テキスト:宮川麿
DTMに関する初心者向けのお悩みをサウンド・コンポーザーとして活躍する宮川麿さんが、Q&A形式で答えていくコーナー。今後、連載でさまざまなお悩みを解決していきます!第一回は制作環境に関する質問からです。
DTMとは?
DTMとはDesk Top Musicの略称で、パソコン(PC)で音楽を作ること全般を指します。PC内に自分の演奏を録音したり、いろいろな楽器音をソフト・シンセに演奏をさせて1人で曲を作ることができるのです。
しかも結論/極論を言ってしまうと、今はPCじゃなくても、“iPhone 一台”あれば、DTMは始められます! iPhoneのアプリだけで曲を完成させて、録音して、自分で配信までする、そういったアーティストさんも増えているのです。さあ、手持ちのiPhoneからDTMの世界に飛び込みましょう!
「自分のスマホ、Androidなんですけど……」
そういう方ももちろん多いですよね。でも、わざわざiPhoneを買う必要は無いと思います。どうせなら、そのお金でPC(パソコン)を買うことをお勧めします。
PCでDTMを使うメリットとしては、ソフトの充実度に尽きます。世界中のDTMのメーカーや開発者たちはPCを前提にソフトを作っていますから、選択肢が多いというのは多様性が生まれることにもつながります。実際、大体のプロの音楽家たちはPCをメインに作業している方がほとんどです。
DTMに必要な基本セット
ということで、DTMに必要な基本セットをまとめます。
1ソフトを動かすためのPC(MacでもWindowsでもOK)
2音楽を作る専用のソフトウェア=DAW
3PCの音を出したり、音を録音するためのオーディオ・インターフェース
4音を聴くためのスピーカーやヘッドフォン
①PC(パソコン)
ひと昔前は、“音楽といえばMac”が常識でしたが、今はWindowsユーザーの方も増えています。ほとんどのソフトがMac/Windows両対応になっている場合が多いので、正直、自分の好みと予算に合わせてPCを選んで大丈夫です。
Macに関して言えば、最初から無料の音楽ソフト(後述のGarageBand)が付いていたり、プロ専用の音楽ソフトを作っている経緯があるので、誰でも始めやすい印象です。Mac自体の種類がそれほど多くないので、購入時に迷いにくいというのも良い点ですが、全体的に値段が少し高めという感覚です。
Windows PCは安価なものもラインナップされていますので、購入予算を抑えるにはうってつけです。ただ、Windows PCは種類が非常に多いため、どれを買っていいのか初心者は分かりづらいという難点もあります。
②DAW(音楽制作ソフト)
音楽制作の一連の作業ができるソフトです。打ち込みをしたり、録音したり、編集やミキシングをしていきます。DAWは種類がいろいろありますが、Macの方は最初からGaregeBandというDAWが最初から付いていますので、それで始めるのが一番簡単かもしれません。
ほかにも、Mac/Windows用のPRESONUS Stuido One Primeといったエントリー・バージョンのDAWが無料であったりするので、それでスタートするのもアリだと思います。ただ、無料のエントリー・バージョンは機能的な制限があるので、慣れてきたら少し予算を組んで上位のバージョンにアップグレードしたり、他のプロフェッショナル用DAWを検討しましょう。
③オーディオ・インターフェース
PC内のDAWの音を外部に出力したり、マイクをつないで録音するために必要な機材です。“オーディオI/O”“オーディオIF”“インターフェース”などと呼ばれます。大体のPCにはヘッドフォン・アウト端子が備えられているので、ヘッドフォンやイヤフォンでPC内の音を聴くだけなら、実はオーディオ・インターフェースが無くても成り立ちます。ただし、良い音でDAWのサウンドをやり取りするためには非常に重要なツールで、スピーカーやマイク/ギターのシールド・ケーブルをつなぐ際にも必須となってきます。
オーディオ・インターフェースは5,000円程度から上は何十万円のプロ機まで幅広い種類があるので、まずは10,000円~20,000円前後の入門機を使ってみて、ステップ・アップしていくのが良いと思います。以下、お手頃価格なオーディオ・インターフェースの一例を紹介しましょう。
STEINBERG(スタインバーグ)
UR22 MKII
定番の人気モデル。必要最低限の機能を備えながら24ビット/192kHzの高音質録音にも対応。Hi-Z端子も搭載。この価格帯では珍しくMIDI入出力端子も付いていて、なかなかの万能選手。
PRESONUS(プリソーナス)
Studio 24C
同社が誇る“XMAX”クラスAマイク・プリアンプを搭載し、高品質の録音が期待できます。DAWであるStudio One Artist(12,800円相当)も付属しているのも魅力です。
AUDIENT(オーディエント)
Evo 4
音質に定評のあるメーカー、AUDIENTのオーディオ・インターフェースです。ギターが直挿しできるHi-Z端子も付属。何と言ってもスタイリッシュな見た目が素敵です。
④スピーカーやヘッドフォン
DAWの音を聴くために重要なツールです。PC自体のスピーカー性能も上がってきていますが、自分の作る音をしっかり判断をしていくためには、やはりスピーカー、ヘッドフォン、イヤフォンのいずれかは必須になってきます。最初はお手持ちのイヤフォンやヘッドフォンを使って、より良い音質やプロに近い環境が気になってきたら、もう少しグレードの高いものを検討していくのがお勧めです。できれば、音を正確にジャッジできる“モニター用途”と言われる製品を使うと、ご自身の“聴く能力”の成長と作品のクオリティ・アップにつながると思います。
今はテクノロジーの進化もあり、DTMはとても身近なものになりました。昔はお金をかけて多数の機材が必要でしたが、今はiPhoneや手持ちのPCだけでも始められるようになっています。良い時代ですね♪
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