文:Mizuki Sikano(plug+編集部)※メイン画像引用元:YouTubeサムネイル(リンクは文中)
2022年も残り1日! 今年の締めくくりに、2022年人気を集めたボカロ名曲を時系列順で振り返ってみよう。さらに企画後半では、ボカロP、歌い手、クリエイターの方々15名に「個人的に魅力を感じたボカロ曲」をアンケート形式で教えてもらったので、ぜひチェックしてみてほしい。
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2022年 ボカロ曲選 -現役ボカロP/歌い手/クリエイター15名が選ぶ“めっちゃ刺さったボカロ曲” 編-
ボカロP、歌い手、クリエイターとして大活躍している15名に「個人的に魅力を感じたボカロ曲」をアンケート形式で教えてもらいました。
2022年も、ボカロ好きにとって豊作の年だったのではないだろうか。ボカロPの増加、増え続けるボイス・ライブラリーの種類、歌声合成ソフトの進化などによって、表現のバリエーションが増えていることが、ボカロ・シーンの中で名曲の誕生が絶えない大きな理由だろう。
ジャンルについても、ポップス、ロック、和風ポップス、ダンス・ミュージックを中心に、ゴシック、サイバー・パンク系、カワイイシンセ・サウンド、ヤンデレ、魔法系……など、細分化し始めるとキリが無いほど広がり続けている。
ボカロ界隈はマニアックな表現や実験的サウンドに対しても寛容(むしろ歓迎)であることも相まって、ノリの良さや中毒性が持ち味の楽曲だけでなく、斬新な楽曲構成や、一風変わったリズムやコードの曲なども人気を集めるのがユニークだ。
まずはその一端を感じていただくために、2022年1月〜12月でYouTubeやニコニコ動画にアップされた中から、話題を集めたボカロ人気曲23選を紹介していく。
目次
- 2022年上半期(2022年1月〜6月)ボカロ人気曲
- DECO*27「サラマンダー feat. 初音ミク」
- Kanaria「アイデンティティ GUMI×初音ミク」
- MIMI「くうになる feat. 初音ミク & 可不」
- ピノキオピー「魔法少女とチョコレゐト feat. 初音ミク」
- なきそ「ド屑 / 歌愛ユキ」
- かめりあ「ヒアソビ (feat. 初音ミク) 」
- 稲葉曇「きみに回帰線 Vo. 歌愛ユキ」
- バルーン「ノマド/flower」
- r-906「まにまに / 初音ミク」
- Kanaria「酔いどれ知らず【GUMI】」
- syudou「デイバイデイズ【初音ミク&可不】」
- sasakure. UK + 有形ランペイジ「フューチャー・イヴ feat.初音ミク」
- かいりきベア「バグ feat.初音ミク」
- 2022年下半期(2022年7月〜12月)ボカロ人気曲
- ボカロ曲2022 まとめ
2022年上半期(2022年1月〜6月)ボカロ人気曲
※再生数は2022年12月27日時点のものです。
DECO*27「サラマンダー feat. 初音ミク」
DECO*27が「カップヌードル チリトマトヌードル」と「カップヌードル 辛麺」をイメージして書き下ろした楽曲。サラマンダーはドラゴンの姿をして火を司る四大精霊のうちの一つの意。172BPMのハイテンポの中で、跳ねるようなドラムとうねるベースがグルーブを盛り上げ、その上を初音ミクの柔らかな声音が走り、アグレッシブなシンセ・リフ、ボイス数の多そうな響きのシンセとひずんだエレキギターの音圧が心地良い楽曲。
Kanaria「アイデンティティ GUMI×初音ミク」
Kanariaが「カップヌードル」醤油味をイメージして書き下ろした楽曲。195BPMのハイテンポの中で、印象的なチェンバロのフレーズや、エフェクトのコンプレッサー圧縮によるパンチの効いた電子スネア、輪郭線が見えるようなはっきりとしたピアノの伴奏が印象的。
MIMI「くうになる feat. 初音ミク & 可不」
MIMIによる初音ミクと可不のデュエット曲。166BPMのハイテンポだが、ピアノ伴奏を基調にしたポップスで、傷心を感じる歌詞とは裏腹に全体的に丸めな音で優しく穏やかなムードが漂っている。初音ミクと可不の歌は高低差の多くないメロディであることもあり、声はふわっと浮遊感が漂っているように聴こえてくる。
ピノキオピー「魔法少女とチョコレゐト feat. 初音ミク」
ピノキオピーによる、魔法少女を主人公にした楽曲。魔法少女が誹謗中傷などから職務を全うするやる気や希望を失い“やめたい”と自暴自棄になるダークな感情が綴られている。そんな尖った感情を、150BPMの比較的陽気なダンス・チューンに乗せることで、独特の狂気を放つ楽曲。
