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文:鹿野水月、濱田侑佳  ※メイン画像引用元:YouTubeサムネイル(リンクは文中)

目次

2024年下半期(2024年7月〜12月)ボカロ人気曲

jon-YAKITORY「山田PERFECT / 初音ミク」

 jon-YAKITORYによるボカロ・ヒット曲「混沌ブギ」に登場する歌詞<完全体の山田>をコンセプトにしたと思われる「山田PERFECT / 初音ミク」。モチーフの共通点はもちろんのこと、オケのピアノやビートなどに「混沌ブギ」との共通性を多く見出せる。「混沌ブギ」を愛好している人々の欲求を満たすだけでなく、曲の世界をさらに押し広げることに成功している。<三千体の桑田>に関連する続投はあるのか?と待ちきれない気持ちになる。(鹿野水月)

Kanaria「チャンピオン」

 『ポケモン feat. 初音ミク Project VOLTAGE 18 Types/Songs』のために制作された楽曲。ゴシックなムードが漂うピアノの演奏に始まり、楽曲のところどころにポケモンのSEの音が現れては消えてを繰り返したり、歌詞にもキャラクターの名前が出てくるなど、実際にバトルの様子を頭に思い浮かべてしまうような楽曲。(鹿野水月)

Chinozo「だまってちゃん feat.Tet0」

 <大嫌い>という言葉から察するに、近い距離感の人間を妬ましく思い、自らのプライドと闘いながら生きている主人公の心情をかなり赤裸々に綴った楽曲。跳ねるようなピアノと小気味よいキックによるダンサブルなムードから、808ベースによるヒップホップ然としたアレンジに展開していくなど、表情の豊かさと感情を音で表現することの巧みさに惹きつけられる。MVイラストはアルセチカ。(鹿野水月)

すりぃ「おべか feat.重音テト&鏡音レン」

 ワンマン・ツアーを開催するほか音楽フェス『ROCK IN JAPAN』などにも出演し、シンガー・ソングライターとしても活躍するボカロP すりぃ。童歌を題材にした「おべか feat.重音テト&鏡音レン」の歌詞は、よく読むとちょっぴり怖い。硬質なビートの上に愛らしい印象の鉄琴や木琴、トライアングルのような音が乗るAメロからは浮遊感を感じ、その歌詞やMVと相まって、かわいらしさと不穏さが共存しているような印象を受ける。セルフ・カバーも投稿されているので、そちらもチェックしてみよう。(濱田侑佳)

cosMo@暴走P「コぇちっちゃ<てゴ×ンネ feat.可不」

 曲名の通り、声が小さいことを気にする可不が、皆んなに声を聞いてもらおうと奮闘するというようなストーリーの楽曲。MVには可不のほか、星界、裏命、狐子、羽累らも登場する。誰かに話しかけても何度も聞き返され、さらにはcosMo@暴走Pの暴力的なサウンドのオケによって叫ばされるといった可不の歌声からはひしひしと悔しさ、悲しさといった感情が伝わってきて、言動のかわいらしさを感じつつ、いつの間にか“声、大きくなれ!”と応援している自分が居た。(濱田侑佳)

TAK「mochimochi feat. 初音ミク」

 リキッドライクなサンプルを織り交ぜたエレクトロのビートからトラップ、四つ打ちへ展開するアレンジ、癖になるシンセ・リードのリフレインなどに<おもち〜>という脱力感あふれる初音ミクの歌唱が乗せられており、ただ“洗練されたサウンド”という印象にまとまらない独創的かつ可愛い楽曲に仕上がっている 。(鹿野水月)

ハチ「ドーナツホール 2024」

 2013年にシンガー・ソングライターの米津玄師がハチ名義で発表した人気楽曲「ドーナツホール」。今年2024年に11年の時を経て、ハチ本人がイラストを描き起こした新たなアニメーションMVが公開された。米津玄師の最新アルバム『LOST CORNER』で打ち立てられた“壊れていても構いません”というキーワードを軸に制作されたこのMVには、廃品回収業を営むGUMI、初音ミク、巡音ルカ、鏡音リンの4人が登場。同楽曲を再度楽しむのと同時に、リリース当時とは違った新たな解釈を促すような、躍動感あふれる映像をぜひチェックしてみてほしい。(濱田侑佳)

