むので、気に入っています。直感的な操作で音作りできることも、このエフェクトの良さだと思います。

蝶々P/最終定理論者

【Profile】2008年にボカロPとしてデビュー。2009年に「ラブアトミック・トランスファー」がスマッシュ・ヒットし、2010年に「え?あぁ、そう」が大ヒット。また2017年にはシンガー・ソングライターの一之瀬ユウとしてメジャー・デビューを果たす。

●使っているDAWは?購入理由も教えてください! 
IMAGE-LINE FL Studio(使用年数:約16年) 
  初めて買ったのは確かバージョン7の廉価版でしたが、当時は学生だったこともあり、とにかく安かったことが決め手だったと思います。

●そのDAWの好きなところは?
 何よりピアノ・ロールやミキサーなどの操作方法が直感的で、自分の制作スタイルに合っているところが気に入っています。動作もほかのDAWに比べてかなり軽いと思います。あとアップデートが生涯無料なので、バージョン・アップに費用が掛からないのはうれしいポイントです。

●お気に入りの機能/内蔵音源/エフェクトを一つだけ教えてください
 FL Studioに標準で搭載されているプラグインは、使い勝手の良いものが多い印象ですが、中でもFruity Reeverb 2をずっと使い続けています。サードパーティ製プラグインのリバーブも幾つか持っていますが、結局これが一番分かりやすくて使用頻度も高めです。

ツミキ

【Profile】2017年にボカロPとしての活動をスタート。2021年に発表した楽曲「フォニイ」がスマッシュ・ヒットを記録する。みきまりあとのユニット『NOMELON NOLEMON』としても活動し、2023年からはバンド『Aooo』にてドラムを担当している。

●使っているDAWは?購入理由も教えてください! 
STEINBERG Cubase(使用年数:7年)
  APPLE MacユーザーなのでAPPLE Logic Proも検討したのですが、当時は今ほどLogic Proが普及していなかったので、YouTubeなどにTipsがたくさん転がっていたCubaseを購入しました。

●そのDAWの好きなところは?
 まず、プロジェクト画面の見た目がサイバーで格好良い(笑)。 一画面に表示される情報量が多いので、UIがスマートなAPPLE Logicなどと比較するとおそらく操作に慣れるまでに時間が必要ですが、 慣れてしまえば、アイディアが閃いたその瞬間にその場でアクションを取れます。そのため、衝動的に動いてもアイディアを再現しやすく、理想を追求できるところが好きです。  

●お気に入りの機能/内蔵音源/エフェクトを一つだけ教えてください
 
どれも操作が直感的で便利なので、今でも内蔵音源/エフェクトは満べんなく使用しているのですが、中でもHALion Sonicは特に重宝しています。 ゲーム音楽の影響で1990〜2000年代の音源モジュールの質感が好きなので、そんな音色が欲しいときに使用します。 最新のプラグインのように音の余韻や倍音がリアルに“再現されていないところ”に魅力を感じます。

Δ(デルタ)

【Profile】アメリカ在住のボカロP。2018年12月「誰でもない」でボカロPデビュー。映像スタジオ“スタジオかにたべよ”にて独特の世界観のあるMVを発表している。

「くれないうれい」Fukase(golden hour / Fukase):https://youtu.be/Hf9hoiQXnTs

●使っているDAWは?購入理由も教えてください! 
APPLE Logic Pro X(使用年数:約5年)
 APPLE Mac Bookを入手し、当初は作曲をすると思っておらず……純正でエラーが少なそうという理由でよく知らないままLogic Pro Xを使い始めて、現在まで来ています。

●そのDAWの好きなところは?
 内蔵音源が、かなり良いです。操作もわりと直感的で、作曲を始めたばかりのころには特に助かりました。 ただ、敢えて気に入って使っているという表現はしづらく、使用していた5年間で“なじんでしまった”というのが現状で、理不尽な不具合があれば毎度新鮮に憤りますし、ほかのDAWの便利機能が欲しい際に再現を試みるしかないということや、macOSの問題で32ビットのプラグインがよく動かなかったりするなど、どのDAWでも起こり得ることですが動作環境含めて愛憎あるという感覚です。実は、周囲や好むジャンルにABLETON Liveのユーザーが多く、実際に内蔵エフェクトなどとても優秀で何度か乗り換えを試みているのですが、時間がないなどの理由を付けて結局戻ってきており、それほどLogicが使いやすいのか、なじんだものなのか……。
 余談が多くなりましたが“DAWの移行には気合が要る場合がある”、 “DAWを選ばずいろいろ作ることはできる”、“特徴をある程度把握してからDAWを決めた方が後々良いかも”といったことが伝われば幸いです。

