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文:Mizuki Sikano(plug+編集部)※メイン画像引用元:YouTubeサムネイル(リンクは文中)

2022年下半期(2022年7月〜12月)ボカロ人気曲

DECO*27「ゾンビ feat. 初音ミク」

ゾンビをテーマに、あどけない声の初音ミクがメンヘラな恋心を歌うDECO*27の楽曲。オケには、時々ガッツリホラー向きなサウンドが採用されているが、“おどろおどろしいがかわいい”という絶妙なラインからはみ出すことなく踊らせてくれる印象。途中インド音楽を思わせる金管のフレーズが出てくるなど、ちょっとした違和感も癖になるのが肝。アレンジはRockwellが担当。

メドミア「キッカイケッタイ – ミクと可不」

メドミアによる、160BPMのスピーディーだがおどろおどろしさも感じるポップス。短尺の曲の中で、怨念を感じるような韻の連続に、自然と首が揺れる。初音ミクと可不がデュエットするのではなくユニゾンをすることで、ボーカル・ダブリングで得られる効果(音に厚みが加わる、少し浮遊感が出る、オケとなじむ……etc.)が発揮されている。

Kanaria「QUEEN【GUMI】」

「酔いどれ知らず」に続く、七つの大罪をテーマに制作した楽曲のうちの一つ。「酔いどれ知らず」にも共通するが、音数の多過ぎないゆとりのあるオケは繰り返し聴きやすく、GUMIの歌メロの音域にも無理がないことから、ボカロ曲の中では比較的歌いやすい方なのではないだろうか。さらに、シリーズの楽曲ということで、さまざまな考察が盛り上がっていたこともヒットの理由だろう。

Azari「Who?」

Azariによる、メランコリックでダークなポップス。歌愛ユキとv-flowerのラブリーな声が短調の歌メロでホラー感満載に響く。ボーカルのみでかなりの数のボーカルを重ねていると思わしき部分もあったり、そうかと思えば突然近めで独唱してきたりなど、冷静に聴けば聴くほどちょっと怖い。でも、そこがユニークな楽曲。

煮ル果実「ヘブンドープ」

煮ル果実が“現代的な匂いがする神話のような作品にしたい”というイメージを持ち制作している『創・天国と地獄』シリーズの第二章としてリリースされた。v-flowerの歌声だけでなく中盤から本格的なラップ部分を用意した独自のビート・ミュージックは、音楽的にも調声の観点でもあまりに巧みで聴く者たちを驚かせた。歌詞の内容は、罪深い人間のあらゆる業について考えさせられる物が多く、かなりヘビーかつ奥深い。煮ル果実自身もTwitterで“この楽曲を作り終えた後、何もかも全て出し尽くしてしまって数ヶ月間他の曲が作れず辛かった”と語っている。(参照:煮ル果実によるTwitterのコメント

いよわ「熱異常 feat.足立レイ」

「ボカコレ2022秋」で1位に輝いたいよわの楽曲。断末魔の叫びをあげているような激しい足立レイのボーカル、四つ打ちが主体のバスドラが激しく響く中、その後ろでは比較的静謐(せいひつ)な印象を与えるストリングスやピアノ、スティール・パンなどの演奏が流れる。それら要素同士が織り成すちょっとしたチグハグが、この楽曲の世紀末的ムードをより強めているのだろう。

南ノ南「星界ちゃんと可不ちゃんのおつかい合騒曲」

「ボカコレ2022秋」で2位に輝き、プロセカにも採用された南ノ南の楽曲。“カレーうどんを食べたい”可不に買い出しを急かされる星界のお願い=“せかせかせーかせかさんといて”、が脳裏にこびり付く楽しさと中毒性が魅力的な楽曲。MV内の足が速すぎる可不に合わせてか、どのパートも全体的に譜割りの細かな疾走感がある楽曲で、プロセカでのプレイにおいては練習しがいのある楽曲だろう。

すりぃ「ラヴィ(Lavie) feat.鏡音レン」

スマホ・ゲーム『#コンパス 戦闘摂理解析システム』のキャラクター、ラヴィ・シュシュマルシュのテーマ・ソングとして、すりぃが書き下ろした楽曲。2022年下半期の中では急上昇で注目を集めた。危うい男の子の個性が存分に生かされた詞を、鏡音レンが可愛く歌い上げている。この曲がかわいいだけでなくクールな印象を与える理由は、ファットなベースとシンセ・ブラスを用いたヒップホップのビートを主軸にしたサウンドだからだろう。

jon-YAKITORY「うぉんちゅーばっどfeat.可不」

jon-YAKITORYによる、100BPMのローテンポを基調に四つ打ちからリズムが展開していくポップス。サブベースのうねりとゆったりとした可不の歌唱のコンビネーションが、詞に登場する粘着質な気質の女の子の感情をより一層際立たせている。中盤ではギター・リフが鳴いたり、終盤からはアコーディオンや鉄琴のような音色のフレーズが織り成す演舞曲のようなムードに展開するなど、飽きさせないアレンジが良い。

れるりり「Iなんです feat.初音ミク」

れるりりが、プロセカの“25時、ナイトコードで。”へ書き下ろした曲。ヘビーなギターと太いシンセ・ベースが鳴るAメロ→音が一気に引くBメロ①→リバーブで音が遠くなるBメロ②→高速ピアノのフレーズと畳み掛けるような生ドラムのサウンドが印象的なサビ……といったようにシーンが一変し続ける。さらに、そのオケの変化と同じように初音ミクの声もエアリーになったり、しっかり歌い上げたり、変化するのも面白い。ミックス/マスタリングは、かごめPが担当している。

ボカロ曲2022 まとめ

今回紹介した2022年を彩るボカロ23曲は、長年活躍し続けている有名なボカロPのものもあれば、ボカコレなどのイベントを機に周知された比較的新しいプロデューサーの楽曲もあった。シーンの大きさを考えると一端だったが、いかがだっただろうか?

そもそも音楽というのは、“私にめっちゃ刺さった”という部分が結構大事なポイントだったりするので、人気を集めた曲以外でも名曲を見つけたリスナーの方々は多いだろう。その中には、そんなボカロPの独自性に感化されて作曲家を志す者も多く居た一年かもしれない。(そうであってほしい!)

2023年も新たなボカロPと新たな名曲が、どんどん誕生してほしいと編集部は願う。

後編ではプロのボカロP、歌い手、クリエイターの方々14名に「個人的に魅力を感じたボカロ曲」を聞いていく!

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