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基礎から練習

執筆&サンプル制作:アンメルツP
イラスト:夕凪ショウ(メイン画像)/べこ(キャラクター)
動画制作&編集:plug+編集部

2-2 ボカロ曲の作り方

カバー曲でボカロの歌わせ方・楽しさを味わったところで、いよいよオリジナル曲を作ってみましょう。

本ステップは、YouTube動画とも連動しています。作業の文字や画面写真では説明しきれない作業やポイントなどを解説しています。ぜひ、一緒にご覧ください。

ボカロ曲の作り方【STEP2:ボカロを歌わせる!】
〜作曲・作詞編 by アンメルツP
動画で実際の作業を確認しながら学ぶことができます。

まず、「曲作り」と言いますと、ボカロ曲でもJ-POPもそうなのですが、「Aメロ・Bメロがあってサビがあって3〜4分の曲」という形式が思い浮かぶでしょう。

ですが…… 最初はそれにこだわらず、「15秒ぐらいのワンフレーズの曲の完成を目指す」くらい目標がオススメです。

15秒の長さといえばCMソングとして耳に残るものも多いですから、これだけでも立派な音楽作品として成立します。TikTokにワンフレーズの曲として上げるならば、むしろちょうどいい長さでもあります。

音楽はこだわればどこまでも作り込みができますが、本セクションでは曲を完成させるハードルをできる限り低くして、苦労もあるけど完成した時の面白さをたくさん味わってほしいと考えています。

まずは誰かのためではなく自分のために音楽を作ってみましょう!作る過程でリピートして自分で気に入るものができたなら、それだけでも価値があります。

2-2-1 曲作り開始。テンポ120BPM/4拍子でスタート

まずは作曲ソフトを立ち上げ、新規ソングを選択。テンポを120BPMに設定してみましょう。このテンポですと、8小節の長さで16秒の曲になります。DAWでは基本的に4拍子(4/4)の設定になっています。これは、曲に合わせて拍手をした時に、4拍子の曲だと1・2・3・4・1……サイクルが1小節となります。8小節はこれを8回繰り返すこととなります。

作曲作業は、主に2つのステップを行うものです。

・コード進行を決める
・メロディを作る


例えるなら、コード進行を作る=「レールを敷く」、メロディ=「そこに電車を走らせる」ようなイメージです。

コードは、「調」の中で基準となる1音を決め、一定の法則をもとに音を重ねたものです。どの音を重ねると気持ち良いか?は数学的な要素も絡んでいて、長い歴史で整備されてきました。コードをどの順番で流したら気持ちよくなるかを考えたのが「コード進行」です。

ピアノの白い鍵盤と黒い鍵盤が合わせて12個あるうち、どの組合わせをいわばレールの「素材」として採用するかが「調」です。「調」にもいくつかありますが、今回の曲は最も分かりやすい「ハ長調」で作ります。このハ長調は白い鍵盤(ドレミファソラシド)しか使いません。

さて、コード進行については、無限にパターンが考えられます。今回はそれを考える時間を省略するため、有名な曲で実績のあるコード進行をそのまま使います。作曲を始めたばかりのころは「そのまま使う」がベストです。

今回は、有名なコード進行の1つである「小室進行」を採用します。具体的には「VIm-IV-V-I」という書き方、ハ長調で表現すると「ラドミ→ファラド→ソシレ→ドミソ」となります。

2-2-2 コード進行をDAWに打ち込み

先程の音階「ラドミ→ファラド→ソシレ→ドミソ」という4つのコードを順番に打ち込んでいきましょう。これを1小節ずつ打ち込んで、最初の4小節にします。

そして、次の5〜8小節めに、もう1回同じものを適用します。

作曲ソフトではピアノやシンセサイザーなどの楽器を使って、1小節まるまるこの3つの音の組み合わせを打ち込んでいきましょう。

このときに、全体を1オクターブ上げたり下げたり、あるいは「ラドミ」を「ドミラ」のように順番を変えることで、また違った響きを味わうことができます。

これにより、8小節のコード進行が無事完成しました。

「小室進行」は、音楽プロデューサーの小室哲哉さんが多用しているほか、ボカロ曲でも「千本桜」や、筆者の「人生」で使っている定番のものです。

2-2-3 メロディ作り

メロディを作るにあたっては、コードごとに合うメロディが必ず存在します。
「鳴っているコードにどういう高さの音を合わせればいいか」は、ある程度、法則があります。それに従ってメロディ・ラインを作っていけば、まず破綻が無いものが完成するわけです。主な法則はこちらとなります。

コードに合ったメロディ作りの主な法則

基本は、コードを構成している音(内音)を使う

同じ音程の内音で挟んだ中の音として、1つ上か、1つまたは半音下の音を使う(刺繍音、トリル)

違う高さの2つの内音の間をつなぐ音を使う(経過音)

ある内音の前に、長めに1つ上か、1つor半音下の音をアクセント的に入れる(倚音 ※読み:いおん)

曲の区切りでは、主音(ハ長調の場合「ド」)で終わる

最初は①の内音だけを使い、⑤4小節目と8小節目の最後の音を「ド」で締めるメロディを書いてみましょう。音を鳴らしながら、マウスで感覚的に入力してみます。慣れたら、②~④の音も取り入れていきます。

音符の長さも最初は1拍(4分音符)から始めていって、徐々に半拍(8分音符)を増やすようにすると、だんだん複雑なメロディを作れるようになっていきます。

4分音符をメインにした単純なメロディ
4分音符を8分音符にメインにしてメロディを複雑にしていく

何度か試してみて、気に入ったメロディができたら、作曲ソフトで保存しておきましょう。
これで、無事に作曲の過程が終了しました。

2-2-4 作ったメロディをボカロで鳴らす(MIDI書き出し&読み込み)

この状態でDAWのプロジェクト・ファイルをMIDIファイルとして書出し、メインのメロディパートをボカロ・エディターに読み込んでみましょう。また、DAWによっては、メロディ・トラックをMIDIで書き出すことでも同じ作業を行うことができます。

曲をMIDIファイルにて書き出し
書き出したMIDIファイルをボカロ・エディターに読み込む
ボカロ・エディターに先程のメロディのフレーズが読み込れる

すると、先ほど作ったメロディをボカロが歌ってくれるはずです。この段階では歌詞は単に「ららら」で歌うだけですが、それだけでも、達成感は味わえると思います。

次のセクションでは作詞や簡単な編曲、それに調声で気を付けることについてお話をしたいと思います。

続きは、次のページ

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