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文:Mizuki Sikano(plug+編集部)※メイン画像引用元:YouTubeサムネイル(リンクは文中)

2023年も残り1日! 今年の締めくくりに、2023年人気を集めたボカロ名曲(24曲)を時系列順で振り返ってみよう。さらに企画後半では、ボカロP、歌い手、クリエイターの方々21名に「個人的に魅力を感じたボカロ曲」をアンケート形式で教えてもらったので、ぜひチェックしてみてほしい。

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2023年 ボカロ曲選 -現役ボカロP/歌い手/クリエイター21名が選ぶ“めっちゃ刺さったボカロ曲” 編-

ボカロP、歌い手、クリエイターとして大活躍している21名に「個人的に魅力を感じたボカロ曲」をアンケート形式で教えてもらいました。

 皆さま、2023年も多くの素晴らしいボカロ曲に出会えましたか? 今年は初音ミクの16歳アニバーサリーでシーン全体が生き生きしていた印象がありました。24曲とともに振り返ってみましょう。

 ちなみに昨年との違いについて話すと、2023年はボカコレなどで、ハイパーポップ的なアプローチの「人マニア」を筆頭にクリエイターの実験性が光る楽曲が多くの人に支持されていたことが印象的でした。もちろん、昨年のシーンを彩ってきたダーク・ゴシック、カワイイシンセ・サウンド、ネタ曲……などの楽曲も数多く放たれていましたね。

 ボカロの音楽はノリの良さや中毒性が持ち味、と言われていますが、クリエイターたちがその部分をおそらく突き詰めた結果前衛的な楽曲構成や、リズムの曲が生まれることがある……というのがこのシーンならではの凄い発展の仕方だとあらためて実感します。

 ということで、2023年1月〜12月でYouTubeやニコニコ動画にアップされた中から、話題を集めたボカロ人気曲24選を紹介していきます。

目次

2023年上半期(2023年1月〜6月)ボカロ人気曲

※再生数は2023年12月27日時点のものです。

稲葉曇「フロートプレイVo. 歌愛ユキ」

 疾走感のあるギター・サウンドと可愛ユキを用いた曲で人気を集めるボカロP=稲葉曇。今年は「リレイアウターVo. 歌愛ユキ」を『ボカコレ2023夏』に向けて投稿し、TOP100ランキングの1位も獲得していた。この「フロートプレイVo. 歌愛ユキ」では、ショートでキャッチーなギターリフの繰り返し、グルービーで時折メロディックなベース、歌愛ユキによるあどけない声の歌唱、内向的な歌詞が組み合わさり、ノスタルジックなエッセンスが充満している。

なきそ「お呪い / 花隈千冬」

 精神的に不安定な女の子の執念深さを、トラップ・ビートと極太なサブベースのオケに乗せて、“ちょっぴり怖いボカロ曲”を供給してくれるのは、なきそ。DJ現場の大きなスピーカーからなきその音源を聴いた際に、輪郭が見えるほど迫力のある超低域が奇麗だなと感じたのをよく覚えている。

バルーン(須田景凪)「花に風/初音ミク」

 2013年よりバルーン名義でボカロPデビューし、2017年から別名義でシンガー・ソングライターとして活動をしている須田景凪。「花に風/初音ミク」は基本的にバンド然としているポップスだが、ピアノやシンセが適度に耳に残る程度のシンプルなアレンジで、そこにしゃくり上げるような初音ミクの調声が際立って聴こえてくる。この丁寧で個性的な調声が魅力の曲。

煮ル果実「命辛辛with Flower」

 煮ル果実は、2018年から活動開始したボカロP。「命辛辛with Flower」のユニークなところは何といっても“独特過ぎる音場”ではないだろうかと思う。ハイカットしたエレキベースに重ねられた超低域はとんでもなく下に深い空間を形成しており、さらにFlowerのボーカルのためか中高域をすっぽり空けたようなオケは、終始絶妙に不安定な雰囲気を生み出している。まるで、吊り橋の上で踊っているみたいな不思議な浮遊感が味わえて、とても面白い音。こういう音をボカロ曲で作っている人は珍しいと思う。

