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上達のヒント

テキスト:宮川麿 イラスト:mucha

DTMに関する初心者向けのお悩みをサウンド・コンポーザーとして活躍する宮川麿さんが、Q&A形式で答えていくコーナー。連載でさまざまなお悩みを解決していきます!第6回はDTM始めたての小動物から「プロみたいなボーカルを録音する方法」に関する質問です。

プロみたいなボーカルを録音したい!

DTMをやっているうさぎだよ!麿先生!レコーディング用にちゃんとしたマイクとオーディオ・インターフェースを購入して録音してみた! でも、プロの音源の音と比べるとショボい気がするの。

宮川麿(みやがわ・まろ)

僕も若いころは、そんな感じで歌を録音したけど細い音になったり、アコギの録り音は薄かったり……そんな経験をいっぱいしてきたんだよね(笑)。では今日は、僕がたどり着いた解決方法を伝授するよ!

其の一:適正音量のための適切なマイキング

宮川麿(みやかわ・まろ)

適正音量というのは、大き過ぎず小さ過ぎないボリュームのこと。DAWのメーターが上がり切ってクリップしても、録音した波形の形が分からないくらい小さいボリュームもNGです。

適切なマイキング……えっ、My Kingって誰?

宮川麿(みやかわ・まろ)

マ・イ・キ・ン・グ、Mikingはマイク位置など設定すること! これ、とても奥が深い! 歌い手がマイクから離れ過ぎると声が遠くなって音も細くなり、逆に近過ぎると音割れしたり、ボワボワした音になる。片手でグーを作って、1~2個分くらいの距離を基準に試してみるのがいいよ!

ん〜それなら多分うさぎも、ちゃんとできてる。でも、プロみたいな音にならないよ!?

其の二:ボーカルをコンプなどのエフェクターで処理する

宮川麿(みやかわ・まろ)

レコーディング業界では常識であるものの、実はあまり知られていないことをお伝えしましょう。実は、プロの曲に入っている歌というのは、びっくりするくらいさまざまな処理がされています。つまり、“録音したままのボーカル=音源の音”ではないんですね!

実は歌ってすごく音量差が激しいパートなんです。小さい声から大声までたくさんあって、全然均一ではありません。それが歌の良さだったりもするわけですが、曲として仕上げるとなるとある程度は均一な大きさで聴こえていた方が、リスナーも安心して曲を楽しめるわけです。そのため、コンプレッサーなどのプラグイン・エフェクトなどを駆使して、声の音量を整えていきます。

きっと、可愛い。コンプレッサー・パンダ!

宮川麿(みやかわ・まろ)

簡単に説明すると、コンプは“大きい音を小さくして音量差を均一にする”エフェクトね。プロの現場では歌の収録時にコンプをかけて、音量をある程度均一にした状態で録音したりもします。さらにミキシングの段階でもコンプレッサーで整えて、音量の大小を自動的にするオートメーション(編註:音量などのレベルを自動変化させるパラメーター)を描き、そこからEQで細かく音色調整をしたり、リバーブやディレイで響きを足して曲になじませたりしているんだよ!

Wow! 仕込みが、ハンパないね! じゃあ、うさぎもプロ目指してるし、歌はコンプのかけ録りをしてみようかな!

宮川麿(みやかわ・まろ)

コンプはかけ過ぎると音質劣化が起こったりもするので、まだうさぎは打ち込み初心者だから、これから耳を育てるよね。一旦今は素の音を録音して、ミックスでコンプの処理をすると良い気がするよ!

ボーカルへのコンプの使い方を教えて!

うさぎ、そのコンプ(レッサー・パンダ)よく分からないまま使ってる。だから、今日は教えて欲しいこと3つ用意したから、麿先生、答えてほしい!

初心者におすすめのボーカル向きコンプはある?

WAVES Renaissance Compressor
宮川麿(みやかわ・まろ)

僕のおすすめはWAVES Renaissance Compressorだよ。リリース当時に一世を風靡した名作プラグインなんだよ。簡単操作でナチュラルなコンプレッションをかけられるのが魅力。お手ごろな価格なので初心者でも導入しやすいのもいいですね。個人的にもWavesのRenaissanceシリーズは今でもよく使います。

オートメーションを描く前後のコンプ処理で意識することは違う?

宮川麿(みやかわ・まろ)

例えばボーカル・ミックスをする場合は、コンプレッションとボリューム・オートメーションが必須になってきます。使い方は、簡単に言えば2通りあるから学んでいこう。

2通り!選べるのってやっぱり楽しいよね!

宮川麿(みやかわ・まろ)

コンプで軽くならして全体を滑らかにしてから、抑えきれないピークなどをオートメーションで下げたり、聴こえづらい部分を上げたりしていくとナチュラルに仕上がります。逆にコンプをかける前にオートメーションやクリップ・ゲイン(編註:エフェクトの前段で行う音量調整)などでボリュームを調整してあげると、リダクションの量が調整できるので、コンプが掛かり過ぎてしまうとかコンプで持ち上がってしまうノイズの対策などに有効だよ。

ほぉ〜、麿先生はどっちでやっているの?

宮川麿(みやかわ・まろ)

僕はまずはコンプを掛けてならしてから、ブレスやコンプが追いつかない部分などをクリップ・ゲインなどで調整して、最後にボリューム・オートメーションで調整することが多いです。

ボーカル用コンプでおすすめの設定方法はある?

宮川麿(みやかわ・まろ)

ナチュラルな処理を施したい場合は、個人的にオプティカル・コンプレッサーがお薦めです。その際にレシオは2:1や4:1程度で、リダクションが3dB前後で収まるよう調整することが多いです。歌の質によって変わってきますが、アタックとリリースは少し遅めにしてあげると自然なかかり具合になると思います。

もっと音数の多い、激しさを感じる音楽のボーカルはどう?

宮川麿(みやかわ・まろ)

ロックなどでアグレッシブな効果を出したいときや突発的なピークを抑えたい場合は、アタックの速いFETタイプ(編註:コンプはパーツや回路や動作方法などが異なるさまざまなタイプがあります。FETはその一つ)がお薦め!アタックやリリースの効果が分かりづらい場合はスレッショルドを深くかけた状態で調整してみると効果が分かりやすいと思います。

ほぉ〜、麿先生はどっちでやっているの?

宮川麿(みやかわ・まろ)

個人的にはFETタイプのコンプでピークを慣らしてから、オプティカル・タイプのコンプで全体を整えることが多いです。目的に合わせて複数のコンプで少しずつリダクションしてあげることによって、自然な仕上がりになりやすいよ!

まとめ:音量バランス調整は基本!

宮川麿(みやかわ・まろ)

このように音量差をしっかり整えていくと、全体的にボーカルの音量を上げることができ、迫力あるサウンドに仕上げることができます。ということで、しっかり音量バランスを整えるのが、プロ・レベルのサウンドを作る近道です!

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