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テキスト:宮川麿 イラスト:mucha

DTMに関する初心者向けのお悩みをサウンド・コンポーザーとして活躍する宮川麿さんが、Q&A形式で答えていくコーナー。連載でさまざまなお悩みを解決していきます!第13回は「プロが音楽を聴くときの“コツ”ってある?」という質問です。

プロが音楽を聴くときの“コツ”ってある?

まずは主旋律以外に目を向ける!

相変わらず曲がなかなか完成しない、DTM歴1年のうさぎです。いつか自分の曲がアニメの主題歌になるのを夢見てる!そのために音楽の研究をしようと思うのですが、プロが音楽を聴くときの“コツ”ってあるんですか?

宮川麿(みやがわ・まろ)

昔懐かしいあの名曲など、小さいころによく聴いていたアニメやドラマの主題歌をあらためて聴き直してみると、こんなバック・トラック(伴奏)だったの!?って驚くことがあります。不思議なもので、やはり人間は主旋律や目立つカウンター・メロディを主に聴いているんだーって実感します。

音楽を作っていく上で大事な聴き方はボーカル以外の音や情報をしっかり聴き分けることだと思います。

耳には自信があるし……と言いたいところだけど。慣れていないからか、うさぎの耳にはサブベースの周波数とかめちゃ聴き取りづらいの。だからコピーしようと思っても、なかなか苦戦してます!

宮川麿(みやがわ・まろ)

それはヘッドフォンやスピーカーを変えたらモニターしやすくなるかもしれないし、あと慣れたらきっと分かるようになるから大丈夫だよ! とりあえず、僕自身が音楽を聴くときにしているポイントを教えるね。
・この楽曲はどういう楽器を使っているのか
・ハモりはどんな感じか
・歌や楽器の音の大きさ=ミックス・バランスはどんな感じか

などその楽曲に入っている情報をできる限り把握するように頑張ってみよう。

基本的に4つの耳を持って【作曲耳】【編曲耳】【ミキシング耳】【リスニング耳】で聴き分けるといいでしょう。

う〜ん……うさぎの耳は2つしかないし何かピンと来ない(泣)。具体的に教えて!

“4つの耳”を鍛えて音楽クリエイター・レベルUP?

作曲家の耳を持つためには?

宮川麿(みやがわ・まろ)

主に主旋律とコードの響きを中心に聴いていきます。なのでボーカルのメロディ・ラインや対旋律、コードのルートとなるベース、コード楽器のギターやピアノを中心に聴いています

そして、「この曲、かっこいい」と思ったら即耳コピして、どうなっているのか各パートに分解し、自分の曲に取り入れられるように身体に染み込ませていきます。

実は、僕はとても耳コピが苦手なのでこの作業はとても苦労するのですが、解読できたときの達成感はすごいですよ(笑)

編曲家の耳を持つためには?

宮川麿(みやがわ・まろ)

全体に使用されている楽器の音色や構成、仕掛けなどを中心に聴いていきます。キメやフックやブレイク、効果音にも意識を置いて聴きます。これによってその楽曲がどんな楽器構成で作られているのか、どんな構造になっているのかを理解していきます

「Aメロはピアノとドラムだな」とか「Bメロはドラムがハーフ・ビートになってギターが足されているな」とか「サビ前はブレイクがあって、シューっていう効果音が入って、サビ頭はどっかーんだな」みたいな感じで、その曲のメロディ以外のバック・トラックに注目していくイメージです。

ミックス・エンジニア的耳を持つためには?

宮川麿(みやがわ・まろ)

主に楽器のバランス感や奥行き感、広がり、音圧感など、細かく聴かないと分かりづらい部分に集中していきます。歌の前後感であったり低域の出具合、エフェクトのかかり具合ですね。

正解が無い世界なので難しいところですが、自分が作った曲と比べながらマネして作り込んでいくことで、自分自身のミキシングの精度が上がったりします。トライ&エラーで試行錯誤することによって、耳が育っていくわけですね♪

最後にはリスナーに立ち戻って音楽を聴こう

宮川麿(みやがわ・まろ)

最後には、何も考えずにスマホやPCやTVで聴くことも大事です「楽しく聴けるか?」とか「違和感がないか?」など、作り手目線ではなく、リスナーとして客観的に聴いてみるのがポイントです。自分の曲が完成した後に、楽しむために聴くときもこの耳です。

実は、こういう音楽の聴き方は耳をリフレッシュさせたり気分を変えるために結構大事なんです。僕の場合は、気をつけないと分析的な耳で音楽を聴いてしまうので(笑)。

まとめ:とりあえず聴きやすいパートから頑張ろう!

宮川麿(みやかわ・まろ)

一つの楽曲を、違った目的の耳で聴き分けていくのはなかなか難しいと思いますが、コツとしては、自分が聴き取りやすいパートから順番に聴き分けていくこと。さらに、把握した旋律を耳コピするところまで頑張ると、耳の上達が早くなっていくと思います!

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