●お気に入りの機能/内蔵音源/エフェクトを一つだけ教えてください
 
個人的に、特にピアノ音源のGrand Pianoがオケになじませやすく、使いやすいです。慣れの問題もあると思いますが、長尺でなければ外部のものよりもむしろ純正の方が映えやすいのではないかと感じます。単体で鳴らしても十分聴けます。自分の投稿作品のピアノ・トラックの多くは、Logic Proの純正音源です。 同じくシンセのalchemyもとても使いやすいです。 

夏山よつぎ

【Profile】2018年より活動開始。ジャズ・ポップを中心としたボカロ曲で人気を博し、代表作「ころしちゃった!」は投稿からわずか3ヶ月でYouTube100万回再生を突破。幅広い作風で歌い手やアイドルへの楽曲提供も行う中、自身もDJやライブイベントに出演するなど、精力的に活動の幅を広げている。

自身初の紙媒体による作品群/詩集『ワンダーランドの秘密』
“BOOTHからお買い求めいただけます。1st、2ndアルバムと併せてお楽しみください。”:https://www.youtube.com/watch?v=P_4BobK3aVE&t=9s

●使っているDAWは?購入理由も教えてください! 
APPLE Logic Pro X(使用年数:5年) 
 元々APPLE MacBookに入っていたGarageBandで曲を作っており、その使用感が気に入っていたのと、GarageBandのプロジェクト・ファイルとの互換性もあるため、乗り換えやすいという理由で購入しました。

●そのDAWの好きなところは?
 一番は、標準搭載されている音源のクオリティの高さです。特にブラス系やストリングス系など生楽器系の音源は、ほかの有料音源にも引けを取らないレベルで、僕自身もほとんどの曲で使用しています。もちろんシンセ系などの音源も優秀で、とりあえずLogic Proさえインストールすれば、かなりハイクオリティな曲を作ることができるため、DTM初心者の方にもおすすめです。 

●お気に入りの機能/内蔵音源/エフェクトを一つだけ教えてください
 
僕が特に気に入っている内蔵音源は、“Funkhouse”です。これはアルト・サックスやトランペットなど、ブラスにおいて主要な6楽器を同時に鳴らすことのできるプリセットになります。アーティキュレーションも豊富に選択できて、手軽にリッチなブラス・セクションを作成できるのが魅力です。 

ナナホシ管弦楽団/カロンズベカラズ

【Profile】ギター・ロックとアニメ・ソングのキャッチーさを主軸に据えた“ナードロック”を得意とする、滋賀県出身のボカロP。幅広いジャンルを手掛けながら、SymaGとのユニット“カロンズベカラズ”での活動やさまざまなアーティストへの楽曲提供などを精力的に行っている。

カロンズベカラズ「いたみわけ」
https://www.youtube.com/watch?v=8HjZsLB6D5Y

●使っているDAWは?購入理由も教えてください! 
ABLETON Live(使用年数:約12年) 
 直感的に弄れるので、“とりあえず触ってみる”感じでDTMの楽しみを知るのに、ぴったりだと思いました。ライブでの使用においてパフォーマンスを発揮するのは周知の事実ですが、アイディアにあふれていて、実は制作との相性がとても良いDAWだと感じています。

●そのDAWの好きなところは?
 トラック欄の視認性が良く、思いついたらパッと並べて試せるため、ブロックを組み合わせるような作り方をする自分にはとても使いやすかったです。同梱されている音源も使用感が良く、エフェクトも創造性を刺激するユニークなものが多いと思います。物作りで最も大事な“遊び心”がしっかりと内包されている素晴らしいDAWであることが、Liveを使い続けている一番の理由です。 

