Text:Mizuki Sikano
フジロックは、海外のアーティストも出演する大規模音楽フェスティバル! レアなアーティストのライブを新潟県・苗場の山奥で鑑賞できる面白いイベントだ。参加者は苗場の洗礼的な大雨を浴びながらステージを回ったり、アウトドアでの飲食を楽しんだり、中には水着で川を泳ぐ強者や、山の傾斜でキャンプを楽しむ者も居たりと楽しみ方が非常に多いのだが、plug+編集部は3日間ひたすらアーティストの使用機材を観察するフィールド・ワークを敢行! なんてストイックな編集部なんだ! 大変な思いで、ひたすら目視で確認した物たちをこの記事にまとめました。どうか、楽器を演奏する誰かの参考になりますように!
目次
フジロック2022年1日目(7/29)
The Hu(読み:ザ・フー)
メイン・ステージであるGREEN STAGEのオープニング・アクトとして登場したのは、モンゴルの伝統音楽とロックを掛け合わせた“Hunnu Rock”という音楽スタイルで注目を集めるバンド、The Hu。
馬頭琴、トプショール、口琴といったモンゴルの伝統楽器を使い、繊細かつ熱量の高いパフォーマンスを披露。彼らが登場したのは正午以前の11時過ぎだったので、苗場に到着し、芝生の上で穏やかな時を過ごしている多くの観客たちに、激しい伝統楽器のサウンドが降り刺さっていく光景が面白かった。
調べてみると、彼らの使用する派手で独特なデザインの馬頭琴を作っているのは、職人のbaigaljav氏とのこと。ちなみに、このThe Huの民族楽器類(馬頭琴)の職人baigaljav氏のインタビューによると、 海外の消費者向けの公式販売代理店は、Mongulai.comだそう。 興味がある方は、The Huの特注のものは手に入りませんが、違うデザインならば購入することもできる。
No Buses(読み:ノー・バシーズ)
12時正午のRED MARQUEEに登場したのは、2016年結成の5人組バンドNo Buses。近藤大彗(Vo/Gt)の付近にセットされていたアナログ・シンセはKORG Minilogue XDのようでした。バンドやトラック・メイク用の購入検討リストに常連!って方々は結構多いのではないでしょうか?
Minilogue XDはお手軽なお値段ながらも、本格派なサウンドを作れるのが魅力ですね。購入はコチラから。そのほかギターなどのメイン機材については、ギター・マガジンWebに掲載されていました。
DOPING PANDA(読み:ドーピング・パンダ)
12時半からWHITE STAGEでパフォーマンスをしていたのは、今年2022年から再結成したスリー・ピース・バンドDOPING PANDA。ギター・ボーカルのYutaka Furukawa、ベースのTaro Hojo、ドラムのHayato Beatのセッションに同期シンセのメロディが絡みノリノリなダンス・チューンを披露。Yutaka Furukawaさんの使用マイクは、SHURE KSM8/B-Jというデュアル・ダイアフラムのダイナミック型マイクのようでした。
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THE NOVEMBERS(読み:ザ・ノーベンバーズ)
14時20分からWHITE STAGEではロック・バンドTHE NOVEMBERSがライブ。エレクトリックなドラム・サウンドやサブベースを鳴らし、WHITE STAGEにドシドシ積まれたウーファーから圧巻の重低音を聴かせてくれた。ドラムス吉木諒祐さんのセット付近には、サンプリング・パッドのROLAND SPD-SX Special Editionが置かれており、ステージをダンス方向へと強めるライブ・セットで大活躍しているようだった。
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Night Tempo(読み:ナイト・テンポ)
16時のRED MARQUEEには、ジャパニーズ・シティ・ポップ再評価の立役者とも言われている韓国人プロデューサー/選曲家のNight Tempoが登場。彼は、1970〜80年代の昭和歌謡に重めのキックを足して低重心にしたり、レトロなピコピコやデジタルのキラキラ系シンセを組み合わせることで華やかな意匠をまとわせたリミックスを制作。これで世界中に居る一部のコアなファンたちを虜にした。
