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文:鹿野水月、濱田侑佳  ※メイン画像引用元:YouTubeサムネイル(リンクは文中)

2024年も残り3日! 今年の締めくくりに、2024年人気を集めたボカロ名曲(25曲)を時系列順で振り返ってみよう。さらに企画後半では、ボカロP、歌い手、クリエイターの方々18名に「個人的に魅力を感じたボカロ曲」をアンケート形式で教えてもらったので、ぜひチェックしてみてほしい。

【こちらもチェック!】
2024年 ボカロ曲選 -現役ボカロP/歌い手/クリエイター18名が選ぶ“めっちゃ刺さったボカロ曲” 編-

ボカロP、歌い手、クリエイターとして大活躍している21名に「個人的に魅力を感じたボカロ曲」をアンケート形式で教えてもらいました。

 2024年も多くの素晴らしいボカロ曲に出会えただろうか? 今年はヤマハ ボーカロイド20周年のアニバーサリー・イヤーだったり、ニコニコ動画がサーバー攻撃を受けるというトラブルでボカコレ(『The VOCALOID Collection』)が中止になり、“果たして今年はどうなる?”と思っていたが今年も多彩なボカロ曲が生まれ出ていた。

 ちなみに今年は、昨年に引き続き重音テトのブームが起きており、ヒットしているボカロ曲には重音テトおよび重音テトSVが起用されているのをよくうかがうことができる。また、『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』や『ポケモン feat. 初音ミク Project VOLTAGE 18 Types/Songs』への提供曲なども、今年のボカロ曲再生回数上位になっている印象だった。

……ということで、2024年1月〜12月でYouTubeやニコニコ動画にアップされた中から、話題を集めたボカロ人気曲25選を紹介していく。

目次

2024年上半期(2024年1月〜6月)ボカロ人気曲

※再生数は2024年12月24日時点のものです。

Giga「Beyond the way ft.Miku・Rin・Len」

 『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』内のVivid BAD SQUADというユニットのために書き下ろされた楽曲。スクエア・ウェーブと思わしきバキバキに硬質なシンセ・ベースがリードしていくダンス・ミュージックで、気怠いミクのボーカルと高域まで登ったメロディが下に垂れるときのセクシーなムードにGiga節を感じる。(鹿野水月)

ピノキオピー「Aじゃないか feat. 初音ミク・鏡音リン」

 初音ミクと鏡音リンの二人が織り成す論争(「Aじゃないか」「Bじゃないか」)=異なる意見や正義が決着のつかない争いを生んでしまう様子を、掛け合いのボーカルで表現している。オケは16分音符で細かくチョップされたシンセ、パーカッション、ドラム・パートの音たちが跳ねるように配置されて、四つ打ちの心地良い縦ノリをさらに際立たせている。(鹿野水月)

Kai「ラプラスショコラ / 初音ミク」

 恋に悩める女の子のかわいらしさを楽曲で届けてくれる、ボカロP Kaiの「ラプラスショコラ / 初音ミク」。バレンタイン・デーに投稿された同楽曲の歌詞は、<初めにドキドキを砕いて その欠片とミルクで溶かして 7gの嫌味を注いで 混ぜたら砂糖と想いで焼こう39分>といった、お菓子作りと恋心を掛け合わせたような言葉選びがされていて秀逸だ。また複雑な心情を表現した歌詞とポップなメロディの組み合わせは“それでもめげない!”というような踏ん張る気持ちを表しているようで、さらにかわいらしさを感じる。幼い女の子のようなキュートな初音ミクの調声も、コンセプトに非常にマッチしている。(濱田侑佳)

さたぱんP「ヤババイナ feat. 初音ミク・重音テト・ずんだもん」

 BPM200の超早口ボカロ歌唱が始まったかと思えば、サビでBPMが176に落ち、初音ミク、重音テト、ずんだもんが伸びやかに合唱。その後再びBPM200に戻り<Drop it> の掛け声とともに硬質なビートのハード・コア的な展開が始まり……と、まるでジェット・コースターに乗っているようなドキドキと爽快感を与えてくれる。MVの情報量も多いので、一度観終わっても“理解するためにあともう一回……”と何度も再生してしまう。(濱田侑佳)

大漠波新「わかれみち / ゲキヤクβ・カゼヒキβ・初音ミク・重音テト」

 YAMAHAの試作プラグインであったVX-βに搭載されているゲキヤクβとカゼヒキβを使用して制作されており、彼らの使用期限が迫っていたという現実的なシチュエーションと組み合わせて聴くと切ない気持ちを味わうことのできる楽曲。煌びやかなシンセ・パッドのスライスと力強いビート、初音ミクのビリビリと歪んだ声からは、ボーカロイドたちの激しい感情を感じられるに違いない。(鹿野水月)

