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ゼロから学ぶ

Text:Mizuki Sikano

Chinozo、夏山よつぎなどのボカロPから、莉犬(すとぷり)、うらたぬき(浦島坂田船)といった歌い手まで、さまざまなクリエイターのMVイラストを手掛けているアルセチカ。今回はアルセチカに、イラストレーターになった経緯、ボカロ曲MVの制作工程、普段ボカロPに思っていることなどをインタビュー。

 

そして、今回アルセチカが「音楽家」をテーマに書き下ろしたオリジナル・イラストのTシャツ/ロンT「makeee」の発売も決定! イラストに込められた思いを読んで、みんなで着よう!

 

Tシャツ販売サイト:https://t-od.jp/products/arusechika-ts-001

ロンT販売サイト:https://t-od.jp/products/arusechika-lt-001

イラストレーター:アルセチカ インタビュー

■アルセチカ
【Profile】 音楽を聴いて絵を連想するのが好きな絵描き。雨の日のお家時間と、冬の布団が大好き。

X(Twitter):https://twitter.com/aruseee
piapro(ピアプロ):https://piapro.jp/konagona

アルセチカがボカロ音楽の絵を描く理由

―アルセチカさんはボカロ曲をいつから好きになりましたか?

アルセチカ 私が好きになったのは、黒うさPの「千本桜」が出ていた2011年近辺でした。TSUTAYAでCDを借りて、お母さんが歌詞カードを刷ってくれたのをよく覚えています。放課後、パソコンを持っている友達の家にクラスメイトと集まって、ニコニコ動画でボカロ曲を聴いたりしていました。それから13年間、音楽はボカロ曲ばかりを聴いています。

―絵はいつから描いていたのでしょう?

アルセチカ 小学生のころは少女漫画誌『ちゃお』に出てくるキャラクターの模写をよくしていました。そこからよく人の絵を好んで描くようになったし、今のスタイルである“キャラクターのバックグラウンドを考えながらイラストを描く”ようになったきっかけになったなと振り返って思います。

―最初は漫画家になりたかった?

アルセチカ やっぱり最初は漫画家にも、イラストレーターにもあこがれました! でもボカロ曲を好きになってからは、“オリジナル曲に絵を描く人になりたい”と思うようになったんです。あとは次第に“イラストレーターは頼まれた絵を描く仕事”ということを知って、自分は注文に答える絵ではなく好きな絵を描いていきたいとも思いました。だから勉強もせずに、ずっと自分の好きな絵だけを描いてきました。

―勉強よりも絵が好きだったんですね

アルセチカ そうですね。授業中はずっと絵を描いて、テストも適当に埋めたら裏に絵を描いていました。

―それは、どなたかに怒られませんでしたか?

アルセチカ ずーっと絵を描いているので、先生からも注意されなくなって(笑)。授業参観でも気にせず色鉛筆で描いてました。こんな私を止めなかった親、すごくないですか? 伸び伸びと好きなことをやらせてくれた親には、特に感謝しています。

ボカロ曲のイラストを描くためのアプローチ方法

ーどのようにボカロ曲に絵を描く仕事を手にしましたか?

アルセチカ ボカロPに誰彼構わずお声がけするのは違うと思ってて、心に決めた人と組むのが良いと思っていたんです。だから、イベント『THE VOC@LOiD M@STER』とかも行って好きなPにアピールしたんですけどダメで。

 そんな中、三年ほど前からpiapro(ピアプロ)に絵を置くようになったんです。だけど、いつまでも使われなくて、“誰かに見つけられるのって難しいな”って悩んでいたとき、ある日家族でバッティングセンターに行った帰りにpiaproからの通知で「使われました」と連絡が来て、“出しておけば使ってもらえるチャンスはくるんだ!”と思って、いっぱい描いてアップするようになりました。

―当時どのようなボカロPの方にイラストを使ってもらっていたのでしょう?

アルセチカ 2019年の8月に、一番最初にイラストを使ってくれたのは蒼野澄人さんでした。その後は使用してはいただけたのですが、依頼の話は飛んで来ずだったので、Twitterアカウントを要らないと思って消しちゃったこととかもあったんです。でも、2019年の11月にメールでnarunoさんが依頼をくださって、それでTwitterを復活させました。

 2020年2月にはSEEさんが初めてMVをお任せで作らせてくれたり、その後は夏山よつぎさん、Glueさん、Chinozoさんとかが使ってくれて、「次は依頼したいです」とも言っていただいて、だから今でも皆さんには本当に感謝しています。

―2020年にアルセチカさんがイラストを手掛けたボカロ曲って120曲もあるじゃないですか

アルセチカ あのときはさまざまな楽曲に描きたかったので、#いいねしてくれたボカロPに使ってほしい絵を描くってタグを自分で作ってイラストを描いていったら、それに合わせて曲を作ってくれた方も居ましたね。

―行動力とバイタリティにあふれていますよね。

アルセチカ 好きなことばっかしてきて、今も良い思いさせていただいているなと思います。

―ただこうやってシーンが盛り上がって仕事が増えると、好きとは言え大変だと感じることとかも多くなってくる?

