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※メイン画像引用元:YouTubeサムネイル(リンクは文中)

多種多様な楽器とボーカロイドのミックス・バランス

今回参加する11人ものボーカロイドは全てが同じメーカーが制作したものではなく、うち1つ(足立レイ)は人間の声から生成されたものでないという、かなりバラエティに富んだ音声ライブラリーの選出がされています。

そして、いよわさんの楽曲の特徴の一つである多種多様な電子音たちの合奏は、楽器数も決して少ないわけではありません。そういった編曲ですから、この楽曲のメッセージ性を聴者にダイレクトに伝えることにおいて、ミキシングが非常に重要な要素となります。

まず前奏で印象的なのは、ボーカロイドのコーラスを囲い込むように極端に広い間隔で配置された楽器の定位です。しかし各ボーカロイドの音量は適切に調整されており、バランスの良いパンで配置されたボーカロイドの声とステレオ・ワイドな楽器が競合することなく協調しながら音を奏でています。ボーカロイドの声と楽器が、どちらも聴者にしっかりと届くよう作られているのです。

さらに、楽器パートにおいてもメロディーとハーモニーと主役の楽器がそれぞれ最適なバランスで存在し、作者いよわさんの伝えたい世界観がより明確になっています。ミキシングにより各楽器の音とボーカロイドの声が持っている個性を際立たせつつも、一体感を持ち、聴者に心地よいサウンドを届けることを実現しているのです。

11人のボーカロイドを使った多彩で効果的なレイヤリング

ここで言うレイヤリングとは、異なる音色や音声ライブラリを重ねることで、より豊かで立体感のある表現を実現する手法を指します。今回の楽曲では、11人の多彩なボーカロイドと楽器を効果的にレイヤリングすることにより、独特の広がりと立体感、奥行きを演出しています。

まずボーカロイドに関しては、常に鳴り続ける初音ミクの声を主軸に、それぞれの声質や癖を活かしながらハーモニーやコーラスを重ねています。これにより、単一の声からは得られない多層的で壮大な歌声が生まれ、聴者に大きな感動を与える要素となっています。

楽器においても、リズムパート、メロディパートなどそれぞれ役割が異なる楽器で鳴らされて、互いに補完し合いながら音楽により奥行きを生み出しています。これらの無数の音のレイヤリングにより、いよわさん独自の音楽世界を作り出し、ボーカロイドと楽器の絡み合いにおいて今までに無い新たな魅力を生み出しています。ボーカルのハーモニーや楽器の重なりを大切に表現してきたいよわさんだからこそ、実現できた世界観とも言えます。

個性際立つアレンジ

ここまでの項目と通ずる要素も多い“アレンジ”に関して考えてみます。アレンジとは、音楽の構成や表現技法を工夫し独自の音楽スタイルや世界観を構築するプロセスのことです。この楽曲では、柔らかいアタックの打楽器と多彩な電子音の活用、そして今の音楽のトレンドとボーカロイド文化の組み合わせによって、新たな音楽スタイルを生んでいます。

まず打楽器と電子音に関しては、いよわさんの楽曲を特徴づける要素でもある柔らかいキックと、使用しているシンセサイザーの持つ幅広い音や効果が駆使され、独特の世界観を作り出しています。これにより、リスナーに心地の良い音楽体験を提供し、新たなサウンドの可能性を広げています。

そして、従来のボーカロイド曲の要素を取り入れつつも、音色やステレオイメージ、そしてエフェクトの使い方は現代的で、独自のクリエイティブなアプローチがさまざまに感じられます。

これら独創的なアレンジは、聴者にボーカロイド楽曲の新たな魅力を感じさせており、ボーカロイド文化そのものの進化や多様性が示されていると思いました。いよわ「一千光年」は、ボーカロイド文化の可能性がさらに広がっていくことを期待させるような、そんな楽曲でした。

超学生が最近購入したプラグイン

UNIVERSAL AUDIO UAD-2 Sonnox Oxford Dynamic EQ

今まで特に抑えることのなかったボーカルのバス・トラックのピークを抑えることで、逆に自分の声の個性を際立たせられないかという試みをするため、良いダイナミックEQが欲しくて購入しました。

今のところは、ディエッサーとは違う声の突出した周波数のコントロールや、マスター・バスにおいて際立たせたい部分を少しだけ隠し味的に上げるといったことが実現できています。

サウンドの透明性と操作の利便性を兼ね備えたこのUAD-2 Sonnox Oxford Dynamic EQでできることは、もっと多岐にわたっていると思うので、今後も探究していきたいです。

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