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Text:plug+編集部

新開発中のAI搭載歌声合成プラグインYAMAHA VX-βとは

VOCALOIDよりももっと便利にボカロを編集できるように!?

 YAMAHAがDAW上で操作可能な新しいボーカロイドソフトを新開発している研究スタジオ=VOCALOID β-STUDIOを始動させ、現在新しい歌声合成プラグインとしてYAMAHA VX-β(ブイエックスベータ)を開発中だという。この記事では、試用版のVX-βを簡単に解説する。

 DAWソフト上でVX-βを立ち上げることができるので、リアルタイムでの操作を歌声に反映させることができる。つまり、より直感的にボカロ曲の制作を行うことができるということになる。

AI歌声合成プラグインVX-βとは?

 VX-β(ブイエックスベータ)とは、YAMAHAが販売を取り扱っているDAWソフト=STEINBERG Cubase上での編集を可能にし、AI技術による声質のコントロールなどを可能にする、歌声合成ソフトである。

 VX-βには、ポップスやジャズ、ロック、アニメなどさまざまな音楽ジャンルに対応する9種類のボイスバンクが使用可能。それぞれのボイスバンクで、AIシンガーの声質や歌いまわしが異なる4つの歌唱スタイルが選択できる。ボイスバンク「multi-β-N」には17人のAIシンガーが搭載され、複数のシンガーをスムーズに切り替えながら制作することができる。

VX-βに含まれている9種類のボイスバンク

 使用DAWがCubaseならば、歌詞/メロディの制作と修正も行うことができるというが、Cubase以外のDAWならば、それ以外の調声シーケンスデータの編集をDAW上で可能にするという。少し中身を見てみよう。

 この画面はVX-βのプラグインを立ち上げて、ボイスバンクは“ゲキヤクβ”を読み込ませた状態。この画像には各パラメーターの説明が組み込まれている。

 パラメーターはまず従来のボーカロイドエンジンと比べると、やや感覚的な印象を抱く方も多いのではないだろうか。ボカロPたちにとって見慣れている“GEN”などのパラメーターは見当たらないのだが、代わりに“Air”と“Formant”と“Attack”と“Vibrato”の4つのノブを操作して、声質の方向性を定めるようだ。

 Powerノブというパラメーターでは、歌声の強弱など“歌として自然に聴かせるのに必要な表現”をコントロールすることが可能で、声のニュアンスを作り込むために一役買うという。

 ちなみにこのパラメーターにはAI技術を搭載しているとのこと。

 そして、VX-βのプラグインには従来のボカロエディターにあったような、音符や歌詞を入力するためのエディターが存在しない。Cubase以外のDAWソフトでVX-βを使う方法は、VOCALOID6などで制作し出力した.vprなどの調声シーケンスデータを読み込ませて歌声を合成できるのだという。vpr.以外にも、.ccs、.svp、.mxl、.musicxml、.ustのファイル読み込みが可能なため、VOCALOID6だけでなく他社の歌声合成ソフトで制作したデータも読み込ませることが可能と考えられる。

 Cubaseの場合は、その工程を踏まなくてもプラグインを立ち上げるだけで、音符や歌詞の入力ができるとのこと。以下の画像がCubase上でVX-βを立ち上げた画面である。

すでにVX-βを試しているボカロPたち

 X(元Twitter)ではすでにVX-βを試して制作を行う、稲葉曇、みきとPなどボカロPたちがいる。稲葉曇の投稿した動画を見ると、シーケンスのピッチの変動に合わせてパラメーターが上下に追いかけるような動きをしているが、それがとてもスムーズなのに驚かされる。

 この試用期間を経てどのような製品となるのかが楽しみだ。

VOCALOID β-STUDIO実証実験参加申し込み方法

 VX-βの配布可能ライセンス数に限りがあるため、参加登録は不定期に行う抽選で当選されたユーザーに限定されるというが、この研究スタジオVOCALOID β-STUDIOに参加が可能とのこと。参加すると、VX-βを試用することができるという。

 参加登録は、VOCALOID β-STUDIOの公式ウェブサイト内以下のURLのページにある「VOCALOID β-STUDIO参加申し込みキャンペーン」から申し込みが可能。

 https://vocaloid.beta.yamaha.com/join/

(申し込みには会員ID「Yamaha Music ID」への登録とアンケート回答が必要)

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