企画・インタビュー:Mizuki Sikano(plug+編集部)
目次
ASMRのノイズ処理が終わったら……
ASMRを聴きやすい音量にするために音を増幅?
ノイズ処理が終わったら次に行うのが、音の増幅ですね。
はい。この工程が必要な理由は1回目のインタビュー編でお話しした通り、ピークを減らすためにかなり小さい音量で録音しているからです。音を増幅するにはコンプレッサーを使い、全体の音量を持ち上げていきます。そして最後にリミッターでピークを抑えます。これで基本的には、完成ですね。
私は、コンプのIZOTOPE Ozone Dynamics、リミッター目的でOzoneのマキシマイザーMaximizerを使っています。リミッターではなくマキシマイザーを使っているのは、ピークを抑えるだけでなく、全体を常に一定の音圧に持ち上げる操作も同時に行うためです。
きつねさんはASMRの音声編集に、IZOTOPE製品を愛用されているのですね。
エフェクトの効きの良さがとても好きなんですよね。RXもOzoneもユーザー・インターフェースが優れていて操作しやすいので本当に便利です。
【応用】低音の調整で“ゾクゾク感”をUP
4つ目の“低域を少し盛る”って何ですか?
近めな音で、低域がたっぷりと感じられるASMRが私の好みなんです。だからもう少し低音が欲しいと思ったら増やします。これはASMRのネタやマイクの特性なども関係するので、必ずしも毎回やった方が良い処理ではないのですが、低域を増やすとゾワゾワ感をより感じる音にできる場合があります。
大体どの辺りの低域を増やしていますか?
これは難しい話ですね。まず、低域を単に上げるだけだと音がにごってしまったりするので注意が必要です。大事なのは、音の存在をしっかり感じられるようにイコライジングすること。
使うマイクにもよりますが、最近は低域をあえて削ってからコンプで音量を持ち上げたりもしています。低域のどこをどんな音でどれくらい出したいかビジョンを持つことがポイントになるんです。例えば、20Hz辺りの超低域と200〜400Hz辺りの中低域をどう出していくか、調整しながら工夫していくのは面白いと思います。
そうして調整を終えた音声ファイルを、ビデオと合わせていくのですね。
そうです! これにもコツがあって、私はビデオの録画と音声の録音ボタンを押したら、フィンガー・スナップをして編集点を作るようにしています。そうするとほかの波形とは違って一際大きなピークが生まれるので、そこに合わせてビデオとオーディオを合わせやすくなります。
ASMR動画の編集のコツをいろいろと教えていただきました。とは言え、おそらく初心者の方は、音声編集をしながら“これでいいのか?”と悩んでしまいそうですね。
今回お話ししてきたようなノイズ処理を突き詰めようとすると、際限が無いんですよね。かなり奥深い作業なんです。だから初心者の方は、正解を追究して考え過ぎてしまうと、いつまでも動画が上げられなくなってしまうと思います。
だから本当にやりたいなら、まずは機材を買っちゃって、一本動画を作ってYouTubeにアップロードしてみましょう! それから成長していけば大丈夫です。
何とか一本作っても、きつねさんのような高いクオリティのASMR動画にならなかったら……どうしましょう(泣)。
継続は力なり!(ガッツ・ポーズ)。最初のクオリティは本当に気にしなくてOKです。良い音が何か分からないまま始めても、続けていけば絶対にできるようになっていくので安心してください。
とはいえ、ASMRのジャンルで動画制作をしたいなら、私のマイク・レビューを参考に、ちゃんとマイクだけは買いましょう! 皆さんを応援しています。
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