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テキスト:宮川麿 イラスト:mucha

DTMに関する初心者向けのお悩みをサウンド・コンポーザーとして活躍する宮川麿さんが、Q&A形式で答えていくコーナー。連載でさまざまなお悩みを解決していきます!第7回はDTM始めたてでギターの音がショボくて悩んでいるうさぎから「プロみたいなギターの音作りをする方法」に関する質問です。

プロみたいなギターの音を作るには?

DTM大好きなうさぎです! 前回に引き続いて……ギターの音が細くて困ってます! プロっぽくしたい! 簡単にカッコいい音へできる方法はある?

宮川麿(みやがわ・まろ)

ギターの音って奥深いですよね。カッコいいディストーションや透明感のあるクリーン・トーン、美しいカッティング……究極的な話からしちゃうと、ギターって同じモノを使っても弾き手が変わるだけで別の音になるくらい個性が出る楽器なんです。なのでギタリストとしての技術鍛錬を積むのが一番大事!

何それ! うさぎ文化系の部活しか通ってないから修行とか無理かも! うさぎあんま指広がらないし……プロの音を出すのに何年もかかっちゃうの!?

宮川麿(みやがわ・まろ)

諦めないで練習もしてほしいけど、まずは録音環境をチェックしていきましょう! Hi-Z入力とかDIって知っているかな?

Hi-Z入力とDIが必要な理由って?

宮川麿(みやがわ・まろ)

Hi-Z入力とDIを理解するために、まずはインピーダンスというのを理解してもらおうと思います! ギターやベースなどの出力はいわゆる“ハイインピーダンス”と呼ばれる高めのインピーダンス。ミキサーやオーディオ・インターフェースなどのライン入力は大体“ローインピーダンス”です。

全然分からないけど……“ダンスッ!”ってイメージは頭の中で育ちつつある!

宮川麿(みやがわ・まろ)

そのイメージは一旦止めとこうか。インピーダンスの単位はΩで、機材のスペックとか確認すると書いてあることがあるよ! ライン入力だとギターなどの高いインピーダンスを受け止めきれず、音質劣化してモコモコした音になってしまうんだよ。“ロー受けハイ出し”(出力側のインピーダンス<入力側のインピーダンス)って言葉があるけどその通りにするか、または出力と入力共に同じインピーダンスにすることで、正しく信号のエネルギーを伝達できるよ!

なるほど! ギターなどの音を、ローインピーダンスに変換するために、Hi-Z入力とDIは必要なんだ!

宮川麿(みやがわ・まろ)

そういうこと! ギターが普段つなぐアンプなどは入力もハイインピーダンスなので問題ないけど、宅録でミキサーやオーディオ・インターフェースのロー・インピーダンスの機器につなぐためには、DIやHi-Z端子でインピーダンスのマッチングをしてあげないといけないのです。

DIを使うメリットは?

宮川麿(みやがわ・まろ)

使用目的はDIもHi-Z入力もほぼ同じなのですが、ここでDIを付け加えて使う利点を整理してみましょう!

1楽器をマイクレベルの信号に変換できる

2ローインピーダンスの特性で、長距離のケーブルを引き回してもノイズに強くなる

3XLR出力でオーディオ・インターフェースに接続できるのはノイズ対策になる

4DIの種類によってはインピーダンスの値も調整できる

5DIによる音色、キャラクターを選べる

宮川麿(みやがわ・まろ)

宅録での利点は、インピーダンスのマッチングと、音色のキャラクターを選べるといったところでしょうか。あとはDIからミキサーなどへつなぐXLRケーブルによる音質変化を楽しむ方も居ますね。

わぁ〜うさぎの知らない世界!超オタクっぽくて格好良い!

宮川麿(みやがわ・まろ)

Hi-Z端子を使うのが一番イージーでシンプルだけど、特にベースはライン入力音をメインに使うことが多いからDIもこだわる人をよく見るよ。“ここのDIはレンジが広い”とか“このDIはこういう音色へ変えられる”とか“真空管が入っているから音が太いぞ”とか、キャラクター分けをしてこだわる方が多い!

DIを選ぶときはどんなことを考える?

いろいろとDIにも種類があるっていうことを理解できました! ところで、実際にDIを選ぼうと思ったら、何を考えて探せばいいの?

