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執筆&サンプル制作:アンメルツP
イラスト:夕凪ショウ(メイン画像)/べこ(キャラクター)
動画制作&編集:plug+編集部

1-3 ボカロを歌わせる基礎知識

前項で、ボカロPがどのような作業をしているのかが分かったところで、今度は具体的に(広義の)「ボカロを歌わせるための基礎知識、何をそろえればいいか」をお話します。

ボカロを歌わせるためには、次の4点が必要です。今回は、ひとまずより多くのクリエイターが始めることができる環境を想定して解説していきます。

1パソコン(推奨)、タブレットやスマートフォン

2ボカロ・エディター

3歌声ライブラリー(ボイス・バンク)

4作曲アプリ・ソフト(DAW)

パソコン(推奨)、タブレットやスマートフォン

VOCALOIDをはじめ、「歌声合成ソフト(アプリ)」は基本的にはパソコン用のソフトウェアです。

Windows/Macのパソコンは必須です。なお、Macの場合、一部、対応していないボカロ・ソフトやDAWソフトもあるため、自由度の高さだとWindowsを選択することが無難です。なお、スマートフォン対応版アプリもありますが、いろいろ考えることが増えるので、まとめて最後に紹介します。

では、どのようなPCを買えばいいのかですが、ここ数年はPCの性能も向上していますので、ここ数年(2018〜2022年)に発売された機種であれば、ボカロを動かすだけなら問題ありません。すでに所有しているPCがその範囲なら、その機種を使ってみてください。

ただ、メモリはできるだけ多く、16GB以上あると安心です。

購入となると、スペックをいろいろと見るのは知識が必要ですが、お勧めは「ゲーミングPC」と謳われている機種を選ぶことです。重いゲームを動かすのに困らない性能があることは、ほかのアプリもサクサクと動くという証です。

②ボカロ・エディター
③歌声ライブラリー(ボイスバンク、ソング・ボイスetc)

「ボカロ・エディター」は、ボカロの打ち込み・調声をするための専用のアプリです。

著者が使用しているボカロ・エディター「Piapro Studio」の画面

そして、アプリで使うための声のパックが「歌声ライブラリー」です。各社で呼び方は微妙に違うものの、基本的には各合成音声で曲作りする場合、この2つをセットで必要とします。以下、一例です。

②「VOCALOID6 Editor」

③「VOCALOID6 Voicebank AI Megpoid」

②「CeVIO AIソングエディター」

③「CeVIO AIさとうささらソングボイス」

私はよく「エディタはゲーム機本体で、歌声ライブラリはゲーム・ソフト」と例えます。SONY PlayStation5でSwitchのソフトが遊べないように、他社互換はありません。

とはいえ、「スターターパック」と題してこの2つがセット売りされている製品もあります。また、複数のライブラリーが付随してくるなど、2つが必要と意識させない売り方をしていることが多いです。

では、バラバラになっている理由は、複数の歌声ライブラリーがあると、デュエットや合唱などを作れるなど、表現の幅が広がるからです。これらのライブラリーは、作品に合わせボカロ・エディターの中で歌手を自由に切り替えられるなどの使い勝手もよいです。制作に慣れてきて表現の幅を広げたい場合、同じエディター対応の複数の歌声ライブラリをそろえることがお勧めです。

著者の所有するボイス・バンク例(複数の歌声でハモリなどを作ることができます。)

ボイスの歌声は、各メーカーのサイトやデモ動画/音声を聞くことで、表現の具合を確かめることができます。

例えば「みんなが愛用している『初音ミク』の声で曲を作りたい!」など決めていない場合、自分に合った「声」をぜひ探してみてください。長いお付き合いになることもあるので、直感で好き!という探し方でもOKです。

④作曲ソフト/作曲アプリ

作曲用のアプリがなくても、エディターと歌声ライブラリーがあればボカロを歌わせることはできますが、これだけではオケを作ることはできません。

曲を付けて、しっかりとしたボカロ曲に仕上げるには作曲アプリが必要です。これらを一般的には、作曲ソフト/アプリや、DAW(ダウ、もしくはディーエーダブリューと発音)と言います。

現在、アマチュアの音楽制作環境で使われているのが、VOCALOIDと同じYAHAMAが取り扱っている「Cubase(キューベース)」、ダンスミュージックに強い「FL Studio(エフエル・スタジオ)」、Macでは第一の選択肢となるAppleの「Logic(ロジック)」などが挙げられます。

無料で使える作曲アプリとして、Windowsでは「Cakewalk(ケーキウォーク)」、Macでは「GarageBand(ガレージバンド)」が有名です。始めの第一歩は無料アプリから始めるケースも多いので、早く曲作りに取り掛かりたい人はひとまず、「Cakewalk」「GarageBand」からスタートするのがよいでしょう。

Cubase(Windows/Mac対応)

FL Studio(Windows/Mac対応)

Logic (Macのみ)

Cakewalk(Windows/無料DAW)

GarageBand(Mac標準搭載アプリ)

このように、ボカロ曲を作るためには、PC以外に、エディター/歌声ライブラリー/作曲アプリの3つをそろえる必要があります。自分の環境や予算に合わせて、まずはスタートしてみてください。

【コラム】『初音ミクV4X』はすべて揃って即スタートできる!

それを踏まえて2022年現在、私が初心者にオススメしているのは初音ミクV4Xです。なぜなら、初音ミクV4Xは、製品版を買うだけで、「作曲アプリ」を含めた上記の3点がすべてそろうからです。
ボカロ・エディターの「Piapro Studio」、初音ミクV4Xの各種歌声ライブラリ音楽制作ソフトPRESONUS「Studio One Artist」が1つになったパッケージです。これまで、楽曲作曲環境がなかった人でも『初音ミクV4X』でボカロ曲の制作をすぐに始められるのです。

タブレット/スマートフォン環境でできること

これまでPCを前提にお話しましたが、タブレットやスマートフォン環境でボカロを歌わせる方法もあります。それは、YAMAHAが提供しているiOSアプリ「Mobile VOCALOID Editor」です。

Mobile VOCALOID Editorのサイト
Mobile VOCALOID Editorのサイト

こちらをダウンロード購入することで、APPLE iPhone、iPadなどのiOS環境でボカロ編集ができます。DAWもiOS版GarageBandを利用できるので、即始めたい!人にはうれしい環境です。

なお、先ほど、PCは必須ですと書きつつ、実際「iPhoneだけで曲を作っている」ボカロPも少数ですが見かけるようになりました。もちろん、ノウハウさえあれば、モバイル環境だけで完成した曲でもPC環境のものと遜色ない仕上がりになることもできます。

皆様も自分に合った活動スタイルを考えて、ボカロを歌わせるための環境をそろえていきましょう。

次回は、いよいよ実践編STEP2「とにかくボカロを歌わせてみよう!」を開始します。乞うご期待!

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