原口沙輔「イガク – 重音テト」

 “これは一体何を壊している音なのか?”くぐもった強打音(役割:キック、バスドラム)の強調された音場に、愉快なメロディを重ね、突然の“ユ!”というボイス・チョップが鳴るイントロ。こんな怪しい世界の入り口をポップスで描けるものなのか……と驚かされたが、これがボカコレ2024年冬の第一位で、インターネット上の多くの音楽好きお気に入り曲になっているのも面白い。おかしな様子の音を真顔で置いていくような沙輔さんのトラック・メイクは、いつも前衛的でありながら、美醜/ポップス・ノイズのバランス感覚に優れており、音や音楽における美の本質について、ちょっと考えさせられる。(鹿野水月)

音楽アーティスト“45分間”対談番組『▶︎replay room』
 第一回目のゲストは、歌い手 超学生 × ボカロP 原口沙輔。お二人に45分間、フリー・トークをしてもらいました。最初のお題は、「ネット・シーンで映えるサウンド・メイクとは?」。

かいりきベア「メロメロイド feat.初音ミク」

 初音ミクとポケモンが音楽でコラボする企画『ポケモン feat. 初音ミク Project VOLTAGE 18 Types/Songs』で制作された「メロメロイド feat.初音ミク」。同楽曲でフィーチャーされているかわいらしいフェアリー・タイプのポケモンたちと、かいりきベアの作るエネルギッシュでポップな音楽との相性が抜群に良く、両者の魅力が増している。跳ねるような言葉のリズムと、それを強調するように合わせて鳴るドラムの組み合わせには爽快感があり、聴いていて気持ちが良い。(濱田侑佳)

Eve「Glorious Day feat. 初音ミク」

 煌びやかなストリングスと力強い金管楽器の音が重なり、壮大な物語が始まりを告げるような高揚感を与えてくれるイントロに、ワクワクが止まらない。この楽曲は、初音ミクとポケモンの音楽でコラボする企画『ポケモン feat. 初音ミク Project VOLTAGE 18 Types/Songs』へ制作されたもの。シロナ戦中などのBGMがいくつかサンプリングされており、臨場感のあるバトル映像と合わせて、ポケモン・ファンにとっては堪らない楽曲になっている。(濱田侑佳)

MARETU「【初音ミク】 ビノミ」

 映像化したらおそらくおぞましい光景になるであろう物騒な歌詞を、幼く可愛らしさの強調された初音ミクがふんわりと歌い上げており、オケは四つ打ち太鼓にピコピコシンセが鳴る。そこに、イントロや間奏などでイタリア男声オペラ歌手を思わせる歌が入ってくるという、独創的なアレンジの楽曲ではあるが、この歌詞の意味を紐解いていくと、なぜこの音の構成なのか自然と納得できる。何にしても、怖い。(鹿野水月)

稲葉曇「私は雨 Vo. 歌愛ユキ」

  『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』25時、ナイトコードで。への書き下ろし楽曲。ドラムと、ピアノ、ベース、リコーダー、ギター、それぞれのメロディの掛け合わせ、演奏のアンサンブルが絶妙で、そこでポツポツと言葉を落としていく歌愛ユキの声が吐息混じりで透明感を感じる。いつもの調声と大差があるわけではないが、この曲ではまさに“私は雨”を体現している声だなと思ったりもする。聴いていて雨という存在に感情移入してしまう独特のワード・チョイスとちょっぴり大人に見えるおさげちゃんも、この曲に心を奪われる理由の一つ。(鹿野水月)

r-906「あなたしか見えないの / 初音ミク」

 メイン・ボーカルには初音ミクが、コーラスには可不、星界、裏命、狐子、羽累が起用されている「あなたしか見えないの / 初音ミク」。イントロで鳴る印象的なフレーズが一曲を通して繰り返されるほか、<あなたしか見えないの>という歌詞が何度も歌われることで“あなた”への感情が加速していくような印象を受け、内で静かに燃える情熱のようなものを感じる。同楽曲はr-906の1stコンセプト・アルバム『会話記録』に収録されており、併せて小説も発売されているので、一緒に楽しむことをおすすめする。(濱田侑佳)

サツキ「メズマライザー / 初音ミク・重音テトSV」

 リリースから約7ヶ月でYouTubeの再生数が1億回を突破した「メズマライザー / 初音ミク・重音テトSV」。キャッチーなメロディや疾走感のある曲調のほか、催眠術をかける人を意味する曲名や謎めいた言い回しのある歌詞が多くのリスナーの心を掴み、今でもたくさんの応援&考察コメントが動画へ寄せられている。『The VOCALOID Collection』(ボカコレ)が中止になってしまった今年にここまで注目を集めたというのは、ボカロ・シーンの破竹の勢いを証明する、大きな意味があったのではないだろうか。(濱田侑佳)

マサラダ「㋰責任集合体/重音テトSV」

 癖になるキャッチーなメロディと、ギャグっぽくありながらも何かをほのめかすような含みのある歌詞がリスナーを虜にするボカロP マサラダ。4作目となる「㋰責任集合体/重音テトSV」のほか、ボカロ曲として初投稿した「ライアーダンサー/重音テトSV」もYouTubeで1,000万回再生を達成しているという気鋭のPだ。上記動画のコメント欄には、さまざまな考察コメントが寄せられており、いろいろな解釈があって読んでいて面白い。(濱田侑佳)

続きは、次のページ

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