Text:Mizuki Sikano
目次
少し暗くなってきましたが、続きます
中村佳穂(読み:なかむらかほ)
18時40分のFIELD OF HEAVENに現れたのは、細田守監督『竜とそばかすの姫』の主人公すず/Belleの声/歌を担当したことでも注目を集めた、京都出身のシンガー、中村佳穂。妖精のような羽と小さな角をおでこに付けた独特の衣装を見にまとい、穏やかなグルーブの中で伸びやかな声を披露する。ピアノの弾き語りで新曲を披露するシーンなどでは、電子ピアノのROLAND RD-700GXを使っていた。
途中なぜかYOASOBIの「夜に駆ける」を披露するシーンがあったのも印象的。
アルバム『NIA』の制作裏話は、サンレコのインタビューをチェック(会員限定記事)。
ずっと真夜中でいいのに
19時50分のWHITE STAGEには、ずっと真夜中でいいのに(略称:ずとまよ)の姿が。
音の鳴る得体の知れない家電の電子楽器は、和田永のプロデュースによるもの。当日は本人が所属するOpen Reel Ensembleのメンバーもチームに加わっており、実験的パフォーマンスを披露していた。ステージの左右でオープン・リールのテープをガシガシと引っ張る2人を見ていると、ずとまよのキャッチーなポップスのリズムに合っているのか合ってないのか、見ているだけじゃもう分からないのだが、その異様なムードに圧倒される。格好良い。
キーボードで参加していたのは村山☆潤で、シンセのNORD Nord Electro 4とYAMAHA S90 ESを弾いていたと思われる。
HALSEY(読み:ホールジー)
遂に、2022年フジロックのヘッドライナーがGREEN STAGEに登場したのは21時10分過ぎ。アメリカ出身のシンガー・ソングライターで女優や実業家としても活躍している27歳。“え!?”と思うような爆発音が鳴り響くとともに、ホールジーが登場。あまりにその音がデカ過ぎて、こっちの耳がなじむのに時間がかかったのか、おそらくマイクか何かがちょっと逝っちゃってたのか何かで若干ボーカルが聴こえづらかったが、割とすぐに復旧。
そんなことお構いなしといった感じで、攻撃的な表情や声を上げながらステージを動き回るホールジー。彼女の楽曲の歌詞も相まってパンク精神がビシビシと伝わってきて、エモーショナル、フィジカル、人間の持てるすべてを吐き出すように演奏する彼女の強さに圧倒されていると、90分という時間もあっという間に過ぎた。
ちなみに、HALSEYのキーボーディストの女性は、シンセのSEQUENTIAL Prophet-6、Prophet X、MOOG Sub 37を演奏していた。
まとめ:フジロックで“機材欲しい”が加熱
万全の感染対策を謳い開催された去年のフジロックと比較すると、今年は“おかえり!我らのフジロック”と思えるような“快適さ”や“自由さ”があって、伸び伸びと過ごすことができた。川で某コンビニのコスチュームを着たスウェーデン人と水鉄砲で遊んでいたら普通に転んで、全身ビショビショにされても、晴天ですぐ乾いたし、大雨にも降られず、自由にも動けて、恵まれた年だったのではないだろうか。
楽器を観察するフィールド・ワークをしていると、アーティストも“フジロックでやるなら”ということを意識したセット・リストや、機材選びなどをしているように見える。トレンドとしてバンドの奏でるポップスに“ダンス”の要素が強まっていることもあり、それぞれのアーティストがそれに必要不可欠な“シンセサイザー”のサウンドで個性を出しているのも見えてきて、オタク的には“聴き比べ”ができるのが面白かった。当然、同じ機材も演奏者によって使い方がだいぶ変わる。そんなことを考えながら見ていると物欲も当然爆発してくる。フジロックの思い出に楽器購入……なんてのも悪くない。
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