Guiano「私は、私達は (feat.可不)」

 プロセカMORE MORE JUMPのためにGuianoが書き下ろした楽曲。EDMらしいビルドアップやドロップが用意されているので身体をリズムに乗せやすく、透明感のある電子パーカッションの美しいサウンドが楽しめる。インスト部分も意外と長いこの曲だが、哀愁漂うバラードらしい歌メロにより歌モノとしての完成度も高い曲に仕上がっている。

ピノキオピー「匿名M feat. 初音ミク・ARuFa / Anonymous M」

 エモい初音ミクの曲をさまざまに生み出してくれるピノキオピーによる、実験的な楽曲。ARuFaによるちょっと不躾なインタビュアーが、匿名M(何だかちょっと擦れている初音ミク)へインタビューをする形式で曲が進行する。彼らの風刺的な発言内容もさることながら、発話に合わせた複雑なリズムのオケも独特で面白い。

ゆこぴ「強風オールバック (feat.歌愛ユキ)」

 リコーダーのような“小学生が学校で演奏させられる楽器”をフィーチャーしたオケに、歌愛ユキのボーカルを乗せて、強い風で髪型が崩壊する小学生の無念を歌った楽曲。日清「カップヌードル」のTVCMにも起用されたことで、ボカロファン以外にも幅広く認知された曲になった。音を厳選したシンプルなアレンジは、情報量が多くなりがちなポップスやボカロシーンの中で異彩を放っていたように思う。そして、第一印象でも思ったことだが、ミックスが良い。

まらしぃ×じん×堀江晶太(kemu)「新人類  feat.鏡音リン」

 ピアニストで作曲家のまらしぃ、ボカロPのじん、堀江晶太(kemu)3人が『ボカコレ2023春』に向けて投稿して、TOP100ランキング1位を獲得した楽曲。ニコニコ文化のレジェンドによるコラボは、投稿時にとても話題になったし、何より「プロの作曲家が3人集まってサビで<ウッホウホ>言う曲を作っている」というだけでだいぶウケた記憶。

なみぐる「ずんだパーリナイ  feat.ずんだもん」

 なみぐるが『ボカコレ2023春』のルーキーランキングのラスト出場作品として投稿した曲で2位を獲得し、『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』にも採用された楽曲。ずんだもんの可愛さが惜しげもないこと、一度聴くと絶対に口ずさんでしまう中毒性に感服、筆者も洗脳されました。<もっちもっちずんだ>〜♩。

てにをは「ザムザ  feat.初音ミク」

 『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』のユニット、25時、ナイトコードで。のために、てにをはが書き下ろした楽曲。ニーゴの登場人物の心情に寄り添う点と、カフカの『変身』の物語に共通する要素など、さまざま感じられる言葉の深みが魅力で、さまざまな考察が集まっている印象。

いよわ「ももいろの鍵 feat.初音ミク」

 不協和音の混ざる複雑なピアノ・アレンジを用いて、登場人物の不安定な心情を巧みに描き切るボカロP、いよわ。「ももいろの鍵 feat.初音ミク」は、『プロジェクトセカイ カラフルステージ!feat.初音ミク』内ユニットMORE MORE JUMP!のために書き下ろされた。今年のいよわは、11種類のボーカロイドを用いた「一千光年」で話題を集め、『ボカコレ2023春』のTOP100ランキングでも2位を獲得している。

Ayase「HERO / 初音ミク」

 『初音ミク「マジカルミライ 2023」』のテーマソングとしてYOASOBIのAyaseが書き下ろした楽曲。今年は、初音ミクが設定年齢だった16歳を実際に迎えるアニバーサリーイヤー。そんな記念の年にAyaseが<君は僕にとってのヒーロー>と初音ミクへのリスペクトと愛(<愛の惑星>)を綴ったことで、ミクファンの心はかなり温められたのではないだろうか。

続きは、次のページ

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