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文:鹿野水月  ※メイン画像引用元:YouTubeサムネイル(リンクは文中)

目次

2025年下半期(2025年7月〜12月)ボカロ人気曲

ぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬ「だれかぬいてくれ」

 デスボイスに始まり、電子音によるハードロックに展開していく。ベースを主役にして落ち着いたトーンのトラックが続くと思いきや、オーケストラ・ヒットが突然現れて迫力のあるアレンジになったりと、風景がガラリと変わることでより引き込まれる。

なきそ「いますぐ輪廻 / 初音ミク」

 魔法少女が出てくるゆめかわなポップスから一変し、不穏なエレクトロに進行したり、パーカッションでトラッドなムードの間奏があったり、MVは選択制の人生ゲームのような作りになっているなど、輪廻転生をテーマにしながらも遊び心を感じる曲。なきそらしいダークで可愛い世界観もミソ。

MIMI「マジック・メイド feat.重音テトSV」

 MIMIの手にかかれば、真っ直ぐな心を持った可愛いくて、新しい重音テトに会える。柔らかく軽いタッチのピアノの伴奏、鉄琴のコロっとした音色など、きゅんとさせる音の仕掛けもたくさん散りばめられている。

東京真中「ドゥーマー feat. 重音テト」

 テープ・シミュレーターのサウンド、ボカロには珍しいウォームなサウンドのボーカル・ミックス、間奏の揺らぎのあるシンセ・サウンドなど、昨今のボカクラ・ブームやショート動画を全く意識せず、むしろ海外インディー・バンドのような脱力感を持ち味にしている独自性が秀逸。

DECO*27「モニタリング (Best Friend Remix) feat. 初音ミク」

 元の「モニタリング feat. 初音ミク」のマルチバース的なリミックスとして公開された曲。スコープ越しに覗いているミクの人格がストーカーのようなヤンデレ風だった本家から、心配している友達目線になり、歌詞やアレンジも変わっている。DECO*27が、脳内イメージしたキャラクターの人格に合わせて、アレンジの印象を変えるためにさまざまな人の記憶に呼びかけられる音選びをしていることを理解できた。なお、この曲でDECO*27が本当に純粋な友達としてのミクを描いているのかは、視聴者によって賛否両論あるだろう。とにかく、アイディアが面白い。

TAK「PPPP feat. 初音ミク、重音テト」

 TAKはボカロの中毒性を音楽的にさまざまに分析してそれを素直に踏襲できるところ、さらにジャジーなコード感、R&Bのムードを演出できる滑らかに変化するコード進行により、洒脱感を演出する。日本語と韓国語をミックスした歌詞により、K-POPアイドル曲のような響きをしているのも面白い。初音ミクと重音テトの丸っこくて可愛いキャラデザも魅力的。

煮ル果実「オーパーツ with 初音ミク」

 『ポケモン feat. 初音ミク Project VOLTAGE High↑』(通称、ポケミク)プロジェクトのために書き下ろされた曲。Nをテーマにした楽曲で関連性のある効果音を散りばめているだけでなく、ストーリーの内容を感じさせるドラマチックなサウンドとメロディーが魅力的。

Sakuzyo「怪獣になりたい feat. 初音ミク」

 カラスに襲われた女の子が夢の中でストレス発散している曲だが、理不尽と戦うあらゆる人々に寄り添う曲になっていると思う。ただ爆発音っぽい過激なリズム・トラックの連続や、なんとも言い表し難い奇妙さのある怪獣のイラストなど、ツッコミを入れたくなる点が多く用意されており、気付けばこのワールドの虜になっている。

はろける「目撃!テト31世🎉🎃🧟雨衣・重音テト」

 四つ打ちにシャッフルする上モノの跳ね感によって、楽しくワクワクしてくる楽曲。公開タイミングから見てもハロウィンを意識したムード作りがなされていると思える。コメ欄にある考察によれば、この曲もあらゆるネタのサンプリングの詰め合わせになっているようだ。

Kanaria「【GUMI】カートゥーンガール」

 東京ディズニーランドのトゥーンタウンのアトラクションをほうふつさせる、コミカルな効果音が散りばめられたポップス。リズム・トラックもクラップの存在感が大きかったり、基本的には歌をメインに大きく置いたシンプルなトラックだからこそ、ボイス・サンプリングや効果音の存在感が出やすくなっている。

jon-YAKITORY「流行アンジェリーナ feat.初音ミク」

 メロディックな疾走感あふれるロック、ピアノが伴奏している落ち着いたポップス、ベースとパーカッシヴなヒッポホップを行き来するなど緩急のあるアレンジが魅力的。また、そのようにジャンルを横断しても歪みギターが散りばめられていたりと、演奏由来のグルーヴ感も生かしたノリの良いナンバー。

YENA「STAR! (feat. Hatsune Miku)」

 日韓合同アイドル・グループIZ*ONE(現在は解散)のメンバーだったYENAが初音ミクとコラボし、日本向けのソロ曲としてリリースした曲。母国語ではない日本語をあどけなく発音するYENAと機械音声である初音ミクの違和感が見事に調和していて、面白い作品。

栗山夕璃「花結び/Flower&重音テトSV」

 メロディックなギターのエモい演奏が心を締め付ける邦ロック。幼馴染三人の青春がある出来事をきっかけに変化していく様を歌っており、戻らない日常、尊い思い出、伝えるべきことを伝えられない人間の成仏できない感情に想いを馳せることができる曲。

ボカロ曲2025 まとめ

 このように振り返ると、今年はこれまで以上にTikTokなどでのミーム利用にフィットする曲がたくさんあったと思います。また、海外勢のボカロPの曲も存在しており、ボカロ曲の魅力が国内にとどまらず世界にも広がっていることをよく理解できる選曲になったのではないでしょうか。

 この記事で筆者が選び、レビューした曲は、YouTubeでの総合的な再生数に基づいて選んでいるのが大部分で、個人的な2025年のボカロ曲は正直なところ他にもたくさんありました。皆さんも、ぜひ、自分の中にある名曲をこれからも大事にして、ボカロ・シーンでの遊びを楽しんでほしいなと思います。

 企画の後編として、プロのボカロP、歌い手、クリエイターの方々20名に「個人的に魅力を感じたボカロ曲」を聞いているので、ぜひそちらも読んでみてください! では、良いお年を!

鹿野水月(しかの・みづき)

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