なきそ「ド屑 / 歌愛ユキ」
なきそによる、メランコリックなエレクトロニック。人を思う甘美な感情が屈折して攻撃性を伴っていくさまを、1コーラスでグラデーションまで描ききる表現力の高さがポイント。音数は全体的に少なく、サビではそれまで鳴っていたシンセ・コードやピアノ・フレーズを消して、全体の軸である太いシンセ・ベースをメインに聴かせる潔いアレンジが絶妙。
かめりあ「ヒアソビ (feat. 初音ミク) 」
かめりあによる、134BPMのエレクトロ・スウィング。理性ではなく情熱的に愛を楽しみたいという感情を、パーティー向けのクラブ・ジャズのような曲調に合わせて綴った楽曲。鍵盤楽器のジャジーな響きがこの楽曲の洒脱感を際立たせ、自然と身体を動くだけでなくくねらせたくなるような温度感が演出されている。
稲葉曇「きみに回帰線 Vo. 歌愛ユキ」
稲葉雲によるギター・ロックで、エレキギターやエレキベースのエモーショナルな演奏が楽しめる。前奏から演奏される8小節ギター・リフが繰り返し鳴り響き、そのメロディが完全に頭に叩き込まれて癖になったところで、歌詞の中の“ある生徒が不登校になるまでのキッカケ”とも受け取れるストーリーに胸が苦しくなる楽曲。
バルーン「ノマド/flower」
バルーンによる、『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク(以下、プロセカ)』 の“25時、ナイトコードで。”へ提供された楽曲。90BPMのスローでローファイなビート、エレキベースのグルーブ、v-flowerが歌う鬱な感情にピアノの伴奏がどこまでも穏やかに寄り添い泣けてくる楽曲。
r-906「まにまに / 初音ミク」
「ボカコレ2022春」で1位に輝いたr-906の楽曲。キャッチーな歌メロから始まったかと思えば、突如2分近くのスーパー・ロングな間奏が出現する。一度聴いただけで漠然と何かが“やばい”予感がするようなそういった実験性を感じるが、本能でついて行ける独自性として受け取れるボカロ曲。それは、最高にキャッチーな歌メロと聴者のノリどころを用意し、明確に“踊らせようとする意思”を感じさせる作りになっているからだろう。
Kanaria「酔いどれ知らず【GUMI】」
Kanariaが七つの大罪をテーマに制作した楽曲のうちの一つで、115BPMで横揺れできるような落ち着いたポップス。良い意味で上がり切らない歌メロやGUMIの所々呂律の回らないボーカルから酩酊感が伝わってくるなど、コンセプトに合わせた絶妙な調声が表現の肝になっている。サビなどではワウ(エフェクト)のかかったカッティング・ギターやシンセ・コードなどで音圧を十分に感じるが、全体的にゆとりを感じさせるアレンジとミックスなので、何度も繰り返し聴きやすい。
syudou「デイバイデイズ【初音ミク&可不】」
syudouによる、初音ミクと可不のデュエット。「キュートなカノジョ」「カレシのジュード」の歌詞を練り込んでいるとのこと。syudou自身も“笑っちまう程に満たされない曲です”とコメントする通り、共依存に陥っている男女が“分かっているけれど止められない”感情でどうにかなってしまっている様子が描かれている。切るように鳴るハイハットや8分音符で弾かれるバロック風のピアノがシリアスな情景を盛り上げている。
sasakure. UK + 有形ランペイジ「フューチャー・イヴ feat.初音ミク」
「初音ミク マジカルミライ 10th Anniversary」のテーマ・ソング。sasakure. UKがプロデュースするバンド=有形ランペイジが参加しており、ギター/ピアノ/ベース/ドラムによるワクワク感のある壮大なバンド・サウンドが展開されている。歌詞には初音ミクと初音ミクを愛してきた者たちが心と音楽でつながることを強く促し後押しするようなメッセージが込められていると受け取れる部分があり、長くボカロ文化を応援してきたリスナーの心を打つ内容になっている。
かいりきベア「バグ feat.初音ミク」
かいりきベアがプロセカの“25時、ナイトコードで。”のために提供した楽曲。アグレッシブなシンセ・フレーズと機械音のようなビートが往来する中、ロボ声のような“バ バ バグさ バグバグ”(YouTube概要欄から引用)や、しゃくり上げるような音など初音ミクの表現力の高さが面白くて何度も聴いてしまう楽曲。
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