かめりあ「生命性シンドロウム feat. 初音ミク」

 歪みの粒子が見えるほど過激なエフェクト処理を施したキックと初音ミクの歌唱を楽しめる楽曲。『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』書き下ろし楽曲とのことで、四つ打ちに散りばめられた細かなシンセ・メロディなどが全体的に忙しく動き回り、ハイハットのトリルは追えないほど多い。全体的に、鮮やかで楽しいパーティーらしい印象を抱く楽曲。(鹿野水月)

なきそ「化けの花 / 初音ミク」

 リズム・ゲーム『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』(プロセカ)に登場するユニット=25時、ナイトコードで。(ニーゴ)へ書き下ろされた「化けの花 / 初音ミク」。イントロやアウトロで聴くことができる、激しい低音の効いたベースとビートには恐怖心を煽るような切迫感があり、つづられた刺々しい言葉の威力を増幅させているように思う。<ずれる ずれる 崩れる ずれる>の部分では、実際に楽曲のリズムがずれ、“何が起こった!?”とドキッとさせられた。(濱田侑佳)

柊マグネタイト「テトリス / 重音テトSV」

 重音“テト”と“テト”リスを掛け合わせ、実際にテトリスのBGMが入れ込まれているという遊び心のある「テトリス / 重音テトSV」。“キャンセル界隈”などといったネット・ミームを取り込みつつ、作者の何か悲痛な叫びが聞こえてくるような歌詞にも引き込まれる。2024年11月8日(金)には、Billboard JAPAN(ビルボード・ジャパン)が手掛ける急上昇中の楽曲を集計したチャート=『Heatseekers Songs』で初登場1位を獲得。週間人気ボカロ曲チャート『ニコニコ VOCALOID SONGS TOP10』でも首位を獲得するほか、たくさんの二次創作が投稿され、勢いが止まらない。(濱田侑佳)

DECO*27「モニタリング feat. 初音ミク」

 部屋の中から自分の家に訪問する女の子(初音ミク)を見つめる視点で、女の子側の心情が歌にされた楽曲。MVでは初音ミクがドアスコープに顔を近付けて不気味な表情で笑っている様子が描かれているが、音自体はバンド・サウンドで軽やかなカッティング・ギターが聴いていて心地良い。初音ミクはストーカーなのか?、それとも家の中にいる人間に妄想癖があるのか、その結末は語られないが、オープンエンドを引き立てる小さなクラップを聴くと、またあのダイナミクス豊かなサビへ戻り、聴き直したくなる。(鹿野水月)

ぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬ「み む かゥ わ ナ イ ス ト ラ イ」

 約1年の時を経て、ファン待望の新曲がリリース。同楽曲には、UNOをプレイしながら、終始こちらを煽り倒す初音ミクが登場する。イヤホンやヘッドホンで聴くと左右から初音ミクの煽り文句を聴くことができ、臨場感があって楽しいので試してみてほしい。トラックには静かに、だが確実に盛り上がっていくようなテンション感があり、途中で画面も音も数秒止まったりするなどの自由な発想も面白く、とにかく中毒性が高過ぎる。なお、元のタイトルだとネット検索に引っ掛からないため、YouTubeの楽曲名は非ぬぬ語(作者独自の言語)の「みむかゥわナイストライ / Mimukauwa Nice Try」に変更されている模様。(濱田侑佳)

ボカロ曲2024 まとめ

 今回紹介した2024年を彩るボカロ25曲は、いかがだっただろうか? 長年活躍し続けているレジェンド級のボカロPはもちろんだが、投稿祭をきっかけにしていないにも関わらず、純粋に楽曲の注目度でヒット・メイカーへと上り詰めた若手ボカロPの面々に注目したくなるラインナップだったのではないだろうか。

 もちろん、ゲキヤクβとカゼヒキβといった、新たにクリエイターの手に渡ったツールをきっかけに生まれた楽曲や、このランキングには入っていないものの、比較的最近広まったナースロボ_タイプTなど新種のボイス・バンクも今年のボカロ曲の要素の一つだったと思う。

 ここで紹介した再生数の多い人気曲以外でも、自分だけの名曲を見つけたリスナーの方々は多いだろう。是非、plug+(ぷらぷら)のXへリポストなど送ってほしい。そして、来たる2025年にも、魅力的で、最高のボカロ曲に出会えますように。

 企画の後編として、プロのボカロP、歌い手、クリエイターの方々18名に「個人的に魅力を感じたボカロ曲」を聞いているので、ぜひそちらも読んでみてほしい!

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