●お気に入りの機能/内蔵音源/エフェクトを一つだけ教えてください
 ABLETON Liveにデフォルトで入っているピアノ音源Grand Pianoが、ポップスになじみやすくとても好きです。ピアノ音源はほかにも多数所持しているのですが、音域の移動に伴うステレオ感や重量感が邪魔になることも多く、音色が多めなプロジェクトではほとんどこのピアノを使用しています。主張し過ぎず、でも確かに存在している、とても良い空気感と距離感を持った音源です。特にボカロ系の音楽やリリース・カットする用途にも相性が良いと感じます。

なみぐる

【Profile】ずんだもんとR&Bを愛する、さすらいのボカロP/サックスDJ。代表楽曲に「ずんだパーリナイ / なみぐる feat.ずんだもん」などがある。

「ずんだパーリナイ」 feat.ずんだもん:
https://www.youtube.com/watch?v=ywXQ9SqsaBQ

●使っているDAWは?購入理由も教えてください! 
COCKOS Reaper(使用年数:5年以上)
  導入当時はDTM機材にかけられるお金が少なかったのですが、Reaperは6,000円~7,000円と、主要のDAWと比較してコストがとにかく安かったことが購入の一番の理由です。 試用版が機能無制限で利用できたこともポイントです。

●そのDAWの好きなところは?
 最も気に入っているのは、波形が簡単に、直感的に編集できる点です。Reaperのトラックはインストゥルメント/MIDI/オーディオといった区別がなく、mp4ファイルを一緒に読み込んで映像ごと一緒に編集するといった芸当も可能です。また、ユーザー・フォーラムも活発で、定期的に第三者が作った機能を追加できるカスタマイズ性の高さも魅力的です。

●お気に入りの機能/内蔵音源/エフェクトを一つだけ教えてください
 トラックをフォルダ(階層)で管理できる点
です。通常のDAWでバス・トラックを作るときには、ミキサー部分でバスチャンネルを追加し、そこへルーティングしますが、Reaperではその代わりに“フォルダ・トラック”を組むと、フォルダの親トラックをバスのように扱うことができます。フォルダ化は子トラックを親トラックにドラッグするだけなので、直感的に行えます。もちろん親トラックにオートメーションを書いたりプラグインを挿したりして、何個でも子階層を増やすこともできます。
※下記の画面右のずんだもんは、Reaperの拡張機能“PeloReaper ExtensionのDancer機能”で呼び出しています。

ナユタン星人

【Profile】イラストや動画制作もこなすボカロP。代表曲は「エイリアンエイリアン」「太陽系デスコ」、「ダンスロボットダンス」など。提供曲はEve「惑星ループ」、ナナヲアカリ「ダダダダ天使」、ミライアカリ「ミライトミライ」、ピンク・レディー「メテオ(映画妖怪ウォッチ主題歌)」などがある。

●使っているDAWは?購入理由も教えてください! 
STEINBERG Cubase(使用年数:9年以上) 
 Dominoという無料作曲ソフトを極めるほど使いこなしていたのですが、そろそろ本格的な有料ソフトに乗り換えようと幾つか候補を絞りました。世のボカロPやコンポーザーの使用DAWを調べまくり、Cubaseが多かったので選びました。

●そのDAWの好きなところは?
 機能が何でもありカスタマイズの自由度も高いので最初は激ムズですが、使えば使うほど理解して自分の相棒になっていく感覚があり、愛着が湧きます。ショートカットを設定しまくるとマウスもほぼ使わずにシュバババっと爆速であらゆる作業ができるので、“高速で打ち込みする俺、なんかカッケェ……”と酔えます(かなり大事)。

●お気に入りの機能/内蔵音源/エフェクトを一つだけ教えてください
 
指定したキーとスケールで作曲のアシスタントをしてくれる“スケールアシスタント”。楽器も弾けず音感もないほぼ音楽素人の自分でも、この機能のおかげで曲が作れます。打ち込んだ音が、曲に合ってれば青、外れた音なら赤、と視覚的に教えてくれます。作曲なんて難しそうと思ってる人に、Cubaseのこの機能は本当におすすめです。

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