plug+ by Rittor Music

自分らしく音楽を始める。

スタイル検索

基礎から練習

執筆&サンプル制作:アンメルツP
イラスト:夕凪ショウ(メイン画像)/べこ(キャラクター)
動画制作&編集:plug+編集部

3-4 ボカロ曲をみんなに共有しよう!

こうしていよいよ楽曲が完成しました。最後のセクションは、完成した曲を発表/共有することについてお話します。

曲を作るだけではなく、実際に発表して、そこからフィードバックをもらうことでボカロPとして認知されていく「ボカロPの活動全体」を見据えた話をしていきます。

動画を作らなくてもボカロPデビューできる!?

イラストや動画を作らなくても、ボカロ曲を音楽単体で発表できる場所は幾つかあります。

ピアプロ(piapro) https://piapro.jp/
「初音ミク」を手掛けるクリプトン・フューチャー・メディアによる創作物共有プラットフォームです。クリプトン以外のボカロが歌う曲も投稿できます。ボカロ曲を投稿する場所としては第一の選択肢となるサイトです。定期的に開催されている公式のボカロ曲コンテストに参加する楽しみもあります。

ピアプロに投稿された著者の楽曲一覧。プロビアは自作のボカロ曲やそのカラオケのほか、イラストや歌詞を投稿できます

Soundcloud https://soundcloud.com/
世界中の人たちがインディーズ音楽を投稿しているサイトです。投稿した音楽は波形で表示され、その曲の特定の場所にコメントできることが特徴となっています。海外の方にボカロ曲を聴いてもらうチャンスがあります。

海外の音楽SNSであるSoundCloudにも「vocaloid」のカテゴリーがあり多くのクリエイターの投稿を聴くことができる

また、後ほど紹介する「配信代行サイト」を利用すると、Apple MusicやSpotifyなどのストリーミング・サイトを通じて世界中に自分の曲を発信できます。

3-4-1 動画制作アプリの活用、イラスト・写真探し

こうして音楽だけを発表してもボカロPとして活動できますが、やはりボカロPというと、動画で曲を発表するイメージをお持ちの方も多いでしょう。続いては、動画の発表のやり方を解説していきます。

まず動画を作るツールについてですが、こちらはWindows11であれば「Clipchamp」、Macであれば「iMovie」という、OS標準の動画制作アプリがあります。イラストや写真の上に歌詞を重ねるといった基本的な編集はこれだけで十分可能ですので、これを活用して動画を制作しましょう。使い方はネットに多くのTIPS動画もあるので、そちらで学習できるのも便利です。

Windows11の動画編集アプリ「Clipchamp」の画面。動画に利用できる動画クリップ、フリー素材画像、テキストスタイルなどフリー素材があらかじめ用意されている

スマートフォンでもAdobeの「Premiere Rush」など、直感的に編集できるアプリが多くあります。TikTokやTwitterに気軽に投稿するためだけであれば、映像や写真はスマートフォンのカメラでサクッと撮影したものを使い、それに動画編集ソフトで音を重ねて発表するだけでも十分成立します。

3-4-2 楽曲動画をネットで発表する準備

ボカロやオリジナル・キャラクターのイラストを付けて動画を発表したい場合、さまざまな手段があります。

最も簡単なのは、前述のピアプロでイラストを探すことです。ピアプロは各作品にライセンスを明示した上で投稿するのが特徴であり、「非営利であれば自由に使用してOK」というイラストがとても多いです。この中から曲のイメージに合うイラストを探していきましょう。使用した際は、絵師さんへのお礼をお忘れのないように。

piaproに投稿されたイラスト。「初音ミク」「鏡音リン」など検索機能で好みのイラストを見つけることもできる

また、音源を事前に公開していいのならば、同じくピアプロに「イラスト募集」にタグをつけて曲を投稿して、Twitterなどで絵師さんを募るという方法もあります。本当に曲を聴いて好きだと思った人がイラストを描くことになり、コラボの満足度も高いものになるでしょう。

「ココナラ」などのスキル共有サイトや、pixivなどのイラスト投稿SNSで描いてくれる方を探すのもひとつの方法です。ただし、普段からリクエストを受け付けているか、過去にボカロ曲の絵を手掛けているかなど、慎重に人選を進める必要があります。やり取りもお仕事をお願いするリスペクトの気持ちを持って依頼してみましょう。

また、実写画像を使いたい場合は、自分で撮影したもの以外に、無料素材サイトの利用もおすすめです。私のおすすめはUnsplashです。全ての画像が無料でダウンロード可能、しかも商業目的での使用も自由です(画像そのものをほとんど変更を加えず再販売する場合を除く)。主に海外のユーザーが投稿した美しい風景や人物の写真が数多く公開されています。

画像素材サイト「unsplash」で青空の画像を検索した結果画面

3-4-3 動画サイトや配信サービスに投稿してみよう!