当日のライブはDJスタイルで、主に曲間はフェード・イン/アウトで繋ぎ、盛り上がるタイミングにはフィルターをオンにしたりなどエフェクトも最低限で、選曲を魅せるDJプレイを披露していた。使用機材を見ると、DJ用コントローラーのAKAI PROFESSIONAL AMXを触っているようだったので、近くに置かれたノート・パソコンにはDJ用ソフトウェアのSERATO Serato DJ Proが入っていたのだろうと思う。
ゲスト・ボーカルに、矢川葵、BONNIE PINKと野宮真貴が登場し、特に銀テープが南宋にも連なっているかのような独特なドレスを見にまとう野宮真貴が「東京は夜の七時」を歌唱するシーンでは、会場のボルテージが最高潮になり、非常に盛り上がっていた。
clammbon(読み:クラムボン)
17時からのGREEN STAGEには、クラムボンが登場。ピアノ+ベース+ドラムというミニマルな編成とは思えない、パワフルな演奏で明るい朗らかな雰囲気を作っていた。原田郁子(vo、k)の演奏する鍵盤はSTUDIOLOGIC SL88 Grandで、DAWのAPPLE Logic Pro上に立ち上げていたピアノのソフト音源を鳴らしているようだ。MIDIキーボードをライブで使用するキーボーディストはちらほらと見かけるようになったが、以前はライブでNORDのキーボードなども弾いていた原田郁子もその一人のようだ。加えて音に関して強くこだわりを持っている彼女は、もしかするとDAW上でプラグイン・エフェクトのプロセッシングなども行っているかもしれない。ちなみに、彼女の使っているマイクはNEUMANN KMSシリーズのようだった。
出演予定だったYOASOBIがキャンセルになったことを受けて急遽フジロックのラインナップに入ったクラムボンだったが、MCではYOASOBIを楽しみにしていたフジロック参加者への気遣いも見せた上で、YOASOBI「優しい彗星」を一部カバーして披露するシーンもあった。終始、人肌の温度を感じるようなライブだったと思う。
D.A.N.(読み:ダン)
18時からWHITE STAGEで演奏していたのは、電子音を効果的に用いたバンド・サウンドが持ち味の3人組バンド、D.A.N.。ゆらゆらと溶けるように先へ先へと流れていく電子音のシーケンスは、 櫻木大悟(g、vo、Syn)の使用機材であるアナログ・シンセDAVE SMITH INSTRUMENTS Prophet Rev2や、よく見えなかったが、モジュラー・シンセの演奏によるものだろう。それらはミキサーのSSL Sixでまとめられているように見えた。
サンレコWebには、D.A.N.のインタビューも掲載中。このときD.A.N.の楽曲を使用したミックス・コンテストも開催されており、著名なエンジニアの方々がミックスのヒントを話す記事もあるので、ミックスが何だか分からない方は、関連記事から読んでみてほしい。
HIATUS KAIYOTE(読み:ハイエイタス・カイヨーテ)
19時からのGREEN STAGEではオーストラリア・メルボルン発のバンド、HIATUS KAIYOTEが登場。一時期活動休止的な期間もあったが、約10年間ほどミクスチャー・ソウルのブームの草分けとして先頭を走り続けている。アフリカ音楽やブラジル音楽などのトライバルな要素をジャズ/ヒップホップ/ソウルに取り込んだ彼らの音楽性を、野外で聴くとまた別の旨味が出てくる。さらに、圧倒的とも言える演奏レベルの高さで観客を魅了していた。
キーボディストのサイモン・マーヴィン (k)は、歯切れの良い弾き方で、濁りのない奇麗な音を披露。キーボードはKORG Kronosをメインに使い、シンセサイザーはROLAND System-8を使用していた。ネイ・パーム (g、vo)の使用マイクは、TELEFUNKEN M-80 Chromeだろう。
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