宮川麿(みやがわ・まろ)

DIの本来の目的は“正しく音声信号を伝達する”というところ。だから、なるべく“クリーンで劣化の少ない音質”というが大目的で作られてます。なのでどれを選んでも基本的に問題はないけれど、やはりトランスなどの使用部品によって音質変化があるので、最終的には音色を追求したい人達向けというか……好みの領域になってくるんだよね。

先生! おすすめのDIってありますか?

おすすめのDIっていろいろあるのかな? 何を選んだら良いの?

宮川麿(みやがわ・まろ)

COUNTRYMAN Type85とかは定番と言われていて、バンドマンの方々ならライブ・ハウスなどでも見る機会が多いかも? RADIAL J48は“ハイファイな音質”でこの20年くらいで定番の仲間入りをしたと言われてるよ! どちらもファンは多いです。

COUNTRYMAN Type85
RADIAL J48
宮川麿(みやがわ・まろ)

昨今は進化していて、DIの機能に加えてリアンプ用のリバースDIなどの機能がてんこ盛りなUMBRELLA COMPANY Signalform Organizerや、インピーダンスの可変が音色変更にもつながるような機能を持つIK MULTIMEDIA Z-TONE DIなんかもあったりします。特にZ-TONE DIは宅録向けだね!

UMBRELLA COMPANY Signalform Organizer
IK MULTIMEDIA Z-TONE DI
宮川麿(みやがわ・まろ)

無事DIを使用したりHi-Z入力を使い、音質劣化もなく録音できたらアンプ・シミュレーターを使おう!

アンプ・シミュレーターってなに?

IK MULTIMEDIA AmpliTube 5

まず、エレキギターはアンプにつないで音を出すのが基本です。本来はアンプから音を鳴らして、それをマイクで収録するのが理想ですが、日本の住宅事情的にもアンプはなかなか鳴らせません。ということで、パソコン内のプラグイン・ソフトだけのものやライブなどでも使いやすいハードウェアなどいろいろなアンプ・シュミレーターを使うのが手っ取り早いです。

宮川麿(みやがわ・まろ)

素のギターを入力すると、本物のアンプを鳴らしたかのようなサウンドが得られるツールで、ちょっとしたひずみから激しい轟音まで、市販の曲でギタリストが奏でるサウンドが手に入ります。

アンプ・シミュレーターって言っても、ヘッド・アンプのような実機のものからプラグイン・ソフトまで、いろいろと選択肢があるんだね! まずはプラグインでお手並み拝見してみたいかも!

宮川麿(みやがわ・まろ)

技術の発展のおかげで近年のアンプ・シュミレータはとても良い品質になっているんだよね。プラグイン・エフェクトとして代表的なのは、IK MULTIMEDIA Amplitube、OVERLOUD TH-U、NATIVE INSTRUMENTS Guitar Rig、POSITIVE GRID Bias Ampかなぁ。この辺りを使っておけば間違いないです。僕も絶賛愛用してるよ!

DAWには最初から付属しているアンプ・シミュレーターもあるよね。

宮川麿(みやがわ・まろ)

それも選択肢にあるよね! でもギター分野を専門で作っているメーカーは音色的に出来が良いし、選べるアンプの種類が豊富! 有名ギタリストのセッティングを呼び出せるプリセットが用意されていたりもするから、音の傾向や使い方を学ぶにも良いね。デモ版を使ってみて好みのトーンが出るもの、操作性が自分に合うものを選ぶのもアリだと思う♪

まとめ:自分の欲しいギター・サウンドを定めておこう!

宮川麿(みやかわ・まろ)

ギター知らない人はアンプ・シミュレーターの中でも何を使えばいいか悩んでしまうはず! それぞれ“クリーン向き”とか“ひずみ向き”など、使うアンプによってジャンルが変わるくらい違いがあります。ポップスで使えるクリーンなアルペジオやリズム・カッティングなんかは、FENDER系やVOX系。王道ロックのオーバー・ドライブ・サウンドにはMARSHALL系やORANGE系。メタルやハードコアの重いサウンドにはMESA/BOOGIE系やDIEZEL系のシミュレート・サウンドが合うでしょう。これらを参考に、自分が求めるギター・サウンドに近付けていきましょう!

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