動画サイトに投稿

こうして無事に動画が完成しましたら、いよいよ動画サイトに投稿していきましょう。

動画サイトに関しては、なるべくYouTubeと「ニコニコ動画」の両方に投稿することをおすすめします。ステップ1で少し触れましたが、YouTubeはある程度の知名度のあるクリエイターが主に数字を伸ばす場所であるのに対し、ニコニコ動画は新人発掘の場として機能をしています。

ボカロPの定番動画共有サイト「ニコニコ動画」

まずは 、ニコニコ動画で少しずつ知名度を高めつつ、YouTubeでも少しずつ登録者を増やして継続的に活動をすることが大事になってきます。

また、楽曲のサビやAメロだけなどを独立して切り取ったショートバージョンを、TikTokやYouTubeショートにアップするのもよいでしょう。

TikTokでは、ニコニコ動画やYouTubeとは違うアルゴリズムがあり、利用者の層も異なるため、ふとしたきっかけでいきなりおすすめに載ってブレイクするチャンスも少なからずあります。

こうしたことを繰り返し、ファンや他のクリエイターと交流を深めながら、曲の発表やイベントへの参加を楽しんでいくのが、ボカロPの基本的な活動となります。

自分の曲を世界中にストリーミング配信する

Apple MusicやSpotifyなどのストリーミング配信サイトは、普段から利用している方が多いことでしょう。実は、有料にはなりますが、このストリーミング・サイトで誰でも自分の曲のボカロ曲を配信する方法があります。それは、配信代行サイトを利用することです。

ミュージシャンが世界で音楽を売るサービス「ROUTER.FM(ルーター)」https://router.fm/

ボカロ曲の配信代行においては、この2サイトが特に知られています。なぜなら、これらのサイトは、ジャケットにボカロキャラクターのイラストを含むものでも配信可能であり、しかも「feat. 初音ミク」といったボカロ歌唱のクレジットを付けて配信できるのです。

2サイトとも、「初音ミク」を含む多くの主要ボカロに対応しています。

TuneCore Japanは売上を100%還元するが、配信料をサブスクのような形で支払う形式、対してROUTER.FMは配信登録料を一度支払うだけでOKだが還元率は80%という細かい違いがあります。自分の活動方針に応じて選んでみましょう。

コンテストや一斉投稿企画に参加しよう

企業が主体、もしくはユーザーの企画により、楽曲コンテストや一斉投稿企画が開催されることがあります。投稿企画に参加することもボカロPの楽しみのひとつです。

企業主体の大規模なコンテストとしては、年に6回開催されている「プロセカNEXT」、年2回開催の「ボカコレ」、年に1回の「初音ミク『マジカルミライ』楽曲コンテスト」などがあります。

一斉投稿企画で近年開催されたものとしては、楽曲を匿名で投稿する「無色透名祭」や、笑える曲でニコニコ動画のランキングをジャックする「ネタ曲投稿祭」などが挙げられます。

イベント形式で注目が集まるため、一般的には普段よりも楽曲を聴いてもらうチャンスは増えます。その一方で、多数の作品が一斉に投稿されるため、他の作品との比較で見られる傾向になるほか、コンテストの場合、当選と落選の結果が出ることは覚悟しましょう。逆に、『ボカコレ』のルーキーランキング(上図)のようにボカロP歴2年以内のように新人に門戸を開いたコンテンストもあります。ぜひ、自身似合ったものをネットを調べてみてみましょう。

あくまでもボカロPとしての楽しさは交流の楽しみにあると思うので、落選したとしてもコンテストがすべてではないという気構えで参加するのがオススメです。

形の残るモノを作ってリアルイベントに参加しよう

ボカロPとして1つの目標にしたいのが、リアルイベントへの参加です。

これは「コミックマーケット」や「ボーマス(THE VOC@LOiD M@STER)」、「M3」といった同人イベントにサークル参加して、自分で作ったCDやダウンロードカードを売るということです。

イベントへのサークル参加とは、

・ある程度の曲数を揃える
・ジャケット用の画像を絵師さんに依頼したり、自分で作ったりする
・それらをフォーマット(CD・ダウンロードカード)を守り、制作業者に入稿する
・イベントに向けて宣伝をする

といったボカロPとしての活動を一通り体験できる機会になります。ファンやクリエイターとのリアルの場での出会いや、苦労して作った自分の作品が売れることの喜びは、何事にも代えがたいものがあります。

ボカロPとして何曲か発表して実力がついてきたと思ったら、ぜひイベントへの参加を考えてみてください。

おわりに

アンメルツP

ここまでボカロ曲を作ってそれを発表するという、ボカロPとして一連の活動を紹介しました。

ゴルフや将棋では、たとえプロにはならなくても、それを趣味として楽しんでいる方が大勢います。ボカロPも同じで、有名なクリエイターにならなくても、曲を作ることができれば、達成感やコミュニケーションを味わうことができます。さらに、楽曲を通して自分や周囲の人の未来をちょっとだけ変えることのできる、人生を彩るとても楽しい行為だと考えています。

記事や動画をご覧になった方々に、少しでもボカロ曲を作ることの楽しさを味わっていただけたら幸いです!

PRE

1 2 3

この記事をシェアする

  • LINE
  • twitter
  • facebook

「ボカロPに学ぶ。ボカロ曲の作り方」記事一覧

一緒に読みたい記事

注目記事

新着記事

注目記事