アルセチカ そうですね。“フルカラーのイラストを何十枚描く!”や、“縦長キャンパスのイラストを描く!”が最近苦手気味なことに気付きました。普段描いているYouTubeのサムネイルやMVは16:9で横長の長方形ばかりなので……慣れない形の中に見せたい物を入れたり、印刷用に線をピシっと整えたりするのが難しいなと感じています。

 それと、印刷物の場合は動画よりやり直しが難しいので、ミスってもやり直せないという緊張感も試練でした。慣れないことをしたことで、“そろそろMV作りたくなってきたー!”って思いましたね。

―印刷物のイラストとMVイラストの違いって、画像の縦横比、カラーデータ(CMYK/RGB)以外にはどんなところにあると感じますか?

アルセチカ 線ですかね。私は勢いに任せてイラストを描くのが好きなので、印刷物向けに丁寧に色を塗る工程はそこまで好きじゃないんです。色を塗るためには線をしっかりと描かないといけなくて、そうすると線がある程度固定されてしまう。それが絵の制約になってしまったりするのが、自分としてはちょっと困難でした。やっぱり私はMVイラストを描くのが好きなのだと気付かされましたね。

イラストとMV作りに必要なツールは何?

アルセチカによる描き下ろし「makeee」のイラストメイキング

―アルセチカさんはイラストレーターであり、ご自身で動画編集も行っていると思いますが、それぞれの作業でどのようなツールを愛用していますか?

アルセチカ APPLE iPadにはProcreateというイラスト制作アプリを入れています。デスクトップにペンタブレットのWACOM Intuos Pro(Mサイズ)をつないで、イラスト用ソフトのSYSTEMAX Sai内に絵を描いています。動画編集は無料ソフトのAviUtlで行っています。Intuos Proについては、七年前にサンタさんがくれて、それを今でも使っているんです。

ーサンタさんナイスアシストですね! 

アルセチカ その後別のペンタブを手にする機会もありましたが、結局Intuos Proが手になじむなと。

イラスト・ソフトだとSaiがおすすめですか?

アルセチカ おすすめを答えるならクリスタ(Clip Studio Paint)です。全部の機能が備わってるんですよ。大きい画像が描けるから印刷物にも適しているし、3D配置もできるんで、私も一応持っています。でも私はSaiが使い慣れているので、ほかのソフトに移れないんですよね。

―使い慣れたソフトが一番良く思えますよね。動画編集用ソフトAviUtlの魅力は?

アルセチカ 無料なのにできることが多いんですよ。ネット上で有志のクリエイターさんが作った外部スクリプトを使えば簡単にさまざまなエフェクトを加えることもできたり、とても便利です。

 ただ、商業作品を作るときには、解像度などの規程を細かく設定する必要があるんです。そこはADOBEソフトなどの方が厳密にセットできるので、これから仕事に重きを置いた動画編集を始めるという方には、ADOBE Premiere ProやAfter Effectsをおすすめしたいです。

MVでは音楽に合わせてストーリーを動かす

―話を戻しますが、ボカロ曲のMV作りがアルセチカさんの一番やりたいことなのですよね?

アルセチカ そう、絵を描くのも好きだけど、MVを作るのが楽しいですね。動画になった自分の作品が好きだし、音楽に合わせてストーリーを動かしていくのが好き。そして、一緒に作っているボカロPさんたちはほとんどが友達なので、友達と何か作るのは本当に楽しいです。

 私にとってボカロ曲は神のような存在で、携われるだけで嬉しいんです。「ボカロ曲はMVも含めて一つの作品」と言っていただくこともあるけれど、やっぱり主役は曲だと思っています。それでも、「MVが付いたことで音がよく聴こえるようになった」と言われるのはとても嬉しいです。

 Piaproで出会った道端の石さんというボカロPが居るんですけど、イラストを使ってもらった「ビブリオフィリア/初音ミク」がとても良い曲で。だから“ビブリオフィリアの2作りませんか?”みたいなことを言ったら、道端さんが“久しぶりにいつまでに作れるかやろうかな”って言ったんで、“じゃあ明日投稿しましょう!”みたいな(笑)。

―そんなに速いスピードで曲やMVを作ることができるんですか?

アルセチカ できますよ! 道端さんが曲を作り終えて退席している間に、私がMVを作るという流れで作りました。それで投稿されたのが、「アムネシア/初音ミク」なんです。

―アルセチカさんはボカロPを鼓舞したりするのも、集めて楽しいことをするも上手そうですね。

アルセチカ みんなで何かするのがとても好きですね! 2021年の春はボカロPさんを30人集めて、1日で一斉に曲を投稿する#eneeemyという企画をやりました。サイトもオリジナルで作ってもらっています。参加してくれた夏山よつぎさんの声かけから、CDも制作して販売しました。

 #eneeemy のほかに、#paneeecという企画もやっているんですが、これはsaikawaさんが“アルセチカのイラストでランキング埋まったら面白い”という話をしてくれて、それで16人の一斉投稿企画になりました。

続きは、次のページ

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